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夏の思い出

夏がく~れば思い出す~♪
小学唱歌で「夏」のキーワードだとこの歌なんだけど、
今どきの小学生は「パプリカ」あたりなんだろうか。
という話はさておき、

毎日暑い、暑すぎる。
そんな暑い毎日、子供たちは夏休みの真っ最中だ。
この小学生の夏休みは大人のソレとは比べ物にならないくらい、
一大イベント、スタンドバイミー*のような、グーニーズ**のような、
わくわくどきどきの約40日間なのだ。

*スタンド・バイ・ミー 1986年製作のアメリカ映画
スティーブン・キングが原作だが、これはホラー映画ではなく、
青春映画。12歳の夏休みの冒険とそれを懐かしむ物語。
**グーニーズ 1985年製作のアメリカ映画
伝説の財宝を探す4人の少年たちの冒険物語。

さて、そんな夏休み、私も毎年わくわくしながらその日を待っていた。
しかし、無計画にやりたい放題の小学生だった私(今のさして変わらない)は、同級生たちが、通知表だけを手提げに入れて、身も心も軽やかに下校する中、ただひとり半べそをかいて帰るハメになったのだ。

半べそをかいた「少女たま」だが、
なぜそうなったか。
無計画にやりたい放題やったツケを、この日一挙に支払うことになったのだ。

夏休みは長い。
この長い夏休み、机の中やロッカーの中は、片付けて夏休みに入ることが
通例である。
だから、夏休み前に少しずつ持ち帰って、徐々に片付けるのもまた通例なのだ。一部のすちゃらかちゃんを除いて。

私のことだ。


親に出しそびれていたプリントや、返されたテストや図工の作品。
理科の授業で育てた鉢物(朝顔やへちま)。
それらを一気に持って帰るのだ。帰らなければいけない。
到底、手提げ一つに収まるわけもないのでランドセル持参。
身軽な友人を横目で見ながら、あれもこれも詰めた。
校門を出て、とぼとぼ歩いて家に帰る途中、
ふと足元を見ると、

上履きだった(汗)

自画像:小3の頃の私

学校へ戻るには、荷物が重すぎる。
「家へ帰って、荷物を置いて、取りに行けばいいだろう」
そう考えた私は、
重い荷物を持って、よろよろと歩き、家に着いた。
庭で作業をしていた植木屋さんに、
「あらあら~大変だねぇ」と笑われたことは、鮮明に覚えている。
へへへ・・・と力なく笑ったことは、なんとなく覚えている。

投げるようにして玄関で荷物を放り投げ、
小学校まで駆け足で戻る「少女たま」。
駆け足の必要はなかったが、走った。
学校が閉まったら困る!とちっこい頭で考えたんだろう。

はぁはぁ・・・。
無事、昇降口に付いた私は、急いで履き替え、下駄箱にしまって
またなぜか走って家に帰った。

*****
こっそり家に戻ると、
玄関は私の荷物が散乱していた。
そう、放り投げたままだったのだ。奥に伯母がいるようだが、
母は出かけていた。

「セーフ」
と、つぶやきながら自分の部屋へ行った。

部屋には姉がいたが、
さすが自分のことしか考えない姉、きっと玄関の私の荷物は
知らんぷりだったのだろう。
「なにその荷物?バカね~」とせせら笑った。
ふんだ、もう済んだことだからいいのだ。
この反省しないっぷりが、私の最大の欠点である。

ほどなく母が帰ってきた。
そしてこう言った。

「ふたりとも上履き出しておきなさい」

「!!」

****

さすがに2往復するのは嫌なので、母の呼びかけには
「上履きは自分で洗う〜」と思ってもいないことを言って、
このまま始業式までやり過ごそうとした。
しかし、いつまで経っても上履きを洗おうとしない私を
母が訝しげに見つめる。
結局メソメソと取りに行く羽目になったのだ。

夏になると、真っ先に思い出す。
母にとっても私を叱りつけることが一番の思い出だろうな。
母、ごめんよ。

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