見出し画像

バイデン「台湾失言」はアメリカ人の集団的無意識だ。

この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:バイデン「台湾発言」は失言か。アメリカ・ビジネススクール(昔の)の一風変わった訓練。アメリカの強みは、「潜在的な知的好奇心という集団的無意識」。

毎日新聞、バイデン氏を称賛

今朝の毎日新聞一面は、バイデンさんの「有事の際に台湾を守る」という”失言“についてとりあげていました。

https://www.google.com/url?sa=i&url=https%3A%2F%2Fwww.nippon.com%2Fja%2Fnews%2Ffnn20220524364510%2F&psig=AOvVaw3YeCnofg8YlYTdLu2jCNaN&ust=1653575130948000&source=images&cd=vfe&ved=0CCkQr4kDahcKEwjY3eTP7fr3AhUAAAAAHQAAAAAQAg

中国に対し建設的な威嚇になった、と好意的な論調です。

バイデンさんは「プーチンは戦争犯罪者」と言い放ったときと同じ、「正義の感情の一つの表現をしたに過ぎない」と、関係者が慌てて火消しするのを横目に涼しい顔です。

このバイデンさんの「失言」で、僕は思い出したのです。そういえば、あの時のあれも失言だったのかなあ、って。

ビジネススクールで課された”取材実習”

僕がアメリカのビジネススクールで学んでいた頃の話です。

かれこれ30数年も前の話ですが。

えっ、MBAってこんなこともやらされんの、と思ったことがあったんです。

それは電話取材、でした。

https://www.google.com/url?sa=i&url=https%3A%2F%2Fwww.ac-illust.com%2Fmain%2Fdetail.php%3Fid%3D1599778&psig=AOvVaw2cuBjtZZADFUyM1CCuXprG&ust=1653575342988000&source=images&cd=vfe&ved=2ahUKEwi8-Nio7vr3AhV3Q_UHHfspBTcQr4kDegQIARBC

ケース・スタディに登場した企業や関係者に電話をかけて、
「ケースではこう書いてあったが、実際どうだったのだ?」、などと取材をするのです。

門前払いだろうって?

そう思いますよね。

僕は30件くらい電話をしましたが、にべもなく断られた、というのは
一件もなかったのです。

もちろん、こちらもビジネススクールの研究課題だからと
意図を説明はします。

そうすると、おおむね協力的なのです。

これにはこちらがびっくりしました。

もっとも、30数年前の話ですから、そして80年代アメリカがまだまだ世界の警察で、唯一の経済超大国だった頃ですから、「教えてやろう」という余裕があったのかもしれません。

今は社会がいろいろ複雑で、見ず知らずの学生、それも外国人とわかる人物に、電話で経営に関することなど話したら、大きな問題になるでしょう。

「アメリカ・花王」で待っていた衝撃

この電話取材で僕は忘れられないことがあるんですよ。

ケース・スタディで、日本の消費材メーカー「花王(Kao America」を取り上げたときのことです。

https://www.google.com/url?sa=i&url=https%3A%2F%2Fwww.kao.com%2Fglobal%2Fen%2Fabout%2Foutline%2Fgroup-companies%2Famerica%2F&psig=AOvVaw2A1GUPyF6QP7iqGIb_yXf7&ust=1653576273171000&source=images&cd=vfe&ved=2ahUKEwjx6J7k8fr3AhWGTPUHHcfTBx0Qr4kDegQIARA_

僕は、これは割り当てられた宿題というわけではなかったのですが、個人的な興味から”花王アメリカ”に電話したんです。

大学院生の取材だとを話したら、社長につないでくれたんです。

もちろんその時の話を明かすわけにはいきませんが、社長の大変フレンドリーで、誠意のある対応に感激したんです。

「えっ、こんなこと言ってもいいの?」的なことすら教えてくれました。

でも、それはパブリックな発言ではないものの、バイデンさんと同じく、「失言」だったかもしれません。

しかし、その時の社長とのやり取りを通じて、僕はアメリカという国の大きさを思い知った気がしました。

当時のアメリカは間違いなく知的な価値というものを社会が、ビジネス界が理解していて、学ぶものを応援し、温かく育ててくれるような雰囲気があったと感じます。

アメリカは”合衆国”だ

いや、それは、でも、アメリカを知らない者の言い分かもしれません。

アメリカはユナイテッド・ステーツ(合衆国)という名の通り、ステートつまり州というよりは”国”の集合体なのです。

だからアメリカをひとくくりに論じるのは誤りですよね。

それは僕のいた、ウィスコンシン州に限った話かもしれません。

https://www.google.com/url?sa=i&url=https%3A%2F%2Faround-usa.com%2Frentacar%2Fusa%2Foffice%2Fwi%2F&psig=AOvVaw3F0ul7EFK3RjPitENWEcyn&ust=1653576419723000&source=images&cd=vfe&ved=2ahUKEwiWzY-q8vr3AhUBFYgKHX4JAKEQr4kDegUIARDWAQ

でも、僕がこの電話取材で感じたことは、住んでいる州に関係なく、アメリカ人の集合的無意識、のような気がしてならないのです。

いろいろな州で、似たようなことに遭遇しましたから。

それは、
知的な何かを問いかけると、前のめりになってそれに応えるという気質、
です。

それこそがアメリカ社会の強みなのではないか、今そう思うのです。

言ってみれば、一種の社会に存在する知的好奇心。

その集合的無意識が常に社会を刺激し、知的創造を生むのです。

それは、今回のバイデン失言にも一脈通じるものがある、そう思ったのです。

知的な好奇心がない社会

日本人は皆、どの世代も疲れ切っていて、知的なことに反応しません。

政治の話も、社会の話もしない。

おそらく無意味な受験勉強のやり過ぎで、おとなになっても、知的な呼びかけに応える気力がないんです。

心が疲れすぎていて、好奇心が発動しない。

僕はスマホしか見ない学生が大嫌いなんですよ。

勉強する気がある、ないじゃなくて、その態度からは、他律的な刺激だけに身を委ね、主体的な知的好奇心が失われているように思えるからです。

https://www.google.com/url?sa=i&url=https%3A%2F%2Fwww.takeda.tv%2Fkuzuha%2Fblog%2Fpost-183199%2F&psig=AOvVaw1cEMLOFPpVv8q75097J66p&ust=1653576518445000&source=images&cd=vfe&ved=2ahUKEwiMlJnZ8vr3AhW1T_UHHSkbBOkQr4kDegUIARCEAg

日本の政治家の反応を見てくださいよ。

受験勉強のなれのはてなのかなぁ。

下むいてペーパー読んで「北朝鮮がミサイル飛ばしました。よいことではありません」とか「ロシアがウクライナに侵攻しました。困ったことです」なんて他人事のようにコメントを出すだけでしょ。

バイデンさんの失言は、主体的な知的好奇心の発露なのです。

今日も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

では、また明日お目にかかるのを楽しみにしています。
 
                             野呂 一郎
               清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー




 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?