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ストレスフルな企業には明日はない

この記事を読んであなたが得られらかもしれない利益:加州知事が出した労働者を守る新法の概要。アルゴリズムの奴隷となりつつある工場労働者。ストレスに疲弊する労働者の実態。

効率か人間性か

 きのうストレスについて話をしたんだけれど、今最もストレスを感じているのは、もっとも成長しているあの企業じゃないかなあ。

 そうアマゾンだよ。アマゾンの至上命令は「より速く」だよ。翌日配達が今は当日中、2時間後、3時間後になってるよね。

 そんなに急ぐことはないのに、キミも要所を取り寄せるならアマゾンに「船便でいいから」って言いなよ。

ダメ?そうだよね、もう翌日配達一択しかないんだもんね。

そのスピードはでも、ストレスに苦しむアマゾンの労働者という犠牲のもとに実現しているんだ。

ストップウオッチがアルゴリズムに変わっただけ

 今僕は大学で生産管理を教えているんだけれど、今日のお題は「科学的管理法」だった。

これはフレデリック・テイラーという人が提唱した、工場で働く作業員の生産性を科学的に向上る仕組みで、当時としては工場の労働に科学的知見を導入したことで画期的と評された。

実は今でもこの仕組みは、工場管理のスタンダードになっている。

 科学的管理法のポイントは、標準時間の設定だ。

それはある工程を終えるのにかかる、「適切な」時間のことだ。

ムリムダをなくせばこの時間でおわるはず、これが標準時間だ。

そして作業員の仕事のスピードをストップウォッチで測り、標準時間より時間がかかれば給与を減らす、かかる時間が少なければ給与を増やす。

現代では、この標準時間はAIがアルゴリズムを使って設定しているはずだ。

ロボットが人間をクビにするアマゾン

 150年前の科学的管理法のときも、労働者はストレスを感じていただろ。

しかし、アマゾンで働く労働者はもっとストレスを感じているに違いない。

なぜならば、アマゾンの倉庫にはAIロボットがそこかしこに設置され、働きぶりを監視し、標準時間をクリアできない労働者は、ご丁寧にAIロボットがピンクスリップ(pink slip 解雇通達)を書いて労働者の住所に出すんだ。

だから、カリフォルニア州はこれを問題視し、The Wall Street Journal2021年9月23日号Amazon warehouse quotas are curbed in California law(アマゾン倉庫の仕事の割当が加州法で減らされる)によると、加州知事がアマゾンを含む倉庫業者に労働者に課すノルマ(仕事の割当量)もしくは生産性の測定基準を明らかにすることを義務付ける法律を施行したのだ。

これはアマゾンを狙いうちした、法律だと言われている。

しかし、アマゾンを含む業者は反発する。

この法律はただでさえ息も絶え絶えのサプライチェーンを、窒息死させてしまうというのだ。

シン資本主義とは効率より人間

確かに一秒を惜しんでスピードアップを求めるアマゾンがいなければ、サプライチェーンは滞り、モノの供給はストップし、インフレはもっとひどくなるかもしれない。

しかし、カリフォルニアは人間を経済より優先したんだ。すごいな。立派な見識だと思う。

でもね、アマゾンの事故率は、他の業者の平均より高いし、アルゴリズムが効率を強いるので、ノルマ達成のために労働者の不正(ズル)が横行しているのも事実なんだ。

なにか世界は100年前にタイムスリップしているのだろうか、戦争の動員といい、ブラック労働といい。

まるで昔、マルクスが口を極めて非難した悪しき資本主義、資本家が労働者を搾取している図ではないか。

資本主義は変わってないってことだ。

岸田さんが新・資本主義というならば、生産性よりも安心安全そしてストレスのない職場を創造することを、新・資本主義とすべきだろう。

今日も最後まで読んでくれて、ありがとう。

じゃあ、また明日会おう。

                             野呂 一郎
                清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー



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