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小が大に勝てない現代ビジネス

現代のビジネスには負けがない

孫子の兵法って、勝てばすべてを手にし、負ければすべてを失うってことだ。それ以外ない。

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しかし、現代のビジネスでは、負けはない。
 大阪で負けても東京で勝つ
 日本で負けてもグローバル市場で勝つ
 売上で負けても、マーケットシェアで勝つ
 利益で負けても、ソフトのダウンロード数で勝つ
 第ニ四半期の収益で負けても、第3四半期では勝つ
 黒字額で負けても投資額で勝つ

現代の戦いは永遠に続く

ようするに、現代のビジネスは永遠の戦いだということ。一過性の勝利などというものは存在しないのだ。そこが昔の軍隊同士の戦いとの大きな違いだ。

ビジネスの戦いのテキストである経営学の第一の教えは、「企業とはゴーイングコンサーンである」というものだ。ゴーイングコンサーンgoing concern というのは、永続する企業という意味だ。ようするに企業は永遠に永らえるべきもので、永く続けば続くほどいい企業であるという教えだ。

負け続ける電子商取引の王者・アマゾン

意外や意外、Eーコマースの絶対王者、アマゾンの戦いは数字的には常に勝利ではない。アマゾンはほっておけば黒字がどんどん拡大したはずだが、バランスシート上では赤字の年度が続く。それは、常に大規模投資を怠らないからだ。物流システムへの投資がさらなる効率を生んで、それがまた利益につながる。さらにまたアマゾンは効率への投資を行う。

小よく大を制すは昔話

柔道の理想は小よく大を制す、ビジネスにおいても近年までそれはしばしば起こっていた。

零細企業が独自のテクノロジー、知恵や工夫で大企業の鼻を明かした。しかし、今はどうだろうか。

GAFAに勝てる企業がおらず、「彼らの存在自体が独占禁止法違反」という自虐さえ聞こえる。

大が小に絶対的な優位を持ち、その差がまったく埋まらないという傾向は、1980年台のマイクロソフトが台頭した頃からだと思う。

カネがあれば勝てる

マイクロソフトは、小さいが成長いちじるしい優秀なテクノロジー企業が、ライバル企業として立ちはだかると、すぐ買収してしまうのだ。大企業は小さな強力なライバルを崩す武器は、カネ、だ。

カネを使って、199年当時、Webブラウザーのライバル、ネットスケープを倒したことも記憶に新しい。当時IE(インターネット・エクスプローラ)とネットスケープしかブラウザーはなかったが、ネットスケープを潰すためにマイクロソフトはIEを無料配布したのだ。ウインドウバソコンを買えば、IEがおまけについていくるとあっては、マイクロソフト商品を買うしか、ない。

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法外な金額でM&A(企業買収)を持ちかけ、エースのエンジニアを大金でヘッドハントする。こうして優秀な独自テクノロジーをもった零細企業は、大企業に籠絡される。

プロレスの“負けの美学”

格闘技は勝ったほうが、一方的に称えられ、敗者は顧みられない。まったくというわけではないが、プロレスに比べるとこのことは顕著だ。

プロレスにおける勝者とは、観客をよりエキサイトさせたものなのだ。昨日も東スポのウラ一面は、デスマッチのカリスマ・大仁田厚だ。爆破マッチで白煙と爆破の火煙の中に、倒れ込んでいる大仁田が大写しになっている。でも大仁田は勝者じゃないのだ。

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逆に勝っても、パワーファイター同士の戦いで、決め技が地味なスモールパッケージホールドなどだと、客は勝者と敗者に等しく罵声を浴びせる。「負けの美学」などがいわれる戦いはプロレスだけかも知れない。

今日も最後まで読んでくれて、ありがとう。

また明日会おう。

                             野呂 一郎

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