ムー的経済論。シリコンバレー銀ショックはリーマンショックと同じだった?
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:推理小説のトリックは隠そうとしても現れてしまうという事実。「ちょっと怪しいな」と思われる偉い人の言動が「なにかを隠している」証拠だったりする。リーマンショック時代と現代の環境の差が、米国政府の言動に現れているという事実。なぜ金利上昇が不況と失業を呼ぶのか。恐怖という経済を動かす、新主役の正体を暴く。以上のムー的な仮説を紹介。トップ画はhttps://qr.quel.jp/pv.php?b=3MiFw4c
なんかおかしい
シリコンバレー銀行、シグニチャー銀行、シルバーゲート銀行が相次いで破綻して、「すわっ、これはリーマンショックの再来や!」みんなそう思ったと思うんですよ。
でも今は「大丈夫、何もなかった」的なことになってますよね。マスコミも経済界も、アメリカもそして日本も。
象徴的なのは、米政府高官のこの発言です。「シリコンバレー銀行、はずべき経営の失態だ、恥を知れ」。
あらら、経営のせいにされちゃっている。
僕は、シリコンバレー銀行の破綻問題は、やがて来る信用不安つまり、銀行なんか信用できないっ!って人々が思うようになる恐ろしい未来を引き延ばしているだけ、そう思います。
その理由はこうです。
1.SNS万能の世の中になってしまったから
リーマンショックとシリコンバレーショックは実は同じだが、今の時代はSNSで事実がリツイートで拡散され、本質的な問題の一部が露見すると、ボヤがたちまち大火事になってしまう。
当局はそれを恐れて、シリコンバレー銀行ショックを、全力を挙げて「ないもの」にした。
2.銀行の取り付け騒ぎはコンテイジャス(contagious伝染性がある)だから
10数年前のギリシャの銀行破綻で、預金者が銀行にカネを引き出しに殺到した絵は、恐ろしかった。
今回もシリコンバレー銀行に預金者が殺到し始めたが、バイデンが「大丈夫、預金は守られます」とすぐに声明を出し、また銀行側も「預金には保険がかかってるから大丈夫」と安全宣言をしたので大ごとにはならなかった。
取り付け騒ぎが大きく報道されれば、金融不安というのは伝染するので、ましてやSNS時代にやばい、という認識が当局にはある証拠だ。
3.米民主党があまりにインフレ退治に熱心だから
トランプが出馬したら、バイデンは負ける可能性がある。
米民衆が一番政権に求めてるのは経済が上向くこと。
インフレ率4%のアメリカはやばい。だから連邦準備委員会(米の日銀)は急に4%まで利率を上げた。
シリコンバレー銀行ら例の3行は米国の長期国債をたくさん買ってたから、金利上昇で、利息支払いが激増、それが経営を逼迫して全行討ち死に。
これは、米政府が銀行よりも、自分たちの延命を優先したから。
シリコンバレー銀行、シグニチャー銀行、シルバーゲート銀行はバイデン政権のスケープゴートになったにすぎない。
4.アメリカ企業の人的資本完全無視という文化
シリコンバレー銀行、シグニチャー銀行、シルバーゲート銀行の共通点は何か。
それはテクノロジー業界つまりIT産業が主たるお客さんだということです。
預金している人も、お金を借りている人も、IT業界です。
IT業界ってコロナで大儲けしましたよね、コロナバブルでそれ行けってなもので、どんどん設備投資し、事業拡大し、エンジニアをどんどん雇い、そして莫大な利益を得た。
でもコロナが終息し、祭りの終りを迎えたわけです。
そんなの奴らは最初っからわかってたんだよ。
コロナで新規採用された人たちは、ショートリリーフで、彼らの金儲けのダシにされただけ。
ツイッターは可愛そうだったね、最初に大量レイオフで非難の矛先を向けられちゃって、アップルだって、グーグルだって、メタだって、大量解雇したのにさ。
都合のいい時に、企業が解雇することを「流動性が高くて、だからアメリカは強いんだ」だ、などど持ち上げる向きがあるけれど、経営学の立場じゃあ、人的資本というかけがえのない資産をそんなずさんに扱うのは、とても経営とは呼べないよ。
5.FEDの政府にものが言えない構造
FED(連邦準備委員会)は急に金利を上げたら、米国債をたくさん買っている中堅銀行が破綻するのはわかっていたんだよ。
そしたら、金融恐慌が起こり、全米で取り付け騒ぎが起こって、リーマンどころか1923年の大恐慌再来になるかもしれないとわかっていた。
しかし、それよりも民主党政権がインフレをどうにかしないと、共和党に負けちゃうから、金利を上げろという圧力に負けたんだ。
まあ、政治だよね。
これから本格的な不況が来る
ムー的な予想みたいだけれど、これはBusinessWeekが最新号の社説(2023年3月20日号P9 History shows that when the Federal Reserve is raising rates, an unexpected shock can trigger a recession 歴史は連邦準備委員会が利率をあげようとすると、予期せぬショックで不況が来る)で言っていることだから、書くね。
その前に、俺流で言うとこうなる。
確かにね、もともとシリコンバレー銀行は、規制やサーベイランス(当局による監視)が弱かったんだよね。
それは米議会も、連邦準備委員会も責任があると思うよ。
もう一つの連邦準備委員会が利率を上げて、国が傾き、金融業界が悲鳴を上げた事例をあげるね。
これは2001年のいわゆるドットコムバブル崩壊と、2008年のリーマンショックだ。
いわゆる2001年のドットコムバブル崩壊、我が世の春を謳歌していたIT企業の株が一斉に下がった事件。
そして規制がずさんすぎた住宅業界で、格安住宅ローンが金融界に広がって世界中が大不況になったリーマンショック。
成長は鈍化し、人々の不安は広がった。「次に何が起こるのか」とみんな疑心暗鬼になったというより、恐怖が市場を支配したんだ。
投資家や銀行は安全のため市場からカネを引き上げ、人々は倹約し始め、そして企業は従業員をどんどんクビにするようになった。
だから、金利を上げると、失業が増えるのだ。
それは歴史が証明している、そうBusinessWeekは言うんだ。
ぼくじゃないよ。
今朝、僕がいつも楽しみにしている羽鳥慎一モーニングショーで、
出演者たちが、「なぜ、日本はアメリカみたいに、金利を上げてインフレを退治しようとしないんでしょう」って言ってたけれど、そんなことをするとアメリカと同じように不況になり、失業者が増えるだろう。
だから、異次元の金融緩和のままでいいんだ。
恐怖というムー的な真実
以上、多少ムー的な陰謀論を交えて、私的経済論をぶっちゃった。
あえて言うと、僕がいいたかったのは「恐怖」だよ。
要するに現実と人々の気持ちは、違うってこと。
恐怖っていうのは、理屈じゃないから恐ろしいんだよ。
特にカネに関して、人間は不安になるとパニックになるってこと。
その象徴が銀行でしょ。
取り付け騒ぎなんか、見たらもうだめ、だろ。
為政者は、テレビ局に圧力をかけてもその絵を見せちゃダメだ。
恐怖はすぐに広がる、ましてやSNSの時代だ。
SNS時代、なんでもないことから恐怖が生まれ、社会がパニックになる、それがある時代だということ、そう思う。
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
じゃあ、また明日お目にかかりましょう。
野呂 一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー