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トランプ最新刊での驚くべきトランプ悪口。だが直接選挙で選んだだけ、総裁選よりずっとマシ。

この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:英語で学ぶ率直な悪口の見事なバリエーション。総裁選という密室の権力闘争への疑問。リーダーシップが教科書どおりではない証拠。トランプの正体。直接選挙と間接選挙。日米政治文化論。

トランプの最新本、I alone can fix it(俺だけが立て直せる)が届きました。

個人的にトランプを研究しリーダーとは、アメリカ政治の何たるかを自分なりに理解したいと思って買いました。

この本、発売されたばかりでもちろん日本語訳も出てないんですが、トランプを賛美しているのか、けなしているのかわからない本なんですよ。作者のふたりはワシントン・ポストの記者です。

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ネタバレにならない程度に、今後の連載でおりに触れ紹介していきたいと思うのですが、それにつけても思うのは、日本の今やっている情けない総裁選とアメリカ大統領戦の、大きな違いです。もう、いい加減日本も我々のリーダーを我々の手で選びましょうよ。それが今日僕が言いたいことです。

親分の顔色をうかがっているだけの候補者


勝手にやってるじゃないですか。民意なんてかけらもない。

要するに自民党内のパワーゲームでしょ。キングメーカーたちがいる、安倍、二階、麻生たちです。

それらの派閥に自民党の政治家がほとんど全員参加しているのは、彼ら領袖たちの庇護のもとにないと、次回の当選がおぼつかないからです。

いろんな恩恵が受けられないからです。今回、派閥の外にいた菅さんが失脚して、一層派閥の恩恵を思い知ったことでしょう。

河野さんが麻生氏に出馬の打診に行ったことが言われてますが、自民党の政治家は、いや、日本の政治家という政治家はみんなそうかもしれませんが、親分の顔色だけ見てるだけ。自分などないのです。

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河野さんが首相になっても政策から、何から何まで麻生氏の利害に抵触しないものになるでしょう。麻生氏のロボットということです。

立候補すら、キングメーカーのご機嫌を伺わないとできないし、そもそも自分のポジションだって、周囲のご機嫌をうかがったり、忖度して確保するのです。

要するに風見鶏です。鶏口となるも牛後となるなかれ、などという気概などありません。どこにつくのが得かしか考えていない、鶏でも牛でもない、それ以下です。

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アメリカよ、心配無用だ

アメリカよ、あなたがたはリーダーがコロコロ変わる日本を信用できないっていいますけれど、大丈夫だよ。誰がなっても同じだから。

派閥に忖度して、親分の顔色をうかがって、その親分も自民党内でなるべく波風立たないようにやるから、結局は誰が首相になっても同じ政策になるから。

しかし、見事に民意が無視されている。自民党のお山の大将を決めるだけの醜い争いを見せられているだけです。国のリーダーっていうんじゃ、そもそもないんです。

トランプの「悪役キャラ」を受け入れたアメリカ人

そこにいくとアメリカはダイレクトにリーダーは誰にするかという民意を問う、直接選挙。

もちろんその前に民主党、共和党の代表を決めなきゃならないけれども、これも予備選という直接選挙があります。

大統領選は人柄というか、人格というか、キャラクターを人々が見定める選挙だと思うんです。

しかし、トランプの場合は前代未聞でした。悪役キャラ、だからです。みんな有権者はやんちゃ、無礼、自分勝手っていう彼の特性は知っていた。それでもヒラリーの権威臭さと疑惑が嫌いだったアメリカ人は、彼のキャラクターを選んだのです。

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政治家の経験なんかないし、政治的手腕など未知数、ビジネスの成功者ではあるが、その強引なやり方も知れ渡っている、

トランプのこのキャラクターをアメリカ人は選んだのです。

でも、アメリカ人はそういうキャラクターを受け入れる国民性はありましたし、何よりも旧来の結局は大企業や金持ち優遇という政治を変えたかったアメリカ人は、悪しき政治慣習にズブズブのヒラリーよりも政治素人のトランプをあえて選択した、とも言えるでしょう。

政治家のキャラクターを見定めるのが選挙

選挙とは、まず有権者がリーダーのキャラクターを受け入れる儀式ではないでしょうか。キャラクターこそ、政治家の全てだと思います。

2016年トランプを選んだ米大統領選は、難があってもトランプのキャラクターが受け入れられたという重大な歴史に残る大統領選でした。

ところでこのトランプの新刊ですが、酷いんですよ、冒頭トランプの悪口がここまでいうかというくらい書いてあります。原文を見てみましょう。

トランプの正体

He displayed his ignorance, his rash temper, his pettiness and pique, his malice and cruelty, his utter absence of empathy, his narcissism, his transgressive personality, his disloyalty, his sense of victimhood, his addiction to television, his suspicion and silencing of experts, and his deception and lies. 

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(トランプは最初の3年間で以下を見せつけた。無知、すぐ怒る、ケチ、狭量、立腹、悪意、残酷さ、共感がまるでないこと、ナルシシズム(自己陶酔)、慣習に逆らうパーソナリティ、忠誠心のなさ、被害者意識、テレビ中毒、専門家を信じないことあるいは無視、ごまかし、ウソ。)

どうですか皆さん。英語ってすごいなあと思うくらいの豊かな、トランプ非難のこのボキャブラリー。

でも、重要なことは、こんな一見ひどい人間的欠陥をもっている人物が、先の大統領選で7000万票を獲得しているという事実です。

いまなお、大統領の悪役キャラクターを大多数の国民が受け入れていること、これは非常に重要なことを物語っています。

それは、「トランプは想像よりずっとひどい人物だった。でもひどいキャラクターだからこそ、さらなる改革をやってくれる」という、逆の意味の期待ではないでしょうか。

リーダーって何だろう。ますますわからなくなってきた

トランプに票を投じた7000万のアメリカ人にとって、トランプこそがアメリカのリーダーなのです。

ということは、リーダーは悪役キャラでもいいってことです。品行方正じゃなくてもいいってことです。

これは、リーダーシップの普遍的なセオリーである、リーダーは人格者であるべき、に完全に違反します。

現実が理論をぶち破った例と言え、僕ら研究者の端くれにとって大変重要なネタを提供したと言えましょう。

それでも、です。

リーダーシップの定義は別として、国のリーダーは国民が決めるべきです。

そして、国民は直接選挙で人柄を、キャラクターを見るんだと思います。

人柄、キャラクターこそ、何が期待できて、何ができないかを物語る最重要要素だと考えるからです。

密室で決められたら、それがわからないし、そもそも僕らが決めたリーダーじゃない。

もういい加減、内輪の総裁選をやめて、直接選挙でリーダーを決めませんか。

まあでも、今の政治家はどうせどっかの派閥に属してて、領袖の言うがままのロボットで自分なんかないんだろうけど。

首相になったらやりたいことやりますって言う人はいるけれど、今まで忖度や風見鶏で生きてきた人にそんなことできやしないだろうけど。

今日も最後まで読んで頂きありがとうございました。

ではまた明日。

                            野呂 一郎

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