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ウーバー・イーツ対ドアダッシュは戦略の戦い

ドアダッシュに注目せよ

ウーバー・イーツはもはや企業の名前というよりも、社会現象、時代のワードといってもいいでしょう。パンデミック禍で史上空前の利益を得たと言われています。しかし、アメリカでは食事のデリバリーサービスではドアダッシュのほうがシェアが高いのです。

Second Measure社が2020年11月に行った調査では、ドアダッシュのシェアは50%、ウーバー・イーツは23%、ポストメイト(Postmates)7%となっています

The Wall Street Journal2021年6月28日号は、両者の戦略の違いが今後の成長にどうつながるかを分析しています。

ポイントは3つです。読者の皆様と一緒に考えてみましょう

ポイント1:有機的な成長は可能か

両社は、アルコール、コンビニ、ドラッグストア、食品スーパーの商品デリバリーに進出し始めているが、うまくいくのか。これを有機的な成長と呼ぶなら、有機的な成長などあるのか。

ポイント2:買収戦略vs自社ネット構築戦略

ウーバー・イーツは積極的に関連会社を買収しています。ラテンアメリカの食品デリバリーに大手のコーナーショップ(Cornershop)の株式を47%を取得。コンビニデリバリーのGopuffと提携、アルコールデリバリDrizzlyを11億ドルで買収、そして26.5億ドルでライバルのポストメイト(Postmate)を買収しました。

一方ドアダッシュは、同業のフード・デリバリーサービスのキャビア(Caviar)を2019年に4億1千万ドルで買収したものの、ウーバー・イーツのように片っ端から関連企業を買収するというスタンスはとりません。もっぱら自社のフード・デリバリーサービスを軸に、自前の宅配仕様コンビニエンスチェーンDashmart構築や、有力スーパーアルバートサンズ(Albertsons)との友好関係強化に力を入れています。

ポイント3:デリバリーサービスは成長市場なのか

野呂の分析:市場は伸び悩む、マーケティングが勝負


有機的成長ねえ。デリバリーサービスを食だけじゃなく、あらゆる業種に拡大するということですよね。確かにデリバリーというサービスをコアと考えれば、それをあらゆる業種に適用する、それは一つのシナジー(相乗効果)でしょう。このデリバリーサービスはライバル参入が止まらないことが予想されますが、ウーバー・イーツという巨人が、参入者をことごとく買収することが予想されます。ウーバー・イーツは16カ国で展開しており、国際戦略に関してはドアダッシュに先んじています。

買収戦略のウーバー・イーツか、自社ネット構築に力を入れるドアダッシュか、ということになりますが、今のところそれを占うのは難しいですね。

両社ともコロナ禍に乗じて爆発的な成長を成し遂げてきたわけで、ポストコロナでデリバリー需要がどのくらい伸びるかということが、ポイントです。

アプリ開発も焦点ですね、両社ともアプリ開発に余念がないようです。現在どちらが有利かというと、ブルームバーグ社のSecond Date という指標によればシェアで見ればはウーバー・イーツが伸び悩み、ドアダッシュが好調です。

デリバリーサービスが成長市場かというと、Second Measure社のデータは(具体的な数字は示されていない)ウーバー・イーツはstagnant(停滞)、ドアダッシュはgain ground(安定)と評しており、市場の爆発的な伸びは止まったようです。

今後経済再開が進み、人々はレストランに出向く分、需要は減るでしょう。しかし、フードデリバリーという市場が出来たことは事実です。今後はいかに需要を喚起するかだと思います。つまりマーケティングですね。

ここで僕は、両社の哲学の違いが気になるんですよ。ウーバー・イーツはただ儲けるだけだけれど、ドアダッシュはデリバリーサービスをただ、次なる仕掛けの第一歩としか考えていないような気がするんです。ドアダッシュはデリバリーで人を出会わせ、そこからまた何かを創造しようと考えているならば、ドアダッシュは刮目すべき存在と考えます。

ドアダッシュのデリバリーを超えた野望

同社のホームページの創業者の言葉を、日本語にしたものを参考に載せておきますね。

ドアダッシュはテクノロジーカンパニーです。われわれは人々を結びつけます。最高の人々同士を結びつけます。我々はローカルな企業と提携し、全て経営をおまかせします。その代わりに我々は、人々が稼ぎ働き生活する新しいやり方を生み出します。我々は door to door delivery からビジネスを始めましたが、本業は可能性を求めて人々を結びつけることで、まだそれは緒についたばかりです。より楽しい夕べ、よりハッピーな日々より大きな節約、より大きなネットワーク、より強いコミュニティを求めて。

今日も最後までお読み頂きありがとうございました。

それではまた明日。

                            野呂 一郎

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