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キャラクターって映画観ました。

川村元気が企画ってエンディングでわかったんだけど、
だからなんだ、というくらいボロクソな映画だった。

サスペンス漫画を描きたい万年アシスタントの青年。
出版社へ持ち込みをしたものの、絵は上手いがキャラがねぇと言われ、
デビューならず。失意のままアシスタントをしている漫画家のスタジオへ行く。これで最後と決めていた青年は今日で辞めると伝え、席についた。
しばらくすると漫画家が「誰か一軒家のスケッチをしてきてくれ」とアシスタントたちに命令をする。しかし忙しさから誰も行こうとしない。
そこで青年は自分が行くといい、「幸せな家庭のような一軒家」のスケッチのために自転車で住宅街へそんな家を探しに出かけた。
そうして見つけた一軒家、外観を描いていると玄関のドアが開いた。青年は疑われないように「漫画家のアシスタントでスケッチをしていて・・」などと弁解をしていたが、ドアはそのまま閉じてしまった。と、その時に隣人が
「音楽がうるさいから静かにしてほしい」と言われる。青年は自分はこの家の人間じゃない、と答えるも「知り合いなんでしょ、なんとかしないと警察呼ぶよ」と言われてしまった。漫画家に迷惑がかかることを心配した青年はしかたなしに玄関から声をかける。しかし応答がないので上がり込み家の奥へと進んだ。リビングに入るとそこには血まみれで椅子に縛られた4つの死体があり、驚きのあまり腰を抜かしてしまうと、あたり一面血の海で青年の手にもべったり血がついてしまった。その時窓の向こうに人影を見た。
返り血を浴びたのか、血まみれのその人物は手に包丁を持っていた。気づかれないように口を押さえ、その場でじっとしている青年。包丁の男はこっちを見るが。

と、これがオープニング。
この時点でなぜ勝手に家に上がっちゃうの?ってところ。
音楽うるさいですよーって言っておけばよかったし、それ以上のことは
青年の責任外だと思うのだが、青年が家に入り込んでこの凄惨な現場を目にしないと話が進まないから、勝手に入ったということにしたんだろうけど、
もっと他に方法あっただろうって思う。

でも青年は警察に通報し、事情聴取では正直に全てを話した。ある一点を除いて。それは犯人の顔を見た、ということ。
なぜならばこの犯人と現場をヒントに漫画を描こうと思いついたから。
で、本当に描いてしまう。
そんな中、30年以上前に同じように4人一家を殺害した当時16歳の少年が12年医療刑務所で服役をし、出所していた事実を警察は知り、彼を参考人として話を聞くも、あっさりと自供をしたので、そのまま逮捕、事件解決とする。
1年後、ある山道を4人家族の乗った乗用車が走っていた。運転手の父親は前方にボンネットの開いた車が停車しているのを見かける。故障か?と思いながら通り過ぎると一人の男性がトボトボと歩いていた。親切心から父親は声をかけると男性はそこまで乗せてほしいと言ってきた。怪訝に思った母親だったが、そこまでならいいだろうと父親は男性を後部座席に乗せた。
その車は山道から転落していた。中には刺殺されテープに縛られた4人の死体があった。
1年前の一軒家の事件と共通点があるのではないか、と思った刑事がやってきてその車から凶器の包丁を見つけ出す。実はこの事件とそっくりな漫画があり、刑事はその漫画の中から凶器のありかを知ったのだった

30年以上前に事件で逮捕した男性に話を聞く、というのはわかるけど、自供だけ、しかも「私がやりました」だけで具体的なことは何一つ証明されていない状況で送検し、事件解決と言ってしまう警察、すごい。この時点でこの映画は警察が活躍するようなサスペンスとは違うのはわかってたが、雑すぎる描き方に驚いてしまった。
で、山道での事件だが、その男性が殺したという設定だけど、車はどうやって転落したのだろうか。
転落させてから殺したのであればシートにビニールテープで縛り付けるのは困難だし犯人だって大怪我をするだろう。じゃあ殺してから転落をさせたのか。でもかなり無理がる。男性は力があるタイプには見えないし。

結局車から発見された凶器と1件目の事件の凶器が一致したという鑑識の結果で30年前の事件の犯人は誤認逮捕ということで釈放される。

アシスタント人生だった青年は例の漫画で大当たりをし、団地住まいだった1年前からは想像ができないほどのマンションに住んでいた。結婚をして妻は妊娠、幸せだった。が、そこへ刑事が現れたことによって自分の嘘(「犯人を見ていない」と言ったこと)に囚われるようになる。そして漫画で描いた犯人が青年に接触をしてきた。漫画の共同制作者などとおかしなことを言う男性に動揺を隠せない青年。妻にも家族にも冷たく当たってしまう。しかしあるとき、妻の病院に犯人が現れ、このままでは自分たちも危険な目に遭ってしまう、そう思った青年は刑事に真実を告白する

