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世界マーケティング7大トレンド⑤“人間第一”のデータ収集方法を構築する

この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:企業が消費者から正しく情報をとる方法。消費者から情報をもらうには、企業は今のままではダメという冷徹な事実。

今日は5の“人間第一”のデータ経験をデザインする (Designing a human-first data experience )を説明します。

      世界7大マーケティング・トレンド

1.パーパス(purpose 企業の存在意義)で成長にはずみをつける (Purpose a beacon for growth)
2.本物のインクルーシブ・マーケティングを実行する (Authentically inclusive marketing)
3.知的でクリエイティブなエンジンを構築する (Building the intelligent creative engine)
4.クッキーレスな世界でカスタマーに接する (Meeting customers in cookieless world)
5.“人間第一”のデータ収集方法を構築する (Designing a human-first data experience )
6.ハイブリッド経験を高める (Elevating the hybrid experience)
7.カスタマー・サービスをAIでパワーアップする (Supercharging customer service with AI)

デロイト・サーベイより

アサヒビールの最近の大ヒットに、『アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶』がありましたよね。

企業の煽り文句は、

日本初※!缶のふたを全開すると泡が自然に発生する商品!です。

https://www.google.com/url?sa=i&url=https%3A%2F%2Fwww.sankei.com%2Farticle%2F20210408-6FBGLWQXX5OJTMWRSYWVDTBLZI%2F&psig=AOvVaw23Rg9tvwBjALw0s1e0FiF5&ust=1645448476781000&source=images&cd=vfe&ved=2ahUKEwi1lfSwq472AhU0NaYKHdnKCygQr4kDegUIARCKAg

 これは、お客様により楽しい、美味しいビール経験をしてもらいたい、というアサヒビールの思いが結実した商品に違いありません。

 この商品が開発された最も重要な要因は何か。

言うまでもなく、データです。

アサヒビールは様々な消費者調査、アサヒビール愛飲者へのアンケート、第三者からのビール消費者に関する情報などの“データ”を駆使して、開発にこぎつけたことは間違いないのです。

さて、この生ジョッキ缶、昨年春は発売と同時に売り切れ続出、売れすぎて生産ラインがパンク、嬉しい悲鳴を上げたことが報じられました。

しかし、今年、2022年からはそうはいきません。

データの集め方が問われるのが、新しい時代の新しいマーケティングだからです。

デロイト・サーベイより

今後のマーケティングはデータの集め方が問題になります。

ポイントは、消費者に共感してもらえるデータの集め方をしない企業、ブランドは失敗する、ということです。

 昨日お話したサードパーティ・データの問題は、消費者が知らないところで、許可を得ずに勝手に企業が個人情報を獲って(盗って)、自分たちの利益のために使っていることです。

例えばいま、グーグルアース等で誰がどんなところに住んでいるか、特定ができます。

法的なことは抜きにしても、こうした形であなたの情報が第三者に勝手にとられているとしたら、皆さんはどう感じるでしょうか。

下手をすると、顔にぼかしが入っていても、カンタンにあなたがそこに映っていることが前後の状況、時刻などからわかりますよね。

https://www.google.com/url?sa=i&url=https%3A%2F%2Fwww.appps.jp%2F153531%2F&psig=AOvVaw2Gg_KWVJBjHrtCjpo0H0A2&ust=1645448628514000&source=images&cd=vfe&ved=2ahUKEwjqmaH5q472AhUNhZQKHSTKB1MQr4kDegUIARCHAg

