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高校生よ、親GAFAか、反GAFAかはっきりさせろ

この記事を読んで高校生のキミが得られるかもしれない利益:資本主義バッシングという流行をおさえる。資本主義vs社会主義のポイント。GAFA擁護のやりかた。M&Aの是非。効率とは何か。以上に関する洞察。

資本主義が忌み嫌われる時代


 最近「資本主義は悪」、という議論が沸騰しているよね。

資本主義の正反対の概念としての、共産主義にもスポットが当てられ、NHKの”100分で名著”という番組でも、マルクスの資本論が取り上げられていた。

アメリカでも、資本主義アメリカ時代の親友ポールから、昨日、フェイスブックのメッセージがあった。

 「お前はこの前クオモ兄弟のことでCNNについて書いていたけれど、もはやアメリカに中立の放送局やメディアなんてないんだ。特にテレビはグローバリストと社会主義者のプロパガンダ機関だ」。

ポール・デラメーター氏

(注:グローバリストとはsomeone who believes that economic and foreign policy should be planned in an international way…国の経済外交政策は国際的な観点から計画すべきだとする者)

ちょっとこれは聞き捨てならない。

ポールはかなりのインテリで、アメリカのメディアを真剣にウォッチしている。

その彼が、アメリカのメディアは極端なことを言うようになってきた、と感じている。資本主義批判、である。

資本主義の権化、アメリカに反資本主義のムーブメントが起きたのは、前回、前々回の大統領選で、民主党のサンダース氏が、「社会民主主義」を唱えたことに始まる。

https://www.google.com/url?sa=i&url=https%3A%2F%2Fforbesjapan.com%2Farticles%2Fdetail%2F32907&psig=AOvVaw2YbM0zE_dP8pI9ayAAJgfH&ust=1639666670527000&source=images&cd=vfe&ved=2ahUKEwjDhey8iOb0AhUyy4sBHYVSA74Qr4kDegUIARDDAQ


サンダース氏は、資本主義だけれど社会主義的な弱者救済を、特に学生の教育の機会均等を主張した。

グローバリストも社会主義的な匂いがする概念だ。

グローバリストの代表として、先の首相戦で負けた河野太郎氏やバイデン大統領の名前が上がることが多い。

https://www.google.com/url?sa=i&url=https%3A%2F%2Fmainichi.jp%2Farticles%2F20210913%2Fk00%2F00m%2F010%2F061000c&psig=AOvVaw1w4-QdAiGAlC5v4K7QiBQl&ust=1639666619616000&source=images&cd=vfe&ved=2ahUKEwiI1sikiOb0AhXXAqYKHfHeCG8Qr4kDegUIARC4AQ


トランプのアメリカ・ファーストとは正反対の位置、と言えばわかってもらえるだろう。

ポールの言葉を真に受ければ、今のアメリカの報道は、トランプ色が急激に弱まり、ハト派的な、左寄りに行っていると言えるだろう。今のメディアが資本主義への批判を強めていることも、この動きに沿ったものと言えよう。

資本主義の象徴GAFAは悪か?

現代の資本主義の象徴と言えるのがM&A(企業の吸収・合併)だ。

要するに大企業が金で独自技術、製品でのし上がってきたスタートアップ(新興企業)を買う現象が、現代の典型だ。

しかし、反資本主義に回ったメディアはM&Aを批判している。

特にGAFA(ガーファと呼び習わされるGoogle, Apple, Facebook, Amazon)がM&Aでスタートアップを買い漁ることへの非難が目立つ。

https://www.google.com/url?sa=i&url=https%3A%2F%2Fascii.jp%2Felem%2F000%2F001%2F824%2F1824976%2F&psig=AOvVaw28twsHvZdTNszbGofJ3NqF&ust=1639666565322000&source=images&cd=vfe&ved=2ahUKEwil7taKiOb0AhViGKYKHTutDV4Qr4kDegUIARDIAQ


GAFA各社が独占禁止法違反で世界各国、そして生まれ故郷のアメリカからも、石持て追われる今日このごろなのは、キミ達もご存知のとおりだ。

そんな中、「えっ?」と思う記事が目に入った。

BusinessWeek2021年12月6日号12ページ、U.S. Tech companies aren’t monopolies. They’re just thriving(アメリカのテクノロジー企業は独占じゃない。ただ成功しているだけだ)という記事だ。なんとも挑戦的だ。これはBusinessWeekの発行元であるBloomberg(ブルームバーグ社)の社説である。

