アップルにみる、新市場創出の失敗。
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:アップルに見る「市場を創る」とはどういう意味か。アップルAR新製品ビジョン・プロの市場性を考える。テクノロジーも便利だけじゃダメ、というお話。トップ画はhttps://qr1.jp/0BYIC7
アップル新製品を占う
いよいよアップルが”空間コンピュータ”の「Apple Vision Pro」(以下、ビジョン・プロ)を発表しましたね。
CEOのティム・クック氏は、この見た目はスキー・ゴーグル中身はコンピューターというガジェットに関して、ARと言うことばを使っています。
ARとは「Augmented Reality(オーグメンティッド・リアリティ)」の略で、拡張現実などと訳されています。
Augmentは拡大する、増加するという意味ですから、我々が現実と認識しているものの領域を拡大する、という意味です。
つまり、このスキー・ゴーグルをかければ、今まで見えないものが見えて、出来ないことができるようになる、一種のスーパーマン体験ができるってことですね。
ビジョン・プロは市場をつくれるのか
もうすでに、しかし、このビジョン・プロが作ろうとしているAR市場は、すでに燃え尽きだという指摘がされています。
ある業界人が「市場を創るなら、アップルに任せなよ、きっとやってのけるから」と言ったそうです。
この言葉の意味は、
、という意味です。
6月9日にアップル・CEOティム・クックがアップル・ビジョン・プロを
紹介したのが、そのタイミングでした。
しかし、僕はこのスピーチでは、ビジョン・プロという市場を創れないと思います。
BusinessWeek2023年5月22日号(P13-16)は、Apples's headset meets reality (アップルのヘッドセットが現実にぶち当たる)という思わせぶりな記事で、こんな分析をしています。
考えてみれば、ティム・クック氏の手になるアイフォンは、2億台を売ったのです。
このくらい売れば、新しい市場ができたぞ、エヘン、と胸を張れるのではないでしょうか。
ティム・クックの誤算
前述のBusinessWeekによれば、アップルは人々に
こう望んでいたそうなのです。
しかしさあ、たしかにメタバースだのARだのは、大きな可能性だと思いますよ。
でも、そのヘッドセットをずっとつけているのぉ?
ウェラブルって、いいにくい言葉が一時流行りましたが、すたれました。
wearable(装着できる)ということですが、でも暑い夏にウェラブルはいやでしょ?
眼球を使ってスクリーンを動かすって、それって快適なの?
ウェラブルって、腕時計が限界だと思うんですよ。
スキーのゴーグルみたいなのを一日中手放せない生活?
この暑いのに屋外でゴーグルつけて作業?
それって炎天下にマスクしろ、と言っているようなものでは?
人々は、人間の生理として反発したのではないでしょうか。
技術も便利ならばもてはやされ、イノベーションを生むでしょう。
でも、それが快適じゃなかったらダメだ、と主張したいと思うのです。
さて明日も、快適じゃない暑さが続くようですよ。
皆様、不要不急のお出かけはおやめくださいね。
野呂 一郎
清和大学教授
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