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「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」2007年

ワイがポールトーマスアンダーソン作品を観るのは2作目。

昔、ザ・マスターというのを映画館でみたのだけど、つまんなくはないけど、荒野をバイクでかっ飛ばしてるシーンしか覚えてないから、特に心には響かなかったんだろう。

で、ゼアウィルビー。

んー、やっぱね、この監督は肌に合わないのだと思います。

(以下、ネタバレ全開で感想)


冒頭からセリフなしシーンが続く。

まー、それは、ベラベラ何でもセリフで説明する映画はダサいんだけど、この監督ってそのダサさに全力で抵抗しようとしてないか?

一人のシーンはいいよ、セリフなしで。

でも、さすがに皆で穴掘って石油が出たのに「手に石油をつけて無言で皆に示す」はやりすぎやろ笑

こいつらマフィアでもなんでもないのだから、穴掘って石油出たら
「せ、せ、石油だあーー!石油が出たぞーー!!!!」
でええやろ。
何をカッコつけてるのだか。

(あと、穴の中に重たいもの落としすぎ。学習しろ)

そんで、多分監督のこだわりなんだろうけど、話してるやつの顔ではなく、聞いてるやつの顔を撮ってることがたびたびある。

わかるよ。話してるやつの顔ばっか切り返してるとダサいのは。
でも、ダサさ回避に必死になって、裏ばっかやるなら、結局同じことなのでは?と思ってしまう。

異常なロングショットとかさ。

気持ちの良い人は気持ちがいいのかもしれんけど。親子再会のシーン、遠すぎ。
お洒落なのかしら。

ワイにはわからない。

これはでも、料理のようなもので、口に合わなければそれまでであり、善悪ではないのかな。

自分はしびれないなー。

あと、音楽が、やたらかかっててやだ。

もすこし静かな方が好み。
バイオリン、ねえ。
へんなパーカッションみたいなのが延々と鳴ってるシーンもあった。よくわからない。

*****

で、まあ、自分の鑑賞タイプとしては、ストーリーの比率がかなり高いので、音楽だの画だのごちゃごちゃ言うても、結局ストーリーで興奮できたら許せちゃうんですよ。

そんで、では、ストーリーはどうかというと、
んー、そんなおもろくはないか。

・息子の耳がーー
・弟登場
あたりが、お話のうねり、なんですけど
んー、弟が胡散臭すぎて、登場の瞬間からニセモノなんよね。
だから、てめー誰だよ、って主人公が気付いても、観客からしたら「おせー」てな感じで。

息子と父親の関係、とかが、仕事、石油と絡むんだけど、いまいち乗れないな。
もともとがデコに油つけられて「石油用」として祝福されて生まれてきたわけだし、そこからは道具としてつれまわして、形だけ頭ナデナデしてたわけだから、それで邪魔になって捨てたからって「うわあ!ひでえ!」とはならない。
「わかるわかる、耳聞こえないと邪魔よなあ」となってしまう(鬼畜な私)。

いや、自分がそうする、というわけではなく、あくまで「この主人公ならそうするよねー」という納得ね。

逆のやじるし、息子から父親への愛の深さ、もいまいち掴みきれない。

だから、ストーリーは平坦なのね。
起こるべくして起こることが起こる。

ふむ、せやろな、という。

偽ブラザー、ぶっ殺しand埋め、も、衝撃!というよりは、せやろな、という。

で、翌朝ジジイがでてきて、

お前の罪を償え

罪ってなんだよ?

ジジイ、無言で拳銃を渡す

これなあ。言えよな。こんなとこでカッコつけないで「お前人殺したやん、ワシ知ってんで」て言えよお!!!

クセなんだわ、この監督の。
間接描写ってイカしてる〜、って。

**

最後は、どーなのあれ。

観ててここがクライマックスなのは分かって、
んー、でもこれかー、ポールダノとのバトルなんかあ、と。
最後対決する相手そいつなん?という感じが否めない。

アウトレイジ2作目で、武が最後にぶち殺すのは小日向文世なんですけど、「えー、ラストそいつかい…」という残尿感がある。

ダニエルがポールダノの頭かちわったあと
「I’m finished.(俺は終わりだ)」
とかゆーて映画が終わるんだけど

あそこは使用人が
「バカヤロー、まだ始まっちゃいねえよ」
てな話ですよ。

と、総じて文句ばかり書きましたが、別に大嫌いとまではいかないですね。

響かない、というだけで。

良かったとこはなんだろね。

good
・ダニエルデイルイスの声
・ポールダノ

ポールダノいいよねー
出てるの知らなくて、やけにポールダノに似てるやつ出てきたなと思ったら劇中の名前が「ポール」で、まじかよ、と笑ってしまった。

最後に
映画タイトルのブラッドは石油に
血液
血縁
あたりを絡ませてる意図だと思いますけど、石油がそもそも生き物の死骸でありまして生命とからんでるので、なんかそこまでオシャレな感じがせんのよね。

ほんまに血が出て終わるし。

いろんなことに、深みがあるのか無いのか、よくわからないままに映画を観終わってしまったわけでした。

もちろん、私の気づいてない演出がまだまだ隠れているのでしょうけど、エネルギー使って観直したり探したくなるほど好きでは無かったかな。

やっぱ、好き嫌いて大事やね。

[2020.04.09 facebookから]

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