高校生よ、とりあえず大学にいけ。
この記事を読んで高校生のキミが得られるかもしれない利益:”相対的貧困”という現実を受け入れよ。生産性とは何か。生産性を上げる3つの方法。なぜキミが大学に行くべきかの理由。
日本は貧困国という現実
新年にあたって、未来のリーダーであるキミは、これを考えないわけにはいかない。
日本の最大の問題点は何か、ということだ。
それはずばり、貧しさ、だ。
もちろん、それは、住むところもなく、食べ物にも事欠くという”絶対的貧困“ではない。
日本の生活水準、文化水準に照らして困窮している、いわゆる”相対的貧困“に苦しむ人が多い、ということだ。
上図は過去30年間、相対的貧困率も子どもの貧困率も、上昇傾向にあることを示している。
世界を見ても、日本の相対的貧困率(赤塗り箇所)はOECDの平均を上回っていることがわかる。
日本人の賃金も30年間上がってない。
このことが相対的貧困率の上昇とも関連があることは、明白だ。
成長と分配を掲げる岸田政権は、大企業に無理やり給料を上げるように働きかけている。
賃金イコール生活水準だからだ。
日本が貧しいままだと、キミの将来も貧しくなる
貧困率や賃金が上がらないことは、高校生のキミはこのデータを見なければわからなかったかもしれない。
そして、生活水準どうのこうのも、まだ20年も生きてないから、暮らし向きがよくなった、悪くなったなどとは感じないかもしれない。
しかし、僕ら大人、特に昭和を知っている日本人は、日本は貧しくなった、そう感じる。
物価は上がったのに賃金は変わらないからだ。
いや、業種によっては大幅ダウンを余儀なくされている。
度重なるシステムダウンで、バッシングの嵐が吹いているみずほ銀行。ミスが頻発するのは、金融機関そのものが、過去の遺物になったからだ。
みずほ銀行は、もとを正せば興銀、第一勧銀、富士銀行という超優良銀行が合体してできた金融機関だが、これらの銀行の行員は30歳過ぎたら年収1000万円といわれたものだ。
銀行自体が、時代に必要とされなくなった今、みずほ銀行の給与も、相当下がったと思われる。
年収300万で金持ちだと思う若者が増えている、という。
デフレだからそう言えるのだろうし、携帯料金は高くても、情報はガラクタならばいくらでもタダで集められるから、そういう実感なのかもしれない。
しかし、結婚して子供を持つなら、そうも言ってられないだろう。
今最もカネがかかるのが、教育だからだ。
ナレッジワーカー(知識労働者)であることの有利さは、どんどん大きくなっている。
自分の子供に競争力をつけたいのならば、教育費は受験校の法外な授業料だけではすまない。
特に東大に入れることが子供の幸せと考える親は、今の生活水準ではとても子供を育てられない、そう考えるのではないか。
世界のリーダーになるなら自分への投資を怠るな
いや、キミ自身も、世界で戦おうと思ったら、自分に投資しないと勝てない時代だ。
インターネットだけで情報をとっているようでは、先が思いやられる。
自腹で日米の新聞、雑誌を購読し、月に本を最低5冊は買う、大学院に行く、留学も視野に入れる。
実際にこれからのリーダーの競争は、自分にどのくらい金をかけたか、で決まる。
本を買わなくても、図書館に行けばいい、という人がいる。
間違いだ。
本は買って、マーカーで線を引っ張って汚さないと意味がない。
世界の今はインターネットでわかるから、留学なんていらないという人がいる。
間違いだ。
デジタル時代だからこそ、アナログの”グローバル体験“を持つものが強い。
異文化というソフトを身につけるには、留学とは行かないまでも、しょっちゅう飛行機に乗って見聞を広めに出かけなくてはならない。コロナでも、だ。
国内だって、ラインのテキスト交換で人間関係を済ませようとするものは、成功できない。
人と会うその質と量がキミの魅力を決める。
つまり、キミが世界のリーダーになるためには、カネがかかるよ、ということだ。
だから、これからは日本の生活水準を上げなくてはならないということだ。
どうすればいいのか。
経済強者になりたいなら、生産性を上げよ
経済学が教えるところによると(Essentials of Economics by N. Gregory Mankiw私の愛読書だよ)、国の生活水準を決めるのは、生産性(productivity)だという。
生産性とは、キミが一時間で生み出すモノとサービス(goods and services)の総量だ。
日本が貧しいのは、生産性が低いからに他ならない。
もちろん、生産性を決めるのは、つまり労働組合運動をサポートしているか、最低賃金を法律でしっかり決めているなどの、国の政策も重要だ。
また中国みたいな強力な競争相手が出てくると、その国の生産性は影響を受ける。
1970年代、80年代、アメリカの生産性が落ちたのは、日本に勝てなかったからだと言われた。
しかし、やはり、生産性だ。
アメリカは歴史的に見ると、毎年2%っ給料が上がっている。ここ100年で8倍にもなっている。後で述べる3つのことをクリアしたからだ。
生産性を高めるにはどうしたらいいか
それは文字通り、モノ(財)とサービスを生み出す能力にかかっている。
キミが政治家になって、人々がなるべくこの3つを持てるような社会にしろ。
でもその前に、キミがこの3つの機会を自分に与えないとならない。
具体的に言おう。教育に関しては、いつもこの連載で声高に叫んでいるとおりだ。
モノやサービスを生み出すツールってなんだ?これにはいろんな答えがあるだろう。僕があえて言うのは、「大学に行くこと」、だ。
最高のテクノロジーを常に使いこなすってなんだ?それは、文字通りなんだけれど、今だったらデジタルリテラシー、ってことになるだろう。
大学では嫌いなことを積極的に勉強せよ
さて、「大学に行け」っていうことだけれど、それは「知識を仕入れろ」っていうことと同義だ。
この前も学生に言ったんだよ。
知識こそが、モノやサービスを創る能力なんだ。
なぜならば、知識があればひとは想像できるからだ。人間は自分で想像したことでないと、創ることはできないからだ。
想像するためには、知識が必要なのだ。
もしキミが想像することが、自分が興味のあることだけだったらどうだろう。
たとえば、広告に興味があって、マーケティングだけ勉強したとする。
でもそれでは成功できない。
知的財産に関する法律のことを知らないと、ひとりよがりの広告しか創れない、それは世の中に通らない企画だ。
清宮を救うのは”知識”だ
日ハム清宮が、9キロ減量した。
野球だけしかやらないキミは、ビッグボスの「ちょっとやせてみない?」の指導が正しいと思うだろう。
しかし、大学でトレーニング論という知識を仕入れたキミは、『減量で筋肉量も減るから、ホームランは打てない』と言えるだろう。
ホームランが打てない清宮という商品では、親会社の日ハムは満足しない。
要するに、大学のメリットは、興味のない知識でもまんべんなく食べさせられることなのだ。
それがキミの可能性を広げ、キミの知のベースになる。
よく大学のランクどうのこうのを言うものがいるが、ナンセンスだ。
東大と清和大は同じだなどと言うつもりはないが、大学はすべて文科省が認可した高等教育の要求条件をクリアしている。
とりあえず、どこでもいい、大学に行け、と言いたい。
キミの生産性は必ず上がるだろう、劇的に。
そして、社会のリーダーになって、日本全体の生産性を上げてくれ。
これで、今年、日本は世界で勝てるな。
今日も最後まで読んでくれてありがとう。
じゃあ、また明日ね。
野呂 一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー
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