この後がね、まあすごいのだ。
その犯人はまた青年に接触することは予想できるでしょ。全てを刑事に告白したんだから、今後の予測はできるはず。なのに警察は青年を見張っていない。
青年は犯罪に加担していることになると、漫画を休載することにする。
青年は書店に行き、自分の漫画のコーナーで「休載のお知らせ」を眺めていた。ああ、嫌なカメラワークだ。こういうカメラワークの時は必ず何かある。
「なんで休載しちゃうんですか〜?」
ほら犯人現れた。警察が見張っていれば(行動確認?って何かの本で読んだ)犯人の身柄確保ができたはずなのに。警察ってば何をやっているんだ。
でもって、3つ目の事件まで発生。
白昼堂々の4人家族殺害。しかも犯人のジャージ、その後もずっと同じものを着ているので、そこかしこ血のシミだらけ。なんならスニーカーにも血がついているし。
さらに真摯に話を聞いてくれた刑事は誤認逮捕した1件目の容疑者に刺殺されてしまう。なんかもうよくわからん。それ漫画にないやん。

そしてついに青年は決着をつけるために、最終回を書き上げる。
犯人を誘き寄せるために自ら囮になるというもの。
しかも自分の家族も巻き込んで。
警察は青年の実家に配備される。家族には防弾チョッキのようなものを
つけて万が一に備える。青年は今までの態度を謝り、家族はそれを受け入れる。とその時青年に犯人から電話が入る。死んだ刑事の携帯を使っているらしい。幸せな4人家族を殺さなくては意味がない、先生の実家は幸せじゃないでしょ?母親は再婚だし、妹とは血が繋がっていないし。本当に幸せな家族を殺さなきゃ。そう言って電話は切れる。
焦る青年。は!っとして妻に電話をし、お腹の中の子供のことを聞く。
妻は双子を妊娠していたのだ。幸せな4人家族とは自分と妻のことなのだ!
青年は警察に妻が危ないんだ!と言って実家を飛び出した。
マンションにつくなり犯人に脇を刺される青年。部屋にいる妻は物音を聞いて夫が戻ってきたのでは、と玄関へ行く。するとそこには血まみれの夫の姿が。犯人は妻の足を刺し、青年をも刺そうとする。その時揉み合いになり、
青年が犯人に馬乗りの姿勢になる。その時警察が到着する。
「待て!だめだ!やめるんだ!」犯人を刺そうとする青年に警察は叫ぶ。
しかし青年は構わず刺そうとする。すると警察が発砲し、青年は倒れる。

まず、日本は確か囮捜査はダメなはず。ましてや刺されることを前提の囮とかないから。しかも家族が協力的すぎる。誰も嫌がらないなんて不自然でしょ。再婚相手の母親に冷たくしていたのか?幸せな家族じゃない、という設定のために作られた家族だと思うけど、あまりに陳腐ではないか、その考え。そのうえ、こんな時に妻が一人で自宅にいるとか危険すぎる。
妻が危ない!と言って実家を飛び出した時になぜ警察も一緒に行かなかったのか。伏線があったけど青年はインターホンを3回押さないと部屋にたどり着けないセキュリティの高いマンションに住んでいたはず。それがあっさりマンションで刺されちゃうとかなんやねん。伏線回収できてない。
妻が刺され、青年もさらに刺され、やっと警察到着。おっそい!
しかも最後発砲とかってどうなのよ。どこ打ったのかもわからん。死んだかと思ったわ。

なんかよくわからないコミュニティが関わっているような感じではあったけど、はっきりとした描写がないし、あの30年以上前の事件との関係もあるはずなんだけど、なんせ雑なんでよくわからない。戸籍がない子供、とか、戸籍を買うとか、題材としては面白いのに、薄っぺらくてしょうもない。
戸籍関係の話なら、平野啓一郎氏の「ある男」が原作も映画も面白かった。

菅田将暉、なかなか面白い演技をする人なのに、この映画では演技指導も悪いのか魅力が感じられなかった。キャスティングもよくわからない。
途中で死んじゃう小栗旬も
無能代表警部補の中村獅童も
なんてもったいない使い方でしょうか。
まあとにかく薄っぺらで何も回収できてないなあというのが感想。
川村元気の企画って言っても元気なのは名前だけ。
「怪物」も然り。もっと面白い映画作ってちょ。

いただけるなら喜んでいただきます。