楽しいことやつらいことを一緒にわけあって生きていく。
早朝の空の色はくすんでいて綺麗だ。
早朝の定義について、気象庁によると
早朝とされている時間に家を出て上を見ると既に青かった。そうだ、今は夏だった。早朝が良いとされるのは清少納言によると冬が良いらしい。
清少納言『枕草子』の冒頭はあまりにも有名である。
春は夜明けが良い
夏は夜が良い
秋は夕暮れが良い
冬は早朝が良い
と続くが、季節について何かを言うとき、その季節の行事か花を思い浮かべるが、清少納言は違った。
清少納言はそれぞれの季節を時間で切り抜いている点である。情景を時間で俯瞰しているのがすごい。これは現代のエッセイストや物書きにも通ずるものがある。
『枕草子』の成立年代は諸説あるが、長保3(1001)年に成立したとされている。これは清少納言が宮仕えを辞めたあとに成立(その前から書かれていたか定かではない)したということになる。俗世間から離れた清少納言が昔のことを回想しながら書いたのだと仮定すると、哀愁漂う古典文学なのかもしれない。
僕はというと、夏だったら日中が良い。(暑いだとか寒いだとかそれを言っていたらキリがないのでここでは言わないが)雲の峰が立ち並んでいる空とジリジリと照射された光の雨が降り注ぎ、僕はようやく生きているという感覚が漲ってくるからだ。これを「夏らしい」というのではなく、時の気象が生み出した産物なのだ。
『枕草子』でも書かれているように、「夏は夜が良い」のである。それは現代のJ-POPでも同じように歌われている。
この歌の中で歌われている「夏の夜」は「昔好きだった恋人を思い出す」隠喩として描かれている。
何かが始まる予感と悲しい予感の両方が含まれていている。MVでは男性が昔の恋人のことを思い出しながらギターを弾く姿が映し出されている。
他に夏の夜が描かれている歌といえば
aiko「カブトムシ」、フジファブリック「若者のすべて」、YOASOBI「あの夢をなぞって」、松任谷由実「真夏の夜の夢」、DAOKO「打上花火」
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挙げたらキリがない……!!!
……それはさておき(さてはおけないが)、夏の夜に誰かを想う気持ちをストレートに伝える大切さというものを、ある1冊の漫画が教えてくれた。阿部共実『月曜日の友達』という漫画だ。
主人公は中学に入学したての水谷茜。まだ小学生気分が抜けない女の子。
水谷は月曜日がとにかく嫌いだった。
ある日の月曜日の夜、誰もいない学校の校庭に、クラスメイトの月野透がいた。彼は周りから変人扱いをされ、クラスでは浮いた存在となっていた。そんな月野の存在が気になってきた水谷は月野と「毎週月曜日の夜ここで会うこと」を約束する。
そして毎週月曜日の夜にお互い、誰もいない学校の校庭で2人はおしゃべりしたり遊んだりするなどして楽しんだ。そして夏休み前最後の月曜日、また誰もいない学校の校庭で、月野はうちに抱えた悩みを水谷に告白する。そんな月野の悩みを聞いた水谷は「友だちになろう」と言うのである。
その後の水谷の一言にグッときたのである。
こんなこと中1の女の子が言えるセリフなの……!?思春期の男の子の悩みを聞いてあげた上で、「友だちになろう」と言って「楽しいことやつらいことをわけあって一緒に生きていこう。」って言える!?
結婚生活が長続きする秘訣はまさにこのことだと思うのだけど、「つらいこと」まで分かち合えるのははるかに難しいものがある。
自分にとって「つらいこと」を他人に話すことって勇気のいる行動である。自分の弱みをさらけ出すことになる。だから誰にも言えずに自分の中で抱え込む。
勇気を振り絞って悩みを打ち明けてくれた人に対してなんて声をかけてあげればいいか悩む。でも、『月曜日の友達』にもあるように、「楽しいことやつらいことをわけあって一緒に生きていこう。」の言葉は、「自分にだってつらいことはたくさんあるよ。でもあなたとならそれを乗り越えられる気がする」と示唆していると思う。無理に相手の悩みに寄り添ったり解決するのではなく、相手のつらい気持ちを一緒になって考えてくれる人が好きだ。
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