アサヒもこれからは、どうやってデータを取ったかについて、ホームページ等で詳しい説明を求められるようになるでしょう。

マーケティングはデータを大事にしてきました。それは、消費者により利便性を提供するため、現代的にいうとより大きな”経験価値”を創るため、でした。

今も、それは変わりません。しかし、データは今までのように、いい加減に集めるわけにはいかなくなりました。

情報セキュリティ強化という新しいニーズ

企業はマーケティングだけに力を入れればいい時代は終わりました。

今、欧米の先進企業ではチーフ・インフォメーション・セキュリティオフィサー( Chief Information Security Officer情報セキュリティトップ役員  略称CISO)を置くことが当たり前です。

https://www.google.com/url?sa=i&url=https%3A%2F%2Fremeshr.medium.com%2Fhow-to-become-a-chief-information-security-officer-ciso-f6a4eeb718ff&psig=AOvVaw1DXQbwbWrO6P3aDwR0QQ11&ust=1645449414053000&source=images&cd=vfe&ved=2ahUKEwix3ervro72AhUuTPUHHQR-BgAQr4kDegQIARBi

カスタマーのプライバシー情報を保護することがその役目です。

一方で、チーフ・マーケティングオフィサー(Chief Marketing Officer 略称CMOマーケティング役員トップ)は、その同じカスタマー情報をマーケティングに利用するのが仕事です。

CISOとCMOは共存できるのでしょうか。

https://www.google.com/url?sa=i&url=https%3A%2F%2Fwww.youtube.com%2Fwatch%3Fv%3DtZ1_m7SvT7w&psig=AOvVaw0lnYRzW6ngNAXLCouYWGXS&ust=1645449528113000&source=images&cd=vfe&ved=2ahUKEwi7rZymr472AhUPBN4KHVHfAAAQr4kDegUIARDaAQ

企業はデータを巡る状況が激変していることを受けて、社内マーケティング部門vsセキュリティ部門という、新たな矛盾を抱えることになりました。

さて、では、これから企業はお客様からのデータ収集に関し、どうしたらよいでしょうか

デロイト・サーベイは、正しいデータ収集は、このトレンド5のタイトルにあるように、”人間第一“を心がけるべし、と喝破しています。

大前提は、企業(ブランド)とお客様の間に信頼が存在することです。

デロイト・サーベイによれば、両者間に信頼があれば、お客様は企業に1.5倍喜んで個人のデジタル情報を提供する、ことがわかっています。

でも、約束を破るのはタブーです。

例えば企業が「お客様からいただく情報は、世界の子供たちの貧困問題を解決するために使います」と言っておいて、その情報を他のことに使ったら、企業の信頼はガタ落ちすることも調査でわかっています。

これからの正しいデータの収集方法

デロイト・サーベイは、3つの要素が重要だと結論づけます。

 世界7500人の消費者と企業を調査してわかったことは、信頼こそがデータ収集の決めてであるということです。

そして、データ収集は、この信頼をベースにして、企業とブランドには次の4つの要素が求められる、としています。

1.  人間性(humanity)
2.  透明性(transparency)
3.  信頼性(reliability)
4.  能力(competency)

デロイト・サーベイより

サーベイは、人間性と透明性が特に重要だとしています。

ブランドがもしこの2つをしっかり証明しているならば、消費者はそうでない場合に比べて2.5倍、個人情報を積極的に提供するという結果が出ています。

信頼性はおわかりいただけると思いますが、能力とは、企業やブランドがデータをどう使うかについて、企業が自らの価値観をカスタマーに伝える能力のことです。

また、消費者にそれをオプトアウト(opt-out 前もって受け取らない意思表示)する自由を認めるという能力も、それに入ります。

人間第一なデータ収集方法のステップ

サーベイは、企業が消費者にデータを正しく提供してもらう順序について、以下の提案をしています。

ステップ1:信頼があるか、の確認
信頼がなければ、情報をもらえない。
 ステップ2:消費者に主導権を与える
データ提供のやり方については、企業側から指示をせず、消費者に任せる
ステップ3:プライバシー/セキュリティチームをつける
消費者がデータを企業に提供する際に、企業がプライバシーが漏洩しないように、サイバーセキュリティ上のトラブルが起きないように、万全の体制で守る。
ステップ4:データの用途について簡潔に要点をまとめて説明する
個人情報を企業がとう使うかについて、簡潔に伝達する。オプトアウトの自由も認める。

デロイト・サーベイ

今日も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

じゃあ、また明日お目にかかるのを楽しみにしています。

 

野呂 一郎

清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー


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