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円盤に乗る派への参加に寄せて/渋木すず

どんどんものをゆっくりと考えるのが難しくなってきている。

そんな時代なのかもしれないし、自分の置かれている状況、仕事とか役職とか、生活が原因なのかもしれない。とにかく小さな声を聞くことも、発することも難しい。

私はたまに演劇を観に行く。円盤に乗る派を観に行く。

私にとっての円盤に乗る派は、深く、静かに呼吸ができる場所だ。

身体に最も楽でいること、「ここ」にきちんと人間が存在できるようにすること、
ひとりひとりが静かに物を思い、あるいは思わなくても良い場所。

それはちょうど、舞台上にいる俳優の身体のあり方ともリンクしているようで、ここでは俳優も観客も同じ水の中に、とぷん、と潜っているみたいだなと思う。

そうやって観終わって帰るまで、私の身体はゆったりとした液体になっていて、そのまま家まで身体ごと観劇をお持ち帰りする。


私は都内で経理事務をしている会社員で、仕事の傍ら、「ちょっとしたパーティー」という名前で餅つきをしたり、文を書いたりしている。

ケとハレ、日常とほんの少しの特別の間を行き来するようなこと。何かを忘れ、何かを思い出し、静かに、ただ「存在する」ことができる場所を、生活を、もっと見つけることができるんじゃないか。
そう考える中で、「円盤に乗る派」的なものごとと、「ちょっとしたパーティー」的なものごととに見解の一致を見たので、参加することにした。

円盤に乗る派は演劇をやっているけれど、演劇だけをやっているのでは無いと思う。
日常に潜む「円盤に乗る派」的なものごとを見つけて面白がりたい。あわよくば、生活をハックすらしてしまいたい。
だから私は、「舞台をつくるもの」と「舞台を観るもの」の境目を曖昧にぼかしてしまうような観察者、助言者でいよう。そういった意味合いを込めて、アドバイザー/ウォッチャーという肩書での参加となった。

今後は企画や文章を通して、日常生活と「円盤に乗る派」との間にあるグラデーションを愉快に接続していけたらいい、と考えている。


円盤に乗る派 渋木すず

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