今年あなたがランニングを始めるべき理由。
この記事を読んであなたが得られるかも知れない利益:ランニングの可能性はまだまだ計り知れないという話。現代人は頭でしか考えないけれど、身体で考えることをしないと、人は行き詰まるという仮説。それを証明してくれた?映画の紹介。
ランニングで救われた囚人
ニューヨーク・タイムズWeekly2023年11月のIn prison and beyond, running give inmates hope(刑務所の内外で、ランニングが囚人に希望)という記事には、大きなインスピレーションをもらいました。
記事の主役はカリフォルニア州サン・クエンティンに服役していた、テイラーさん50歳、第二級殺人で18年の服役を余儀なくされていました。
彼は家庭内暴力、性被害に耐えかねてアルコール中毒に陥り、妊娠していた当時のガールフレンドに暴力を振るい、彼女が身ごもった子を殺してしまったかどで、刑務所に収監されていたのです。
テイラーさんはこう述懐します。「オレはだめなヤツだと思いこむと、どんどんネガティブな方に行ってしまうのです。自分に対しての怒りを、どこへ持っていくか全然わかりませんでした。」
服役を終えたいまの彼が救われたのは、4年前でした。
地元の終身刑を言い渡された者たちのためのマラソン大会、サン・クエンティン・マラソン大会への出場を許され、ボランティアのコーチについて、テイラーさんは毎日夕食後にトラックを走ることを始めたのです。
テイラーさんはランニングを始めて「ランニングの最中、すべてがメンタルとスピリチュアルにはたらきかけている感じだ」と語ります。
彼の人生とマラソンは「26.2 to Life」という映画になりました。
26.2とは26.2マイル(42.164km)のことで、サン・クエンティン・マラソンの全距離のことです。
サン・クエンティン・マラソンは、ロンドン・マラソンやボストン・マラソンのような派手な舞台ではありません。
受刑者のためだけのレースであり、舗装されたきれいな平坦なコースが整えられているわけではなく、刑務所周辺のトラックを105周して、42キロを数えるというものです。
それでも、このレースは受刑者にとっての癒やしであり、救いなのです。
人生をリフトアップするランニング
テイラーさんは、いま時給17ドルのスーパーのレジの職を得ています。
犯罪を犯し、長い服役を経て、つらく長い道を歩いてきました。
彼は映画を振り返り、こう述べています。
「映画を見るたびに、自分の人生をふりかえる機会になっている。自分が原因で苦しんだ人、傷つけた人に対して責任を持たねばならないことを、思う」。
ランニングについて、彼はいまこう語ります。
走ることの可能性は無限
「ちょっと違う」と言われそうですが、この記事を見て、昨日テレビの「世界最驚映像」みたいな番組で偶然見たシーンを思い出しました。
冬の間、外に出れずに牛舎に閉じ込められていた乳牛たちが、春になって牧草地に一斉に放たれた映像でした。
牛たちは、みんな飛び跳ねて、喜びを表しているんです。
開放された喜びって、こういうものかなと感じたのです。
受刑者の走る喜びは、もちろん、もっと深いものでしょう。
それがテイラーさんの「自分を振り返ることができる、フォーカスできる」という言葉に表れています。
ランニングの高揚感という言葉も出ました。
これからまた書きますが、今年は「身体性の時代」だと思っているんですよ。
ランニングは、身体性の意味を教えてくれる、格好の先生ではないかと感じます。
今年、もしあなたが何か思い悩むことがあったら、大きな使命を果たすための迷いがあったら、ランニングを始めてみたら何か、つかめるかも、です。
野呂 一郎
清和大学教授
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