ブルームバーグの言い分は以下だ。

⚪彼らアメリカのデジタル産業はGDPの9.6%を占めており、ほぼ製造業と同じである
⚪彼らは、およそ800万人の労働者を雇っている
⚪彼らは、需要のある実に様々な種類の製品を作っている
⚪彼らが批判されるM&Aは2つの企業にシナジー(相乗効果)を起こさせ、生産性を上げ、リスクを分散し、経営の効率を上げる
⚪M&Aのおかげでスタートアップ企業はすぐに新製品を巨大なマーケットに出すことができる
⚪M&Aはスタートアップにチャンスを与えており、投資家もそのことを評価している
⚪M&Aは、企業家精神、イノベーション、そしてアメリカのベンチャーキャピタル市場を顕著に成功させてきた失敗に対しての寛容さを鼓舞してきた。
⚪ 世界がうらやんできた、アメリカの経済ドライバーであるGAFAを取り締まることは、自分の首を絞める行為である

前掲BusinessWeek

確かに一理あるが、この理屈こそ、資本主義の本質を見事にあぶり出している。

効率とはなんだ

それはまさにブルームバーグが言っている「効率」だ。

資本主義の本質は「効率」なんだ。

https://www.google.com/url?sa=i&url=https%3A%2F%2Fwww.softbank.jp%2Fbiz%2Ffuture_stride%2Fentry%2Fcolumn%2F20201030%2F&psig=AOvVaw2KnuLbTo09nOM5riH2ec0R&ust=1639666736003000&source=images&cd=vfe&ved=2ahUKEwjusYjciOb0AhUiNaYKHfkHDHcQr4kDegUIARDcAQ

このGAFA擁護は、しかし、「効率は果たして社会に益をもたらすのか」、という本質的な議論が抜け落ちている。

そもそも独禁法に抵触しているからこそ、ペナルティを受けているのだ。

そして独禁法の趣旨とは「公平で平等な競争を促進する」という民主主義の精神を反映しているのだ。

ブルームバーグは経済メディアとして、GAFAに頑張ってもらわないと自社の売上に影響するのかな、そんな邪推もしたくなる。

M&Aはそもそもパラダイスではない。

両社が結婚し、あぶれる労働者がかならず出る。

無理やり結婚させられる弱者のスタートアップは、結婚したはいいが、一生頭が上がらない。

かくして、強制結婚でIT帝国はますます巨大化する。

あらゆる技術、スキル、人材をそなえた帝国に勝てる単体の企業はいずれなくなるだろう。

効率とはあくまで、IT企業に都合のよい効率に過ぎなく、社会全体の効率ではないのだ。

高校生のみんな、必ずキミたちは、世界に出ると、この議論に巻き込まれるよ。

「効率(efficiency)って何だ?」っていう議論。

海外に行く前にこの議論の準備をしておけ

今日の話を参考に、外国に行く前に自分の考えを整理するといい。

そして、ブルームバーグの主張の”パワーゲーム”も参考にしてもらいたい。

ポイントは、これでもかというくらいの、一方的なメリットをまくしたてる手法だ。でも、弱点は絶対言わない。

「どうだ、どうなんだ」という押せ押せの圧迫的で、一方的なたたみかけ、だ。

ディベート(論争)の授業でこれをやってみよう。

https://www.google.com/url?sa=i&url=http%3A%2F%2Fpdpda.org%2Fdebate%2F&psig=AOvVaw1GuR7hszjcO_GBgBi8nlh7&ust=1639666780373000&source=images&cd=vfe&ved=2ahUKEwivv5zxiOb0AhULCpQKHbzzBgQQr4kDegUIARDaAQ

あとは資本主義vs社会主義、サンダースの是非、IT企業が悪魔的手法で儲けているのは倫理的か(スマホ、インターネット中毒等)なんかも、キミが世界に出ると必ずふっかけられる議論なんで、用意しておくといい。

今日も最後まで読んでくれて、ありがとう。

かならずGAFAの論戦には絡んでくれよ。

野呂一郎

清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー

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