polcaが僕らに与えた功と罪
クラウドファンディングサイトとしてのPolca
ついにpolcaが手数料を導入することになった。
polcaは自分のやりたいことに対して、身近な人からお金を受け取ったり、逆に他の人のやりたいことに対してお金を送ることができるアプリである。
そんなことを今まで手数料完全0円でやっていたこともあって、いろいろな人に心配されていた。
もちろん、僕もその一人であり、今回の手数料導入は「ああ、ついにきたのか」と思う一方で、少し疑問に思うところがあったので、ここに書かせてもらえればと思った。
polcaの公式コメントによると、今回の手数料の導入はこの通りだ。
対象ユーザー:企画者
対象企画:2018年8月16日(木) 以降に開始した企画
料率・価格:
最終的に達成した支援額の6% + 決済手数料 4%
銀行振込の場合に限り振込手数料 :216円 (税込)
こんな形でpolcaに手数料をとってほしくなかったなと思う。
この知らせを受けたとき、僕はこんなことを呟いていた。
polcaを運営している株式会社campfireにはcampfireという大きな稼ぎ口があるのだから、そちらでガンガン収益をあげるか、polcaが持つ哲学でpolcaを使って運営費を回して欲しかったなぁと思う。
そして、手数料が謎に高い。
身内でお金を回すことを目的としたアプリなのに、10%はちょっとお高いのではないかなと思う。
参考までに他のクラウドファンディングサイトではどうなっているのかをここで紹介したい(決済手数料を含めた%表示です)
CAMPFIRE :17%
CAMPFIRE goodmorning :14%
Ready For フルサポートプラン:17%
Ready For シンプルプラン:12%
MAKUAKE : 20%
Motion Gallery:達成時10% 未達成20%
クラウドファンディングサイトにおける一番手数料が安いサイトが10%で、これがpolcaと同じ手数料ということになる。(Moon Shotというサイトが5%でやっていました、現在は新規案件募集停止中)
ちなみに、海外大手のクラウドファンディングサイトであるインディゴーゴーやキックスターターは5%らしい。
このような比較をしてみると、どうしてもpolcaはただのクラウドファンディングに成り下がってしまった感がある。
ただ、polcaはpolcaで新しい文化を作ることができたと思う。
それについては、polcaができた半年後に本家であるCAMPFIREの手数料は5%も値上げされたこともあって、そうしてもらわなきゃ困るっていうのはちょっとある。
たぶん、違うとは思うけど、CAMPFIREの犠牲の上にPolcaが成り立っていたなっていう感じもある。
そんなわけで、今回はPolcaの思い出を振り返りながら、Polcaの功績と罪について考えていきたいと思う。
目次
Polcaの功
・功績1:小さな声があげやすくなった
・功績2:誰かに対する応援を形にできた
・功績3:ビジネスの仕組みに当てはまらない取り組みに価値づけがされた
Polcaの罪
・罪1:「若い人を応援する」程度で立ち止まってしまっているところ
・罪2:パトロンの軽視化
・罪3:工夫がなくなった
Polca職人としての移行先
Polcaの功
功績1:小さな声があげやすくなった
CAMPFIREのそもそもの思想が「インターネットは小さな声を届けるための仕組み」だから、どれほど無名な個人であっても声を上げやすくするためのツールとしてPolcaが使われていた。
例えばこのプロジェクト
行政は母子家庭手当を作っているし、貧困向けの奨学金もある。
しかし、実際に大学に通いながらとなると、お金はものすごくかかるし、そのお金をなんとかするために稼がなければいけないことから、大きな声から生まれた救済措置を受けられなくなってしまう。
大きな救いの網にかからなかったからこそ、polcaで声を上げることによって、直接救われたのは大変喜ばしいことだ。
また、一人で何かに向けて挑戦したいと思ったときに、ものすごく小さなスタートをするための発信ツールとしても活躍した。
たとえば、このプロジェクト。
現在、彼女は日本で知り合いから譲り受けたタブレットをもってネパールにいき、現地の子供達に向けてそれらを使った教育を実践している。
いわゆる発展途上国で、学校が作られていない地域であるからこそ、自分の思う教育を実践できる!!と意気込んで飛び立っていった彼女はとても素敵だった。
このように、有名でなくても何かに挑戦できたり、誰かに助けを求めやすくなったのも、polcaの大きな功績なのかもしれない。
功績2:誰かに対する応援を形にできた
