米ビール大戦争勃発!メキシコのビールがUFC参戦の謎を追う
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:アメリカ最新ビール覇権のゆくえ。Z世代にウケるビールとは。どうしてメキシコ・ビールがアメリカでウケるのか。アメリカ・ビール大戦争にみる、これからのマーケティング。
青島ビールと山東省
今回の中国行きでは山東省を訪ねたのですが、ビールで世界的に有名な青島に二泊しました。
青島ビールはおいしかったです。
タイのシンハービールもそうですが、やはり地元のビールは地元の食事とあいますねえ。
山東料理は、非常に日本人の口に合う中華というか、むしろ中華としてはおとなしい味付けのような気がしました。
それだけにやや淡白な、ビールというよりは炭酸水に近い軽いテイストの青島ビールは、食事に合うというのが僕の感想です。
しかし、通訳のLさんは、「日本で刺し身をキリンラガーで飲るのが、一番うまい」などと言うのです。
日本人が青島ビールが上手い、中国人はキリンラガーだ、などというのは、人間はエキゾチックな飲み物に惹かれる、ということかもしれません。
アメリカ最新ビール情報
案外その「ひとはエキゾチックな飲料が好き」っていうのは、いい仮説かもしれませんよ。
なぜならば、今、アメリカではメキシカン・ビールが市場を席巻しているからです。
この20年間最も売れているビールは、バドライト(Budlight)でしたが、この6月にバドライトは王座から転落、かわりに覇権を得たのはメキシコのモデロ(Modelo)でした。
「モデロって、どんな味なの?」と、皆さんは聞かれますよね。でも、飲んだことがないからわからないんですよ。
でもニューヨーク・タイムズWeekly2023年8月には、なぜこの外国産ビールが、アメリカの国民的ビールというべきバドライトを破ったのか、ヒントが書かれているので、見てみましょう。
ビール関係の皆様に何かマーケティングのヒントが見つかるかも、です。
近年の売れ筋ビールの特徴
モデロ・ビールの特殊なポジショニング
なんとなく皆様は、モデロビールってやつの正体が見えてきたかもしれませんね。
でもね、モデロは今までアメリカ人に対して、マーケティング・キャンペーンみたいなことをやってきてないんですよ。
次に紹介するプロモーションは、これが初めてのモデロの英語でのキャンペーンなんですって。
なんと、あの究極格闘技UFCのVRとからめて、売り出しているんです。
それと、ポジショニングが笑っちゃうっていうか、面白いんです。
これを見て下さい。
「ゲームのある日に飲むビール(game-day beer)」っていうのが、新マーケティング戦略のキーワードなんです。
要するに、MLBのNBAのUFCの試合を見ながら、ライブの興奮をアテに飲むビールという位置づけです。
ですので、横軸には闘争的vs家庭的という解説を入れてみました。
このキャンペーンは、モデロビールの直近数ヶ月の売上をもり立てて、バドライトを抜いた立役者になったか可能性があります。
結論
僕があえて結論づけるとすると、逆に今まで宣伝しなかったことが、エキゾチックな神秘性を印象付けてたからじゃないでしょうか。
僕は世界のマーケティングは、いま袋小路にはまっていると見ています。
ウェブマーケティングは終わりで、人間性、倫理性という基本的な流れの中から、一見奇天烈なやり方というのが答えだと思っています。
外国の例ですが、このモデロビールの成功にも、何か需要なヒントが隠されているはずです。
例えば、文化、とか、「ゲームのある日に飲むビール(game-day beer)は重要なキーワードだと思います。
あえて解説はしませんが。
野呂 一郎
清和大学教授
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?