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TikTok にあふれる「コープスブライド・ダイエット」でアメリカの子供が危ない

この記事を読んで、高校生のキミが得られるかもしれない利益:いま、アメリカでおこっているTikTok をめぐる大きな社会問題。TikTok の問題体質とは何か。「見た目が10割」という風潮との闘い方。今後10年は皮相な外見重視が続くという予言。これからの時代、キミへの成功法則の伝授。

アルゴリズムは究極のマーケティング・ツール

アルゴリズムとは、人の興味が今どこにあるのかを探る仕組みである。

TikTokは、現在、最強のアルゴリズムを持っていると言われている。

https://www.google.co.jp/url?sa=i&url=https%3A%2F%2Fjp.techcrunch.com%2F2021%2F10%2F28%2F2021-10-27-tiktok-brings-its-video-kit-to-desktop-web-and-consoles%2F&psig=AOvVaw1iaCoQZtJgxEb9iecmis73&ust=1640069176544000&source=images&cd=vfe&ved=2ahUKEwjz2NX24_H0AhUO1ZQKHZOcBiYQr4kDegUIARDiAQ

それが高校生のキミたちにどう関係があるのかって?

それは、「TikTok はキミたち若者が何に食いつくか、キミたち以上に知っているから気をつけなよ」、ってことなんだ。でも気をつけようがないんだけれど・・

筆者

いま、アメリカでTikTok が非難にさらされている。

それは、ティーンの激ヤセ自慢動画が氾濫していることだ。

ガリガリに痩せて骨が飛び出た映像を、14歳の少女がアップする。

そして、「あんたもやったら、クリスマス前に20キロ痩せないよ、みっともないよ」、などとアオるのだ。

ほら言ったこっちゃない。

僕はインスタを批判した。

見てくれ第一主義を助長して取り返しのつかないことになる、って。

インスタは、今の世界の「ルックスが9割」みたいな悪しき風潮を助長しているんだ。

それは、「外見による差別」を撒き散らしていることにほかならない。

短い動画に特化したTikTok は、30秒でなるべく長く見せようとする仕掛けゆえに、よりエグいビジュアルを強調する。

その果てが、ローティーンの子どもたちによる、こうした間違ったダイエットを自慢し、強いるような動画だよ。

摂食障害を助長する動画

そもそも、フェイスブック、いや名前をメタに変えたんだっけな、この企業が買収したインスタグラムの青少年への悪影響は、アメリカ議会でも大きな問題になった。

それでも13歳以下の子供は金のなる木だから、フェイスブックは、配慮する、規制を強めるといいながら、実際はティーン用のインスタを開発している。

https://www.google.com/url?sa=i&url=https%3A%2F%2Fgigazine.net%2Fnews%2F20210416-experts-instagram-for-kids%2F&psig=AOvVaw3PTNJ7W5r5CK3qwcJJDE2D&ust=1640066586781000&source=images&cd=vfe&ved=2ahUKEwi5jeOj2vH0AhXRC94KHUw8D_kQr4kDegUIARDNAQ

TikTok はそれ自体が若者仕様になっているから、インスタ以上にその存在が、いじめや青少年の心身に悪影響を与える危険性は高いと言える。

TikTok のこの問題のダイエット動画って、どんな表現で煽っていると思う?

“コープス・ブライド(corpse bride死体の花嫁)“だよ。

https://www.youtube.com/watch?v=BmqsNVoTRYw

ジョニー・デップが声優をつとめたアカデミー賞のアニメ部門にもノミネートされた作品なんだけれど、下のビデオの終わりあたりにそのコープスブライドの絵が出てくる。

まさにガイコツそのものだ。

このアニメに紐付けるあたり、なかなかのセンスだが、まさに文字通り、これは死体を連想させ、エグすぎる。

The Wall Street Journalオンライン版2021年12月17日号の見出しはこうだ。

‘The Corpse Bride Diet’: How TikTok Inundates Teens With Eating-Disorder Videos(コープスブライド・ダイエット:どうやってTikTok はティーンを“摂食障害動画”漬けにしているのか)。

この見出しは正面切って、TikTokを断罪している。

TikTok がこうしたコープスブライド動画を垂れ流しにしており、その結果子どもたちに実際摂食障害が増えていることを非難しているよ。

実際、コロナでティーンの間にもウツが広がり、摂食障害も増えて社会問題になっているところに、こうした動画が追い打ちをかけた格好だ。

TikTok のスクリーニングをすり抜ける動画

なぜこうなるのか。

それは、強力すぎるTikTok のアルゴリズムのせいだ。

若者の興味のあることを探し出し、巧みにそれを持ち上げる。半ば自動的にやっているので、それが社会問題になるとあわてる。

しかし、そんなのは確信犯なので、あくまで反省はポーズにすぎない。

今回もTikTok 側は、「規制を強化する」などとは言っている。

もちろん、TikTokの内規、内部の倫理ルールなどはあり、社会的に問題のあるような動画は自動的に排除される仕組み、のはずだ。

しかし、そのスクリーンをすり抜ける動画がたくさんあるんだよ、実際は。

インスタもTikTok も、反社会的な動画が氾濫することを防止する、正しい努力が十分じゃない、それは衆目の一致するところだ。

さて、これからどうなるか。僕の見解はこうです。

動画SNSがもたらす近未来とは

⚪ますます見た目がいいことの価値が、TikTok 、インスタ等を通じて広まり、見た目という基準が、絶対視されるようになる

⚪TikTok 、インスタは結果的に「見てくれ絶対」という価値を広める”孵卵器”としての役割を強めるようになる

⚪見た目がよくないと、TikTok やインスタユーザーから認定される人々の間でウツや精神疾患、失敗感が広がり、彼ら彼女らの心身がますますダメージを受ける

⚪見た目の価値観が絶対視され、企業のマーケティング部門は、地道なマーケティング活動をせずに、毎分TikTok 、インスタをチェックし、見た目という文脈で流行を探るようになる