僕が初めて支援したpolcaはアヤノヤの西田彩乃さんのpolcaだった。
彩乃さんは僕が初めてクラウドファンディングをしたときに大変お世話になったこともあって、彩乃さんの誕生日Polcaをきっかけに日頃の感謝を伝えることができた。
また、中学一年生のときから関わっていた男の子が中学三年生最後の春休みに「中高生がもっと旅をしやすくするための実験をしてみたい」という思いから立ち上げた東北・北海道旅行のpolcaを立ち上げてくれたときには即支援した。
さらに、ものすごくお世話になっているALL YOURSの木村さんのイベントのクラウドファンディングが始まったときに、そのクラウドファンディングのパトロンになるためのPolcaを立ち上げ、無事にパトロンになることができた。
こんな感じで、日頃からお世話になっている人であったり、日頃から応援したいと思っている人たちを応援するためのツールとしてpolcaは非常に役に立った。
また、クラウドファンディングのパトロンになるためのpolcaを立ち上げられたのもpolcaの誰かをお金で応援することから生まれる応援の循環という部分も、ものすごくpolcaらしい。
功績3:ビジネスの仕組みに当てはまらない取り組みに価値づけがされた
僕は埼玉県の和光市にある自宅を解放し、誰でも泊まっていいよ〜と解放している。
...が、そのとき家賃がクレジットカードの引き落としのタイミングのミスで払えなくなってしまったがために家賃滞納ということになり、恐怖のお手紙がきてしまったために家賃を払うためのpolcaを立てることになった。
結果、52150円ほど色々な方面から集まったために無事に家賃を払うことができた。
それまでは普通にインターンの給料などでこれを運営していたわけだけど、いろいろな事故が重なってしまったばかりに立ち行かなくなってしまっていた。
このpolcaを立てたのは大阪にある二つの動きを参考にしていた。
京橋URAと大阪のセーブポイントだ。
この両スペースは世間的には無職の人が運営している。
そして、その住処を無料でいろいろな人に解放して、その運営費をpolcaで集めている。
セーブポイントは家賃光熱費の全て月70000円分。
京橋URAは同居人との折半分である26000円ほどを。
無料で泊まれたり、そもそも逃げ場所があったり、一時的に休むところがあればいいよね。
さらに、そこで思わぬ交流や出会いが生まれたら面白いよね。
そんな感じで、市場的な価値にはしにくいが、価値のある活動をしている人たちがその評価を受け取るための手段としてpolcaを利用し、世の中に価値を提供し続けている。
特に、自分の提供するものの価値をその人自身が理解できていなかったり、必要以上にその人が与えすぎてしまったときのリカバリー手段としてpolcaは役に立っている。
僕のところも含めて、polcaに手数料で何パーセントか持っていかれると、なんだか応援してもらっているのに、それを横取りされてしまっているようで非常に申し訳ないと感じてしまう。
そういう意味でも、今後どのようにこれらの活動を続けていくのかを考えた方がいいなと思う。
Polcaの罪
罪1:「若い人を応援する」程度で立ち止まってしまっているところ
これに関しては、僕自身もその流れを作ってしまった身として非常に申し訳なく思うし、その尻拭いをしているところである。
おそらく一度は読んだことがあるであろうpolcaおじさんのインタビューにてこのような話が語られている。
彼らの年代の300円と僕の300円って全然違うじゃないですか。僕が当時、やりたくてもできなかったようなことを、代わりにやってほしいなって
この記事が無駄にバズったせいで、どうしても「polca=お金がない若者にお金を渡してあげるシステム」としてみられてしまったがために、逆に年齢の高い層がpolcaを立てづらくなってしまった。
ちなみに、僕が支援したpolcaの半分以上は年上の人への支援だ。
彩乃さんも、セーブポイントの人たちも、京橋URAのよすださんもみんな年上だ。
せっかく、価値のあることをやっているものの、市場では評価されない人たちにお金で価値をつけることができるツールだというのに、若い人を支援するためのツールとして確立してしまったあたり、ものすごく残念であった。
僕と先ほど紹介した中学生とでpolcaのワークショップをやったときにも、実際に擬似通貨で参加者たちの立てた企画に支援するというタイムがあったときに、どうしても若い人ばかり支援が集まっていたあたり、とても惜しいなと思った。それでも、大人にも支援がたくさん集まっていたが。
罪2:パトロンの軽視化
支援者がよくわからないこと
polcaのクラウドファンディングにおける重大な欠陥だ。(ゆえにフレンドファンディングであるが...)
