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津波警報でわかった日本企業の3大弱点。

この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:偶然の出来事から判明した、日本人と日本企業の3つのウィークポイントとは。インバウンドという宝の山を、みすみす逃している日本企業の見識のなさ。なぜ、若者に海外体験させることが、日本を救うことになるのか。

休日のバスでの衝撃

休日なのに東京の隣県の職場に行くために、バスに乗ったんです。

運転席の近くに座っていると、時々面白い情報がはいります。

本社からの指示や情報提供なのですが、「あの道で渋滞、事故発生。迂回せよ!」とかのたぐいです。

https://qr1.jp/7p2FuI

しかし、今日の本社からの連絡は、すこし緊急性を帯びていました。

その内容がこれです。

「いま、全県に津波警報がでている。

このバスの目的地であるAアミューズメント施設は、津波警報が解除されるまで閉園を決めたので、乗客に告知されたい。なお、現在このことを知らされない観光客が、アミューズメント施設のゲート前に、うなだれ立ちつくしている。」

事実より

運転手は、その後、何のアナウンスもしませんでした。

なぜ、インバウンド客に気づかないのか

僕はこの本社と運転手の会話をよそに、「なぜ、第一に外国人観光客のことを考えないのだろうか」と、まず考えました。

日本人ならば、津波警報が出ているのを知っている人も多いし、仮に知らずにA施設に行っても、「津波かあ、しょーがないなあ」で済むでしょう。

しかし、外国人たちは違います。

この施設で遊ぶのを目的に、一目散に東京から2時間半もバスに乗ってやってきたのです。いや、下手するとこれだけのために、はるかな国からやってきたのです。

日本のプロレスを見るためだけに来日した海外のファン。https://qr1.jp/Pd7XD4

それがバスの中でも、津波警報のアナウンスもないし、閉園の知らせもないし、どうしたらいいのかのアドバイスもないのです。

ナイナイ尽くしで、A施設にたどり着いて途方に暮れるのです。

土地勘もないし、施設に入れなければ何をすればいいのでしょう。

何百人ものインバウンド旅行客が、今日は何時間も待たされ、おそらく津波警報は解除されなかったので、その場に立ちすくんで1日潰した方々もいたはずです。

日本人ならば、勝手がわかり自分で対応できるけれど、彼ら彼女らはほっぽられたら、いったいどうしたらいいのでしょう。

津波警報でわかった日本人3大欠陥

主観であり、私論でしかありませんが、以下です。

1.戦略性の欠如
2.国際性の欠如
3.ホスピタリティの欠如

筆者暴論

解説しましょう。

戦略性の欠如

戦略性の欠如とは、最重要項目をケアしてないということです。

戦略性とは、国や企業が最も成長し、繁栄する方向性のことです。

もちろんそれは企業の哲学や価値観、持てる力、環境などにもよりますが、観光業であれば戦略的方向性は、「インバウンド(訪日外国人)をリピーターにする」という命題であるべきです。

少子化の一方、参入事業者は増える一方です。解決策はインバウンドにフォーカスすることだけです

しかし国もかつては口にしていた「観光立国」をひっこめ、「新しい資本主義」などの訳の分からないフレーズを連呼しています。

国や企業のスローガンってね、人を動かさないと意味がないんですよ。

「新しい資本主義」で人が動きますか、これまでにない方向に動いてくれますか?     

国際性の欠如

国際性の定義は文脈によっても違うでしょうが、ここであえてこうします。他国の人々と自国の人々を区別せず、他国の人々に尊敬と真心を持って接し、こみいった状況においての英語での意思疎通がなんとかできる能力を備えたもの。

なぜ、運転手が英語でアナウンスをしなかったかを責める前に、会社がバスの中に全く目的地に関する英語(中国語、韓国語他)の情報を載せてないことに違和感を感じます。

これは戦略に戻らずを得ません。

インバウンド獲得を戦略の中心に据えてないんです。

だからこういう状況でのアナウンスが出ないのも、当たり前です。

国際化とは、企業トップの意識です。英語のコミュニケーションが大事だと思えば、まず運転手に英語を教えるべきでしょう。

運転手は英語のアナウンスくらいはできたのです。

しかし、このアナウンスのあとで、色々質問攻めにされた時に対応できないとなって、アナウンスもできなかったのではないか、そう感じました。

ホスピタリティの欠如

要するに親切じゃないってことです。

情報も与えずに、あてどもない開園をじっと待っている彼ら彼女らに、何のヘルプもしないで平気なのです。

困った人を見逃せない、という態度がない、とまではいいません。

でも、あえて言うと、欧米人に比べてそういう意識が弱いと、僕はいろんな局面で感じるんです。

一部で日本人はゼノフォビア(xenophobia外人嫌い)という評がたっているのも、火のない所に煙は立たぬだと思っています。

もちろん、これと正反対の事実もあります。

移民問題では、NGOの方々、ボランティアの方々が、人道的な観点から様々な貢献をしています。

しかし、それでも欧米人のホスピタリティの、彼らの差し伸べる手は、自然であり「人が好き」、を強く感じさせるものがあります。

インバウンドに向けてビジネスをするならば、先に上げた3つの能力の中で最も大事なのは、ホスピタリティだと思います。

ただ、彼らを喜ばしたい、日本をもっと知ってもらいたい、もっと好きになってもらいたいという意識があれば、それだけでビジネスができます。

観光ガイドなどという、定型的なジョブだけではなく、よろず相談でもいいし、オタク特別レクチャーでもいい。

彼らはもっと知りたがっているし、日本人と話したがっているんです、議論をしたいんです。

インバウンドは宝の山

安倍さんの言う「新しい成長分野に投資する」なんて絵空事ですよ、結局。

バイオだとか、再生エネルギーだとかって言われてきましたけれど、日本が独自の強みを持つ成長分野なんてありません。

文化だけ、じゃないですか。

文化をビジネスにするっていうのが、観光業ですよ。

ですから、観光業の主役である、インバウンド訪日外国人に国もフォーカスしなくちゃいけないんですよ。

少子化はどんどん進み、企業は売る相手がどんどん少なくなっていきます。

インバウンドしか、いないじゃないですか。

インバウンドという宝の山をみすみす、ミスしているのが日本という国なのです。

その象徴的な出来事が、今朝のバスのなかの出来事なんです。

若者に異文化経験をさせよ

今日の組織論で、さっそくこのテーマで講義しました。

でもね、やはり海外に行ってなかったり、興味がないと、僕の話を聞いてもわからないし、共感してもらえないかも、とは思いますね。

だから、日本の戦略は、「若者にどんどん海外を経験させることだ」、と信じます。

インターネットの普及で、海外は行かなくてもどんなところかわかるし、相対的に日本と比較すれば、日本の方がいいから、海外への興味が薄れている、とはよくいわれることです。

でも、戦略性、国際性、ホスピタリティを磨かないと、日本は成長できないんですよ。

そのためには、国をあげて若者に異文化を体験させることが大事ではないでしょうか。

戦争って、結局、相手のことをよく知らないことから起こるんです。

外国に興味をもたせる、そのためには、まずは海外に行きやすくすることではないでしょうか。

一部報告しましたが、今夏、中国山東省が日本の若者60余名を、受け入れました。

無料で中国・山東省行きをプレゼントしてくれたのです。

その効果は、これからはっきり現れてくると思うんですよ。

中国は、すごい国だ、正直そう思っています。

以上、年寄の戯言でした。

野呂 一郎
清和大学教授

                   

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