米ステーキハウス人気再燃にみる、富裕層のとりこみ。
この記事を読んであなたが得られるかも知れない利益:ここ2年で米ステーキハウスでの注文は肉が少なくなり、魚、エビが主役を奪いつつある。高級ステーキハウスは客の嗜好の変化に対応し、生き残っているどころか、その雰囲気が社会に再評価されている。日本も富裕層向けのサービスを充実させろ。
変わりつつある米ステーキハウス
たとえば、お客さんがステーキを頼まなくなったことです。と言ってもこの2年間でかつてより10%少なくなった程度ですが。
その理由はステーキの価格高騰です。
お客さんがステーキを頼むときは、大ぶりのステーキを頼んで、みんなで切って食べることが多くなってきました。
ステーキじゃなくて、サーモンとかシュリンプカクテルをメインに頼む客も増えています。
しかし、アメリカの高級ステーキハウスでのディナーは平均100ドル超(約1万5千円)ですが、その人気は健在で、再評価の動きさえあります。
ステーキハウスの”雰囲気”が再評価されてる
米国でステーキハウスといえば、店員は蝶ネクタイで正装し、客にもドレスコードを求め、お代はひとり1万円超、でも選ばれたものだけが入れる雰囲気(clubbyといいます)、セレブ気分を味あえる特別の場所というイメージです。
「ステーキハウスでデートって、かえって安上がりじゃん」という若者の声もあります。
「ステーキハウス特有の雰囲気」が、アメリカでは再評価されつつあるのです。
食品業界専門のリサーチ会社データエッセンシャル(Datassential)によると、人々はステーキハウスの雰囲気はそのままに、もっとバラエティのあるメニューを楽しみたいという調査結果がでています。
シカゴの有名ステーキハウスはメインディッシュにヒラメやカレイのステーキを40ドルから50ドルで提供しています。
ステーキハウスという空間価値
ベジタリアンの急増、草を食べさせる畜産は地球環境によろしくないとする価値観の広がり、健康のために肉を減らしたい層のデフォルト化など、ステーキ離れの風潮が強くなってきているのに、ステーキハウスの人気は衰えるどころか、ブームと言っていいほどです。
仄暗いがゴージャスなムードが漂う空間で、火で生の食材を焼くという人間の根源的な食の光景を楽しめる、これがステーキハウスの魅力なのです。
そろそろ日本も富裕層を狙え
ステーキハウスは若干、アメリカ的な価値観だとは思うんですよ。
要するにあの国は、アップスケール(upscale 高級路線)という言葉が普通に存在する国で、高級レストランがそれ相応の尊敬を払われ、生き残る文化があります。
日本はそれに比べると、世知辛いつまり景気の影響を受けやすいと思います。
日本に胸を張ってうちは高級です、といって憚らないレストランが少ないのは、そんなことが理由ではないでしょうか。
しかし、インバウンドの時代です。
ホテルも、欧米のように一泊30万のホテルがあってもいいし、東京ではすでに現実です。
インバウンド専門の高級ステーキハウスがあってもいいし、和食の高級レストランがあってもいい。
売りは雰囲気と料理のおいしさです。
米国のステーキハウス的な高級路線に舵を切ることで、国内の富裕層の潜在需要も引き起こし、僕は日本の外食産業がブレイクすると見ているのですが
野呂 一郎
清和大学教授
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