パリ五輪、3つの予言。
この記事を読んであなたが得られるかも知れない利益:7月から始まるパリ五輪。国家は威信を、ビジネスは儲けを、主催者は体面を賭けたもう一つの戦いが水面下でヒートアップしている。しかし、勝つのはやっぱり資本主義なんだ。
パリ五輪で起こること
1.政治的パフォーマンスが意味を持たなくなる
2.スポーツを利用した国家PRでフランスが脚光
3.五輪の行き過ぎた商業主義へのバッシングが再び
解説
政治的パフォーマンスが意味を持たなくなる件
政治的ジェスチャーは一部許されるようになったから、今度のオリンピックでもLGBTQへの理解を求めたり、ヘイト反対などの、パフォーマンスは今回も披露されるだろうね。
でも、それはもはやインフレ気味だ。当たり前にそれらが表現されると、政治的な意味も、社会的なインパクトも薄れてしまうんじゃないかと思うんだ。
そもそも政治とスポーツ峻別すべきという五輪の精神そのものが、政治によってなし崩しになっている、という批判も再燃するだろう。
女性か男性かという、スポーツにおけるジェンダー問題、女性ホルモンの量を量るのは人権違反じゃないか、そういう議論も引き続いて起こるだろう。
しかし、あくまでマーケティング的に考えるのであれば、「正しく脚光を浴びる」必要があり、今回はその政治的メッセージがうまく世界に届かないだろう。
なぜ?
商業主義しか勝たん、って若者風の言い方をすればわかるかな。
後で述べるけれど、フランスは国家を上げて、このスポーツイベントを国家利用しようとしている。
つまり、五輪というスポーツエンタテイメントを、フランスを輝かせるためにとっても上手に利用しようとしているんだ。
その戦略パワーに、選手の政治的ジェスチャーなど、かき消されちゃうっていうことだよ。
解説2
スポーツを利用した国家PRでフランスが脚光
ニューヨーク・タイムズWeekly2024年2月18日号Olympics will be stunning, at least with the price(オリンピックが大変なことに、特に価格でそれがひどい)によると、フランスは電通も驚くような仕掛けを考えている。
裏情報断ってはいるが、1万人の選手団を戦艦に乗せてセーヌ川を渡し、エッフェル塔まで運び5万人の見物人が囃し立てる、とか、ブレイクダンスをコンコルド広場で披露するとか、だ。
もちろん、脱炭素というアピールも抜かりなく、エンタテイメントの粋をこらしてやるよ。車の出入りは禁止になるけれど、その分パリの公共交通機関がパフォーマンスをやるってさ。
東京オリンピックが、コロナのせいもあるけれど、まったく戦略的がなかったのと比べると、フランスすげえ、ってなるから。
解説3
五輪の行き過ぎた商業主義へのバッシングが再び
オリンピック放映権は、サッカーW杯同様、高騰が止まらない。
国家が買うのだから国民は見られるけれど、税金で負担するという問題が、今回から新たな問題として浮き彫りになる。
スポーツを楽しむために、税金が使われるのはどうなのか、って問題だ。
そもそも五輪は、全人類に開かれたもの、のはずだ。
それが一部の金持ちしか楽しめないのでは、本末転倒だ。
しかし、フランス五輪チケットは残り少なく、それも一枚2700ユーロ、日本円にすると43万円だよ。
パリのホテルの値段は、夏のハイシーズンの価格の2倍、3倍つまり、通常価格300ユーロの3倍の1000ユーロ、16万2千700円だ。
フランスの五輪主催当局は、「2012年のロンドン五輪よりも、安上がりに楽しめるはず」などと言っているけれど、嘘だ。
スポーツを楽しむためにこんなにカネがかかる、そういう批判が世界から殺到し、五輪ひいてはスポーツイベントの存在意義が問い直されるだろう。
以上、ノストラダムスを気どってみました。
野呂 一郎
清和大学教授
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