日本経済30年の低迷は「経済ノストラダムス不在」が原因か。
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:日本経済30年の低迷の真の理由。なぜ、日本のメーカーが世界で勝てないのか。日本全体の目標と方向性の設定ができない日本政府と企業の無能。国際マーケティングにおけるライバル分析の重要性。それよりも重要なのは、実は世界の現状分析からの未来予言。
目標と方向性を与えられなければ頑張れない日本
岸田さんが新・資本主義なんて唱えるから、日本経済のここ30年間の体たらくぶりがあぶり出されてきました。
日本の60年代から90年代にかけての長期にわたる高度成長は、世界の需要の拡大という追い風を受けて、効率的によい製品をたくさん作ったからです。
目標を与えられて、それをクリアするという直線的な頑張りは日本のお家芸です。
この国は自主性などという概念は一切ないけれど、空気にはみんな従います。
働け、努力せよの合言葉のもと、1億の民がモーレツに働いた時代がありました。
経済成長のかけ声のもと、70年代、80年代は日本は我が世の春を謳歌したのです。
しかし、バブルが弾けた90年代初頭から、今に至るこの30年間の低迷は、日本企業が目標と方向性を見失ったことにある、と私は思います。
外国のホテルに泊まるとわかる日本の弱さ
ここ10年くらい、スペイン、スロベニア、台湾、韓国、アメリカなどを訪ねました。
ホテルに泊まると、否応なく気付かされることがあるんですよ。
それは、ホテルの部屋にしつらえられているテレビが、みぃーんな韓国のLGエレクトロニクス製だということです。
「えっ、なんでソニーじゃないの」。
80年代アメリカのホテルは、ソニーのテレビをおいているのがディフォルト(初期設定)でした。
しかし、40年たった今、ソニーのテレビはLGエレクトロニクスのそれに置き換わりました。
そんな憤りを胸に、テレビのリモコンを押してみます。
まあまあ映りはいいけれど、シャープの液晶の高画質、ソニーの映像の美しさ、音声のキレイさはどこにもありません。
でも、安物感は、ない。
この事実はこの30年、アジアのメーカーが技術面で日本に追いついてきたことを示しています。
技術だけではありません、売上でもアジアのメーカー、とりわけサムソン電子、LGエレクトロニクスは日本に追いつこうとしています。
いやもう追いつくどころか、抜いているんです。
品質が悪くても、マーケティングで勝てばいい
日本経済がこの30年低迷してきた原因は、国際マーケティングが下手だからです。
なぜ、日本製のテレビじゃなく、品質が劣っているアジアのテレビが海外の有名ホテルにおいてあるのでしょう。
それは、海外のニーズに応えているからです。
海外のニーズとは何か、それは「品質はそこそこ、でもリーゾナブル」です。
日本のテレビメーカーは、品質はずば抜けているけれども、価格競争では世界に負けています。
品質にこだわるあまり、トータルなマーケティングという視点が欠けてるんです。
昔は、日本のテレビメーカーの品質はダントツだったから、売れた。
でも、海外メーカーもそこそこの品質の製品をつくれるようになった。あとは、価格、流通、プロモーションを上手くやればよくなったのです。
そしてそれを実行して、国際競争に勝った。
かたや日本はいまだ、品質ばかりに目が行き、競争に負けている。
ライバル分析を怠っている日本企業
冒頭でこの30年の日本経済の低迷は、目標と方向性を失ったせいだと断じました。
それは政府の責任でもあり、企業の責任でもあります。
ただしい目標と方向性は、では、どうしたら持てるのでしょうか。
それは、ライバル分析によって、です。
たとえば日本企業は、サムソンやLGの戦略分析をしたことがあるのか、っていうことです。
彼らは日本の企業ほどの技術はないけれど、その技術レベルは海外の市場がギリ受け入れてくれる水準にはある。
であれば、製品以外のマーケティングの3P(価格、物流、プロモーション)を整えれば、日本企業に勝てる、そう踏んだのです。
日本のメーカーは、こうしたライバルの動向を分析すべきでした。
そうすればおそらく、こういう目的と方向性がでたはずなんです。
この方向性は、いまの言葉で言う「コモディティ化」を先取りしていますね。
でも、この忠告に従わなかった日本は、いまだテレビを作り続けて、やめるにやめられなくなっちゃいました。
国際マーケティングの前に、現在の世界を総括できるか
そうなんですよ、ライバル分析、そして業界分析をやっていれば、ソニーもシャープもテレビを作っておらず、画期的なマッサージチェアでも作って、それがとんでもない金のなる木になっていたはずです。
問題は、政府も企業もノストラダムスが足りないというか、予言力がないことです。
今という時代を総括し、そこから未来を見渡す、これこそがあらゆるマーケティング活動の前に必要なことなんです。
そのためには、政府も企業トップも、「今、世界はどうなってるか」を注視しなくてはらないんです。
そうすれば、例えば
という言葉が自然にでてくるでしょう。
日本のリーダーたちにこうした習慣がないことが、30年にも及ぶ経済低迷の真の原因である。
以上、わたしのつたない日本経済復活論でした。
今日も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
では、また明日お目にかかるのを楽しみにしています。
野呂 一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?