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エコノミック・コネクターの時代。

この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:グローバリゼーション終焉論のあやまり。中国と米国の関係悪化でグローバルなサプライチェーンの危機が叫ばれる中、救世主はいた。それがエコノミック・コネクターだ。

エコノミック・コネクターとは何だ

直訳すると、ある国の経済と他の国の経済をくっつける役割をする存在、です。

エコノミック・コネクターとは、BusinessWeekを運営しているブルームバーグ社が作った言葉で、「中国の代わりに、アメリカと中国を経済的に結びつける国のこと」です。

中国とアメリカの代わりだけではなく、ヨーロッパの国同士を結びつける国でもあるし、中国と他のアジア諸国を結びつける役割を持っている国でもあります。

ブルームバーグが、エコノミック・コネクターとして選んだのは、以下の国です。

ベトナム、ポーランド、モロッコ、メキシコ、インドネシア、です。

共通要素とは

「この5カ国は、新たな地政学上の断層をまたぐ存在」です。

BusinessWeek2023年11月6日号 Five countries gaining from shifting supply chains(サプライチェーンのシフトで漁夫の利を得る5カ国)

地政学上の断層をまたぐ、とは、米国がトランプ時代に中国産の輸入品の関税を上げて以来、両者の関係がストップし、その間隙をついて中国に変わって、アメリカとの貿易を行う、という意味です。

5カ国は、要するに中国の代わりになって、アメリカ、EUとの貿易パートナーに名乗りを上げた存在なのです。

ブルームバーグがエコノミック・コネクターにこれらの国口を選んだのは、「グローバルに外国にどのくらい投資をしてきたかの伸び率」が決め手になっています。

2003年から2012年に比べて、2017年から現在まで、その国がどのくらい海外に投資したかを調べると、上位がこの5カ国だったのです。

一国のGDPは少なくても、5カ国合わせると、そのグローバルな経済活動量は、世界交易全体の10%を超え、5500億ドルにも及びます。

グローバリゼーションは終わっていない

コロナで世界のサプライチェーンが崩れ、ウクライナ戦でそれに拍車がかかりました。

エネルギー、小麦の輸入停止により、世界経済は大きく揺れ、戦略的自給論が巻き起こり、反グローバリゼーション論も活発になってきました。

確たるデータはないですが、「グローバリゼーションの終焉」という言葉はまちがいで、国境を超えてのモノと資本の動きは、むしろ活発になっているのです。

次回、この5カ国が、どんだけ米中危機による世界経済の正常化に役立っているかを考えてみたいと思います

野呂 一郎
清和大学教授

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