グローバル・リーダーの絶対条件は「運」
運とはよい縁のこと
さて、英語の話はやめると言ったけれども、やはりグローバル・リーダーになる高校生のキミたちに英語は欠かせないので、もう少し話をしたい。
なにか自慢話を聞かされているような気がしたら申し訳ないのだが、一つこのことは言っておきたい。
リーダーは「運」がなければならない、ということだ。
運ていうのは、他者からの助力をもらえる力、ということだ。
よい縁、と言い換えてもいい。
これがないとリーダー云々の前に、どんな小さな成功をすることもできないだろう。
勉強だって、受験だって、恋愛だって、仕事だってなんだってそうだ。
他人の力添えがなければ、どんな小さなことだって成功させることはできない。
でも、えてしてうまくいった人、成功した人っていうのは全て自分の力でやったと言いたがる傾向がある。でもそれは違う。
英語もそう。僕も通訳養成機関に通って、プロのスキルを磨こうと努めた時期があった。しかし、ある程度普通にはできるが、どうにも隔靴掻痒と言うか、なにかつかめないでいた。
そんな時出会ったのが、アメリカのラジオ局でニュースキャスターをやっていたある人物だった。
ライティング=英語の論理
ニュースキャスター(アメリカでは通常ブロードキャスターbroad casterと言う)の仕事というのは、自分でまずニュースを書くことから始まる。
英語のライティングが最も重要なのだ。その人物から、僕は英語の書き方を教えてもらった。それは、英語の論理が日本語のそれと全く違うということを理解することだった。
そして、キャスターはしゃべるわけだが、最も重要なのは発音だ。
英語の口=筋肉をつくらないと音は出ない
しかし、日本人は通常うまく英語の発話ができない。
それは、「英語を話す筋肉」がないからだ。
その筋肉を作るトレーニングを教えてもらった。例えば英語のthは舌を日本人の3倍伸ばす筋肉がなければならない。
舌を10倍くらいに伸ばす訓練をした。エル(L)の発音は思い切り顎を下げて、口を通常の3倍大きく開かなければ、Lの音は出ない。Drop your jaw!(アゴをもっと下げて)と何度言われたか。
大人になって留学すれば、ネイティブらしい英語の音が出るかというと、そうはいかないのだ。
口の筋肉が固まってしまっているから。筋肉を作る訓練をせずに、「英語の音」を出すのは、難しい。
アメリカ人は、というか英語国民は、この「英語の筋肉」を生まれつき身につけている。
日本人はその筋肉をつけるために、幼少の頃から英語圏にいて英語に親しんでいれば別だが、意図的にトレーニングしないと、英語の筋肉はできず、結局いわゆる日本人の音の癖が治らない。
それは英語国民に言わせると、articulate(明瞭なハッキリした発音)に聞こえず、時として意味が取れないのだ。
受験用の英作文は英語のライティングじゃない
英語のライティングこそ、英語の論理が必要なのだが、そんなのは受験英語で教えない。英語の筋肉の作り方、使い方も教えない。
僕はこの2つの訓練を件の人物に教わったおかげで、アメリカ留学のときは全く英語に困らなかった。
レポートや論文は特に楽に書けた。いくら通訳学校に行って同時通訳の訓練も受けたと行っても、この2つのスキルがなければ、英語はまだ「いくらやっても難しいハードル」であり続けたことだろう。
結局、能力をつけることは、よき人との出会い、言い換えれば「運」次第なのだ。
悪い出会いが天才を殺す
キミは実は数学の才能がある。しかし、中学の時因数分解のテストであまりできが良くなくて、「こんなのもできないのか」と教師に心無い言葉を投げかけられた。それ以来数学が嫌いになった。テストでくだらないことを、意味のないことを覚えることを強制され、クラスルームでバカな教師にバカにされた。
これは「運」と正反対な「不運」な出来事で、こうして隠れた天才が日本からどんどん減り、国力も弱くなる。
スポーツだってそうだ。自分を伸ばしてくれる監督やコーチがいなければ、キミの才能が伸びるわけがない。
英語の伸ばし方なんて偉そうな話をしているけれど、結局自分の力で能力がついたわけではまったくない。
偶然のいい出会い、に恵まれただけ。他人の力をもらっただけ。そういうことだよ。そもそも日本語を教えながら、大学院にタダで留学できるなんて、まさに運が良かっただけで、他人の力でしかない。
能力というけれど、そこにいい人(機会、もの)との出会いがなければ、それは身につけることはできない。伸ばすこともできない。
親切にしよう
もちろん、運の悪いこともたくさんあった。ただ、そこから学んだよ。それは自分が人に嫌われる悪い性格を持っていたり、人に悪いことをしたりしたり、自分の欠陥や間違った考えの結果に過ぎないということを。反省することばかりだ。
自分がやったことは、自分に返ってくる。どうもこれは世の中のならいみたいだ、いや、やっぱり自然の法則なんだよ、と僕は思うようになった。それ以来、他者(ひと)には親切にするように心がけている。
ライティングと発音についての詳細は、noteでは書けないし、実際に訓練をしないと意味がないので端折るけれども、縁があればできるね。
今日も読んでくれてありがとう。
また明日会おう。
野呂一郎