そのために、リターンがすごく雑になってしまったり、いろいろな人に乞食のようにお金をせがむ者が多く現れてしまったのだ。
僕がpolcaをしているときに「若い人のためにpolcaをしたい人」たちが一定するいることを確認したこともあって、どうやらpolcaを若い人と繋がるためのツールとして捉えて、若い人と繋がるためにpolcaをしている人たちが一定数いることを知った。
そのために、禁じ手的に若い人と繋がりたいというつぶやきをしている人に対して、「リプ」を送ってみるということをやっていた。
結果として、その人たちには支援してもらえたり、僕自身もその人たちのことを広めたりといった共犯関係を結んでいた。
しかし、これがどうにも悪い動きを呼んでしまったようで、若い人たちがよく若い人たちにお金を投げている有名人に対してDMでpolcaに支援してくれとせがむようになってしまったのだ。
特に、このような悪質なDM飛ばしなどがあったらしい。
polcaはあくまでもクラウドファンディング。
お金をもらったならば、リターンは必ず返さなければいけないし、そもそもリターンでなくても感謝の気持ちは伝えなければいけない。
そもそも、そんなリターンで支援してもらえるのはもともと何かの活動をしている人だし、無償で何かを提供し続けているような人だから支援されない。
あなたがいつも無視をしている募金を募る人たちのように。
罪3:工夫がなくなった
僕はコミュニケーション力があれば、お金を常に持っている必要はないと思っている。
例えば、企業や行政に対するプレゼンであったり、PRであったり。
そして、ヒッチハイクなんかもコミュニケーション力だし、TOKIOの0円食堂なんかもコミュニケーション力の賜物だろう。
一方で、自分で何かを作ろうという意思がある人は、何か道具がなかったとしても身近にあるようなもので代用してしまって作り上げてしまう。
例えば、Hカップ中学生の益山永遠さんなんかは画面がバキバキに割れたスマホを使って、CAMPFIREのクラウドファンディングページを立ち上げ、さらに試作品も自分で作ってしまっている。
何か夢がある人はそれがなかったとしても必ずやり遂げる。
そこには無いながらに自分で考えて、進んでいく力強さがある。
....が、ここ最近だと「Mac Bookがほしい」というpolcaが乱立されてしまっている。
そこにMacBookを何に使うのか明確でなく、とりあえずMacBookがなければ何もできないという浅はかな前提に立たされたクソ面白くないpolcaばかりだった。
ただ、全てのMacBookのpolcaがダメかといったらそうではなく、クラウドファンディングの論文を書くために試しにやってみたという女子大生であったり、もともとiPhoneで動画を作っていたものの、限界を感じてMacBookの購入を検討している女子高生であったりしたので、一概に否定しているわけではない。
...というか、彼女たち二人はMacbookがなくてもやっているし、やっぱりやれる人は最初からやっているじゃないか!!!!
とりあえず、何かを買うためにお金が足りないということであれば、バイトするのが一番早い。
polcaで一万円もらうよりも、1日バイトした方が圧倒的に楽だし、罪悪感も少ない。
にもかかわらず、なぜ彼らはpolcaにこだわるのか.....。
polca職人としてのこれからについて
僕はこれまで30を超えるpolcaをやってきた。
その多くが、①どこまで人にpolcaを勧めるハードルを下げられる事例を作り出せるのか、②どこまで声に出していうことが恥ずかしいようなコンテンツでpolcaを建てられるか、そして、③どこまでエンタメとしてのpolcaを作れるのか、の3点から来ている。
例1:今年の漢字になったのでpolcaください
例2:SMのpolca
例3:夜行バス逃した
polca芸人としては、別にpolcaでやる必要はないなと思っているし、人に勧めるのであれば、もっと効率の良い方法を教えていきたい。
ちなみに効率は悪いものの、資金調達をする方法として僕はグラウンドファンディングを推している。
ざっくりといえば、ブログやnoteなどで、お金が必要なことを発信したり、それに向けた行動をライブ配信をすることで、見ている人にお金を直接振り込んでもらうという手法だ。
特にLINE PAYあたりを利用するために自分のLINEアカウントを載せて見たり、最後の手数料完全無料送金アプリであるpringのコードをおいておくのが良いだろう。
もちろん、リターンを忘れないようにすること。お兄さんとの約束だぞ?
グラウンドファンディングの実践記録についてはこちらを参考にしていただきたい。
あと、これを機に本家campfireにてパトロンになったり、支援してみたりしても良いだろう。
そして、僕はこれから最後のpolcaを立てる。
当然、それは誰かを後押しするモノであるし、恥ずかしいタイプのモノである。
さらに抜群のエンタメ性も兼ね備えた企画になるだろう。
有料部分にはその企画案を書いておこうと思う。
ぜひ見てほしい。
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