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資本主義その矛盾の交差点・バングラデッシュを救え。

この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:資本主義のゴミ溜めとしてのバングラデッシュの惨状。人権の時代という言葉が虚しく響く世界の現実。企業の責任とは何か。「責任ある調達」とは何か。トップ画はhttps://qr.quel.jp/pv.php?b=3M1V8rd

資本主義のゴミ箱としてのバングラデッシュ

きのうシリコンバレー銀行を潰したのは、資本主義の木を見て森を見ずのバカな本質だとお話しました。

資本主義とは、やっぱり大が小をいじめ、排斥し、金持ちが貧乏人を搾取して、路頭に迷わせることです。

その証拠がここにあります。バングラデシュです。

バングラディッシュは世界第二位の洋服製造工場であり、輸出基地です。

資本主義のリアリティ、弱肉強食のはてが、ここです。そこでは労働者は低賃金に喘ぎ、安全も人権も保証がありません。

バングラデッシュの洋服工場を例にとって、資本主義のしくみを説明しましょう。

ユニクロポロシャツ

先進国のブランドショップで売っているポロシャツが、67.03ドルです。シャツが売れると、その価格の50%超がブランドに行きます。労働者の賃金はその0.1%に過ぎません。つまり6セントほどしかもらえません。

ILO(International Labour Organization )調べ

たしかに近年労働環境は改善されました。

しかし、今だにバングラデッシュにある4500の被服工場の半分は、消火器も、スプリンクラーもない、工場改善資金も出ない、従業員は安全訓練も受けていない、というのが現実なのです。

低賃金は国の固有の問題と言えばそれまでですが、バングラデッシュの洋服工場の労働者の賃金は、生活に最低限必要な額の26%に過ぎず、世界最低です。企業にも責任があるはずです。

大企業の横暴

大企業は、洋服製造の末端を担っているこうした労働者の条件改善に、責任を持つべきです。

というのは企業は、労働者に人間としての最低限のリスペクトを払わなくてはならないからです。

ことは人権問題なのです。

でも責任を取るどころか、資本力に物を言わせて工場を競わせ、わざと注文を少なくたり、ひんぱんに注文を変えたり、注文を取り上げて他の工場に移し替えたりといった意地悪をしてるんです。

78のメジャーな洋服ブランドを調査した結果、バングラデッシュの工場の86%がいわれなき注文のキャンセルにあい、85%が3ヶ月以上支払いを猶予されたと答えています。

4月12日に発表されたニューヨーク大学ビジネス&人権スターン・センター(New York University's Stern Center for Business and Human Rights)の報告によれば、グローバルブランド各社はこうしたやり方を変えるつもりはなく、結果として何万、何十万の労働者が会社都合で解雇されることになるだろう、とのことです。

責任ある調達という考え方

責任ある調達(responsible sourcing)という考え方が台頭しています。

これは、上記の資本に物を言わせ弱きものを搾取する、というやり方とは正反対の考え方です。これをサプライチェーンの透明性(supply chain transparency)の改善、と呼ぶ向きもあります。

Gapやリーバイスで有名なジーンズメーカーのリーバイ・ストラウスなどが、この運動に参加しています。

リーバイスロゴ

定期的に工場の安全を点検したり、労働者の待遇を改善したりする取り組みです。

しかし、こうした改善、改革はコストがかかります。

例えばこうした取り組みをサポートする協定を結ぶと、年間18万5千ドル(約2000万円)かかると言います。

消費者も責任がないとはいえません。

より安く、より自分の好みにあった洋服を求めるから、末端の労働をより低賃金に、より大変にするのです。

ファストファッションなどのブームが、この傾向を強めています。

資本主義は人々によりものを買わせるために、目先を変えるように広告や宣伝で人々を煽り、その結果、末端労働者の労働環境を厳しくするのです。

G7開催国としての日本の責任

今日とりあげた問題は、大きく考えると貧困問題です。

しかし、もっと広い視座で考えれば、人権の問題です。

大企業は、いまこそ「責任ある調達」「サプライチェーンの透明化」に真剣に取り組むべきです。

そして、政府はこれを監視し、積極的にこの2つ尽力する企業に補助金を出す、アメとムチを駆使して、世界のサプライチェーンの健全化に務めるべきと考えます。

サプライチェーンは洋服だけではなく、ありとあらゆるモノが独自のサプライチェーンに組み込まれています。

僕らは、パンデミックで思い知ったじゃないですか。

世界はもうがんじがらめにつながっている、グローバリゼーションとやらで。

でもそれは変えようがないんだから、パンデミックで懲りたから、今度はなんとかしようね、って。

でも、懲りないのが人類なのです。

資本主義は仕方ないけれど、それに歯止めをかける知恵がないと、バングラデッシュはなくなりません。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
じゃあ、また明日お目にかかりましょう。

野呂 一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー


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