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差別の世紀がはじまる。
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:ハーバードがアジア人差別で訴えられた件。アジア人差別が拡大する傾向を憂える。
中国、強さの秘密
ゼロコロナ政策が失敗し、コロナが再び蔓延、中国の「新しい資本主義」のほころびが顕著に見える中国。
しかし、問題は山積しているけれど、世界第二の経済大国で今や、アメリが最も恐れている国になったことは明らかなことです。
これは拙著「ナウエコノミー -新・グローバル経済とは何かー」にも書いたのですが、その秘密は中国の今の幹部が、ビジネススクールやアメリカの有力大学(院)で勉強してきたからです。
アメリカ流の実践的なアカデミズムが中国発展の原動力になっていると、僕は見ています。
アメリカは今、そのことでジレンマを抱えているように見えます。
ハーバード大学が訴えられた
スチューデント・フェア・アドミッション(Student Fair Admission)が「アジア系アメリカ人を制度的に差別している」として昨年10月最高裁にハーバード大学を訴えたのです。
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ニューヨーク・タイムズが報じるところによれば、アジア系入学希望者は、米大学に留学するときに、いわれなき差別に遭遇するといいます。
ハーバードの件は具体的にわかっていませんが、おそらくアジア系の志願者が直面している以下のような現実が関係していると思われます。
カウンセラー(大学進学アドバイザー)たちは、アジア系の名門大学進学希望者たちに、こう指導します。
1.志願書のエスニシティ(ethnicity民族)の欄にはチェックを入れるな。
2.志願書の趣味の欄にバイオリンと書くな。アジア系の「あるある」だから。チェスの趣味も、アジア人と結び付けられるから、隠した方がいい。
3.アドバンスト・プレイスメント・エグザム(Advanced Placement Exam第二外国語のようなもの)で中国語を選ぶな。中国人だと思われ、点数を引かれるから。
勿論、そんな努力をしたところで、ラストネームで中国人と分かってしまうのですが、中国人を含めアジア系アメリカ人は、目に見えない差別があることをよく知っているのです。
ハーバードは公平か
ハーバードの中国人入学差別というのも、こうしたことが問題視されたのではないかと思うのですが、僕はもっとうがった見方をしています。
この問題はアジア系アメリカ人だけではなく、企業や政府を含めたアジアからの留学生にも、当てはまるものです。
うがった見方とは、もし有力大学、大学院でアジア差別があるならば、アメリカの国策が影響しているのではないか、と。
だってそうですよね、敵に塩を送るようなものじゃないですか、敵国の将来官僚候補生を優秀な人材に育て上げるとすれば。
教育機関もDE&I
昨日の記事でこんなことを書きました。
ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンの3語は、現代の企業の必須の価値観とされていて、これが欠けている企業はよい企業とはみなされない。この3つを標榜していることを(DE&I)と呼ぶこともある。
もちろん、ハーバードもDE&Iですし、ある調査ではハーバードは入学差別はしてない、との結果もでています。
しかし、教育機関は政治から独立している、外部からのどんな圧力も受けないという建前は、現実の前に脆くも崩れているのではないでしょうか。
米国はもう、中国人を優秀にして、アメリカに牙をむかせるような余裕はないのではないでしょうか。
僕の知り合いのカナダ在住の日本人も「アジア系がカナダの一流大学に入れなくなった」と言っていました。
差別の世紀が始まる
コロナの真犯人と目され、アメリカで中国人をはじめアジア人が襲撃されるケースが増えているという報道を、皆さんも目にしたことがあると思います。
潜在的な差別が、コロナ中国発祥説と相まって、危ない動きになっています。
折しもアメリカではトランプの登場で分断が進んでいます。教育を受けた支配層と、大学に行けず貧困に苦しむ非支配層という構図です。
いまやエリート大学に行ける資力を持った中国が、貧富の差がますます広がる分断の大国を見下ろしている、これが現実です。
差別はなくなりません。それは人間に内包された時限爆弾のような存在で、強制的な規制がなければ、何らかのきっかけで暴発します。
1991年のロドニー・キング氏が警官に暴行を受け、2020年には黒人のジョージ・フロイドさんが白人の警察官に首をひざで押さえつけられて死亡したのがきっかけで、全米に大暴動が起きた例を上げるまでもありません。
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アジア系グループは複雑で、500以上のグループが存在すると言われています。求心力がなく、キング牧師のようなグループをまとめるカリスマも存在しません。
アジアが繁栄すればするほど、差別にかかわる問題は大きくなってくるでしょう。
ハーバードの問題は、アジア人に対する差別の世紀の始まりの狼煙のような気がしてなりません。
こういうところで日本はリーダーシップをとるべきだと思うのです。
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
じゃあ、また明日お目にかかりましょう。
野呂 一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー
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