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トランプ銃撃波紋。「アメリカ・ファースト」の論理的矛盾。

この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:どちらが大統領になろうが、アメリカ最大の問題は、「対テロ」をどうするか、だ。MAGA「アメリカを再び偉大な国に」なんて言っている隙に、アルカイダやイスラム国は西アフリカあたりで暴れている。遠く離れた文化も政治も全く違う国々と、どううまくやってのけるか、これができる大統領こそが求められている。トップ画はhttps://x.gd/DhYMo

ヤバいアメリカ

何がヤバいかって?

それは、トランプ襲撃でトランプが助かったのは「神の御業」だとか、ひどいのになると「トランプこそ神」なんだとか。

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こうしたムードが全米を覆っている。

私見を許してもらえば、トランプ現象とはかつて暮らし向きがよかった非大卒白人層が苦しくなり、お題目だけ唱えて何もしていない従来の指導者たちへの反乱を開始した現実、ということだ。

理想より、パンなのだ。

パンがほしいのに理屈はいらない。

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だから民主主義なんて、理想はいらない、暮らし向きをよくしてもらえばいいのだ。

敵は中国と移民だ。

中国の輸入品がアメリカ産品の出番をなくし、移民が白人の仕事を奪ったのだ。

トランプの図式は、善vs悪を創り、自分こそがベビーフェイスと誇って見せるというものだ。

これはまさにWWE(World Wrestling Entertainment世界で最も儲けているプロレス団体)そのものではないか。

そう言えばハルク・ホーガンが、おととい共和党大会でトランプの応援演説をやったらしいな。

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論理は感情に勝てない

善vs悪。

善は自分で悪は中国、移民、そして民主党だ。

トランプにとって、北朝鮮とロシアは悪ではないことに注目してほしい。

最近も「核をたくさん持っている国と仲良くするのはいいことだ」などと言い放っている。

ロシアに関しては、前回の選挙でロシアの支援を受けたからなのか、プーチンを非難したことは一度もない

怖いのは、トランプ支持者、つまり国民の約半分が、こんな反民主主義の国々を是認している人物を祭り上げていることだ。

祭り上げるどころか、今回の事件では神格化、神に昇格させているのだ。

アメリカはまだ民主主義の良心が残っているはずと信じていた世界は、裏切られたのだ。

でも、これが人間社会の真実なのだ。

理想よりも現実、論理よりも感情が勝つ、ということだ。

アメリカ・ファーストとは、「自分だけがよければいい」という思想であり、態度のことだ

民主主義などくそくらえ、自分の給料が上がればいい、ということだ。

でも、それがなぜ悪い、と言われると、僕も困ってしまう。

悪くない、それが人間の性だからだ。

政治家はそこをついてくる

トランプはうまいよな、そこをついてくる。

人間の弱さを、だ。

きれいごと民主主義じゃ食えない、ってことだ。

民主主義とは、他者のいうことを丁寧に聴こうとする態度のことだ。

その反対が、専横主義だ。

辞書などでは「強大な政治権力を持つ支配者によって,独断的に行われる政治形態」等と書いてある。

今回のトランプの復活演説を見て、共和党員の一部からも「共和党はトランプ党になり下がった」という声が聞こえる。

しかし、民主主義じゃダメなのか?

いや、そんなことはない。あるわけがない。

結局のところ専横政治を許すことは、長期的に見て国家のためにならない

中国とロシアを見れば、それは明らかだろうし、独裁政権が世界の平和に貢献したためしなど、ない。

西アフリカで苦戦するアメリカ

結局、アメリカファーストの姿勢は、アメリカを滅ぼしかねない、危険な考え方だと思う。

なぜならば、世界は、各国は強調の姿勢がないと生きていけないからだ。

人間社会だってそうだろう、自分だけが幸せになろうなどとしている人が、幸せになったためしなどないのだ。

具体的に言うと、アメリカは9・11以来国家的課題として、世界で相変わらず頻発しているテロを抑え込まなければならないのだ。

ニューヨーク・タイムズは、西アフリカでのアメリカのテロとの戦いが首尾よくいっていない現状を報告している。

ニューヨーク・タイムズWeekly2024年6月30日3面U.S. confronts failures as terrorism spreads in Africa (アフリカでテロが拡大しているが、アメリカは失敗を突きつけられている)

西アフリカ諸国とは、マリ、ギニア、ブルキナファソ、ニジェールといった国々のことだ。

これらの国々ではアルカイダ、イスラム国のテロリストが暗躍しており、テロ事件も頻発している。

アメリカファーストなんて、そもそも論理が破綻している

セキュリティ・ファースト、最初に来るべきは国家、国民の安全保障なんだって。(越中詩郎ふうに)

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だから、西アフリカでテロをやっつけることが、トランプでもバイデンでも、最も最初にやるべき国家課題なんだって

だけどうまく行ってない。

これを詳細に説明すると、長くなってしまうので、アメリカ海軍の特殊工作長(a member of the U.S. Navy SEALs, director of operations for U.S. Special Operations forces on the continent)であるスコット・フェントレス氏(Captain Scott Fentress)の言葉を引用しよう。


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「我々はアフリカ、特に西アフリカで学んだんだ。信頼を得るってのは、難しいってことをね

前掲ニューヨーク・タイムズより

このフェントレス氏の言葉は、解説するまでもないが、「まずは相手の話を聴くことから始めないと話にならない」ということだ。

つまり、民主主義的な態度がないと、平和など構築できない、ということだ。

トランプに聞かせてやりたいね。

野呂 一郎
清和大学教授

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