プロレス&マーケティング第33戦 松村邦洋こそ本当のプロレスラーかも。
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:松村邦洋が人気タレントのポジションを維持している理由。ファンへの神対応という”芸”。リュピテーション・マネジメントとは何か。トップ画はhttps://qr.quel.jp/pv.php?b=https://binged.it/3q2pa6J
悪いニュースは羽が生えてる
サインを拒否することのリスクは、計り知れないと言っていいでしょう。
人は失望を一人で抱えて行きてはいけないからです。
必ずその悲嘆を他者と共有して慰めを得ようとします。
悪事千里を走る、ということわざがあります。
英語でも「悪いニュースは翼を持っている
"Bad news has wings"、と表現します。
そうです、ネガティブな情報は予想もできないほど速いスピードで広がるのです。
サインをむげに断った損失は、そのファンを失っただけにとどまりません。
そのファンの親族、友人たちにもたちまち広まります。
SNSの時代です。
それはリツイートで拡散する可能性も大きいし、下手すると5ちゃんで「サインを拒否するプロレスラー」などとスレッドが立ってしまう恐れもあります。
もちろん、どうしてもその求めに応じられないこともあるでしょう。
その時に、ファン用の名刺やカードを用意して「ごめんな」とでもひとこと添えれば、そのマイナスは消えるはずです。
しかし、ほとんどのレスラーは、そこまで気が回りません。
プロレスラーは独立事業者なんだから、「プロレスラー◯◯ブランド保全委員会」みたいなものを作って、レスラーの評判をいかに保全するかを考えるべき、そう思います。
現代の経営学で最も重視するのは、企業の評判です。これを傷つけず、保全する経営技術をリュピテーション・マネジメント(reputation management)と言います。
これをプロレスラーに落とし込むと、ファンへの対応を考えろ、ということになります。
キャラが立つこともレスラーの能力
プロレスラーの魅力は強さやうまさだけじゃない、キャラ立ちもその一つだ、と申し上げました。
例えば永源遙の◯◯◯◯とか、ラッシャー木村のマイク、ドン荒川のコミックプロレスなどが思い浮かびますね。
プロレスに関係ない特技も、キャラ立ちといえるでしょう。
例えば藤原喜明のイラスト、木村健悟の歌、折原 昌夫の爬虫類好きはよく知られています。
アイスリボンの真白優希選手は、セキセイインコと戯れるという特技をもっています。
最近では、拳王のyoutube企画、くらいでしょうか。
案外、ファンにアピールするような何かを持っているレスラーは、少ないと言えるでしょう。
でも、ファンサービスが神、という選手は聞いたことがありません。(新日本プロレスの小島聡選手のファンサービスのよさは知られていますが、神対応とまでは行かないようです)
この分野こそ、あらゆるプロレスラーがもっと力を入れるべき、キャラクター云々を超えた戦略的差別化ポイントだと思います。
サインに快く応じることが、レスラーの評判に最もプラスの影響を与えるからです。
それはチャンピオンベルトを奪うことよりも、そのレスラーの価値を上げ、プロレス界にとってもプラス、と言っても過言ではありません。
松村邦洋を見習え
ビートたけしのモノマネで知られる、松村邦洋。
彼はファミレスに行くと必ず、全てのテーブルを回って、挨拶するそうです。
「松村邦洋と申します。以後ごひいきに」と言って頭を下げるのです。
彼のこの行動は賛否あるに違いませんが、僕は松村が人気タレントの座を守っているのは、間違いなくこの行動だと思います。
ファンサービスとは、もはや芸なのです。
サインだとか、呼びかけだとかという必要もないかもしれません。
「人の喜ぶことをしろ」ってことですね。
サインでも握手でも、人が喜ぶことをすることです。
先日、芸人やすこの流儀について書きました。
それは期せずして、「人が喜ぶことをする」、ということだったのです。
人気レスラーになりたいのであれば、人気団体になりたいのであれば、
それはなんのことはない、ファンに親切にすればいいのです。
そしてそれはプロレス業界を発展させる、王道でもあるのです。
きょうも最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
それではまた明日お目にかかりましょう。
野呂 一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー
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