⚪昨日指摘した”スマホ依存“が加速する、しかしその依存の様相は少し変わってくる。自分をいかにTikTok やインスタでよく見せるかの画像、映像操作により多くの時間を割くようになる

社会はどうアルゴリズムの害と戦うべきか

1. 政府は、企業の自由な活動に介入できる新しい法律を作る。例えば青少年心身保護法。ウツや精神不安定を招くような表現を、監視委員会の判定のもと規制する

2. 見てくれを無視して成功したロールモデル(規範的人物)をプッシュし、「外見じゃないよ、中身だよ」を示させる

3. 学問が精神や内面の価値をもっと伝える。実際、今の世界の経営学のテーマは「人間性」だ。なのに、経営学は全然そういうことを社会に伝えていない

 TikTok やインスタの外見礼賛は、ある意味アルゴリズムが作り出した表面だけの”流行”に過ぎない。

人間の本性(ほんせい)は精神的な価値を尊ぶことにある。

ひとも企業もプロレスもその王道を歩むものが、永遠に続く成功を手にする。

それにいち早く気づき、実行するものが、不滅の繁栄を手にするのだ。

要するに、アルゴリズムと反対のことをやれ、ということだ。

筆者

なぜ、アルゴリズムが世界を滅ぼすのか

アルゴリズムと反対のことをやれ、を少し解説したい。

アルゴリズムは、人々の関心のありかを確かに教えてくれる。

https://www.google.co.jp/url?sa=i&url=https%3A%2F%2Fwww.ac-illust.com%2Fmain%2Fsearch_result.php%3Fword%3D%25E3%2582%25A2%25E3%2583%25AB%25E3%2582%25B4%25E3%2583%25AA%25E3%2582%25BA%25E3%2583%25A0&psig=AOvVaw2HC0vEQHTE0fZ69aXmzaaM&ust=1640068870359000&source=images&cd=vfe&ved=0CFoQr4kDahcKEwjY04Px4vH0AhUAAAAAHQAAAAAQAg

それがSNSというガラクタに乗ったが最後、人々がそれに飛びつく、企業がそれに乗っかる。ここに皮相なファッド(fad一時的流行)がまき起こるのだ。

企業も人々もそれに殺到するが、実体がないからすぐ終わる。

こういうサイクルが今後10年続くだろう。

こんなのは、しかし、本当のマーケティングじゃない。

マーケティングは、人々の本当の願いをかなえ、問題を解決する何かを、健全な形で提供するものだ。

こうしたまっとうな努力をせずに、アルゴリズムが作り出した実体のない流行に乗る人々と企業。

SNSが世界を滅ぼすとしたら、このシナリオだろう。

願わくばこれに気づく人と組織が多くなることを願う。

アルゴリズムは張子の虎だ

俳聖・松尾芭蕉は不易と流行という言葉を残した。

https://www.google.co.jp/url?sa=i&url=https%3A%2F%2Fpark.sjnk.co.jp%2Fquiz%2Fxz40211%2F&psig=AOvVaw0hbt84z7AAAvCv3eMHb48B&ust=1640068807287000&source=images&cd=vfe&ved=2ahUKEwjVgszG4vH0AhVsGKYKHXVjBcMQr4kDegUIARDeAQ

いまTikTok やインスタで展開されているのは、皮相な流行に過ぎない。

しかし、その表面的なブームは、期せずして、その反対の概念こそが、不易つまり変わらない価値であり、僕らが追いかける王道であることを物語っている。

コロナ禍だろうが、なんだろうが、これからわれわれが進むべき道は、すでにアルゴリズムという皮相な流行発見ガジェットが、反面教師として示してくれているのだ。

要するにアルゴリズムという、現代の打ち出の小槌は、一見そう見えるが、実は張子の虎に過ぎず、そんなコケオドシににだまされない知性をキミが持ってるか、ということが問われているんだ。

https://www.google.co.jp/url?sa=i&url=https%3A%2F%2Fwww.ikunas.com%2FSHOP%2Fg18276%2Flist.html&psig=AOvVaw2KfsgehaJD1nu4k_Bdfe7W&ust=1640068999868000&source=images&cd=vfe&ved=2ahUKEwjRmrai4_H0AhWDTPUHHS-hCvMQr4kDegUIARCPAg

それは僕ら大人も同じだ。

今日も最後まで読んでくれてありがとう。

じゃあ、またあした。寒くなってきたし、オミクロンもあるから、気をつけてくれよ。

野呂 一郎

清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー

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