超自然派コスメ・エルフの温故知新マーケティングとは?
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:原材料、製造工程にとことんこだわる自然派コスメのエルフ。やっていることは最先端だが、マーケティングは基本に忠実。だが、流行も考えながら取り入れている、いわば「温故知新」のマーケティングだ。あなたのマーケティングも、エルフからエルものがあるかも、だ。トップ画像はhttps://qr1.jp/GfKJ1A
エルフとは何者?
「e.l.f.(エルフ。E.l.f.とも)」は、低価格でありながら、ヴィーガン、クルエルティフリーな製造過程で品質にとことんこだわった、アメリカで人気の自然派コスメブランドです。
聞き慣れない言葉が2つ出てきましたが、これがまさにエルフの差別化なのです。
ヴィーガンは完全菜食主義者です。肉、魚、卵も食べない人たちです。
クルエルティフリー(cruelty free )は、文字通り「残酷さとは無縁」という意味で、化粧品の開発・製造・市場進出などにおいて、製品が消費者の手元に届くまでのあらゆるステージで、動物を用いた実験をやらない方針のことです。
日本ではまだ知られていませんが、これから来ますよ。
まだ来ない理由は、エルフは実験が大好きな企業で、やり方がコロコロ変わる(笑)からです。
ダーウィンは、こう言いました。
「唯一生き残ることができるのは、変化できる者である」
エルフはそんな企業なんです。
TikTok 禁止にも動ぜず
今、若者向けのマーケティングに力を入れてきた企業は、みんな困ってます。
TikTok がアメリカ政府の方針で、市場から撤退したからです。
でもエルフは、「他にやり方があるさ」と涼しい顔です。
エルフのマーケティングはデジタルに軸足を置いていて、TikTok などの先進メディアを好んで使っていました。
でも、もっと先進的なプラットフォームである、ロブロック(Roblox)も使っています。
このメディアは、ユーザーがゲームを作成、共有し、他のユーザーが作成したゲームをプレイできるオンライン・ゲーム・プラットフォームで、ネットの説明によれば、「鬼ごっこやかくれんぼなど、子どもらしい遊びのできる“遊具”が存分に用意された広い公園で、タブレットでタッチ操作できるので、ゲーム機などより直感的に遊べる」、これからのゲーム空間のようです。(ああ、長っ!)
さらに、エルフはアマゾンが運営している、Twitch(ツイッチ)という、動画配信用プラットフォームにも手を出しているんです。
これも僕はよくわからないのですが、ネットの説明によれば、ゲーム配信に特化したサービスで、eスポーツに関わるプロゲーマーの多くが利用しているプラットフォームです。
エルフという会社は、常に新しいメディアをテストしているんです。
TikTok がなくなっても、こういう適応のスピリットで、進化していける企業といえましょう。
エルフの温故知新マーケティングとは
それは、ほんとにイヤになっちゃうくらい、基本的なことなんです。
つまり、「うまくいっているマーケティングには、もっとカネを注ぎ込み、うまく行ってないマーケティングはやめちゃえ」ということです。
具体的にいうと、1年間そのマーケティングをやって売上が伸びたなら、例えば13%売上が伸びたら、次の1年は今度はマーケティング予算を16%に増やす、という具合です。
16%売上が伸びたら、今度は20%にします。
もう一つは、実店舗での展開をあきらめちゃっている、潔さです。
エルフはブリック・アンド・モルタル(brick and mortalと言われる伝統的な店舗)から、自社以外の販売ルートそしてオンラインに完全に移行しているんです。
あくまで販売実績を重視するんです。
この売上第一主義、常に目新しいプラットフォームをテストする実験精神、店舗にこだわらない姿勢は、古きを温め、新しきを知る、温故知新マーケティングと言えるのではないでしょうか。
僕的には、このマーケティング姿勢よりも、ビィーガン仕様、クルエルティフリーという哲学により興味を持った次第です。
エルフの続報があればまた書きますね。
野呂 一郎
清和大学教授
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