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プロレス&マーケティング第55戦 中嶋勝彦ブランディング戦略の蹉跌。

この記事を読んであなたが得られるかも知れない利益:「闘魂スタイル」で売り出した中嶋勝彦。しかし、「猪木ブランドを勝手に使うな」とちゃちゃが入り急失速。これでいいのかプロレス界。トップ画はhttps://qr1.jp/Np0rZt

中嶋ブランドの中途半端

プロレスラーの命は、キャラクターです。

言い換えるとブランドです。

ブランドとは誰もが認める、他にない際立った特徴を持っている、ということです。

例えばジャイアント馬場であれば、世界のジャイアント馬場というフレーズがすべてを物語っているといえましょう。

アントニオ猪木、はまさに「燃える闘魂」でいいですよね。

大仁田厚は「邪道」で決まりです。

では中嶋勝彦はどうでしょう。

先に上げた3人は社会から、プロレス界から、ファンから、ブランドを象徴したそれらのニックネームで親しまれていました。

中嶋勝彦といえば強烈で、一撃で相手を葬ってきた蹴り、です。

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しかし、蹴撃王だとか、キックアーティストなどのあだ名が、彼のアイデンティティとはなりませんでした。

つまり、中嶋勝彦というブランドは中途半端なものだったのです。

プロレスラーには参謀が不可欠

それはプロレスラーというブランドを作るためです。

プロレスラーには、ブランドが必要であり、そのためにはブランド戦略に長けた参謀が必要なのです。

アントニオ猪木というブランドは、猪木のマネジャーだった新間寿氏が作り上げたと言ってもいいでしょう。

プロレス界にとどまらぬ、猪木の世界性と普遍的な強さというイメージを、創り上げ守ろうとしたのが、他ならぬ新間寿氏だったのです。

しかし、中嶋勝彦にはこうした参謀がいませんでした。

昨年末から、中嶋選手がらしくないアピールを始め、あろうことか「闘魂スタイル」をみずからのアイデンティティであると高らかに宣言したのです。

にわかにプロレス界では、「中嶋に知恵をつけている人物がいる」となったのです。

僕は「ああ、中嶋も自己PRつまり、ブランド確立に気持ちが動いたんだな、そしてまわりもやっと動き始めたか」と思いました。

しかし、最近になって、猪木サイドが「闘魂スタイル」を名乗るのは肖像権違反とクレームを入れ、中嶋勝彦は記者会見の場で謝罪をするはめになったのです。

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まわりがしっかりしろ

中嶋に、謝罪などさせるべきではありませんでした。

たとえ「闘魂スタイル」が肖像権違反だったとしても、公の場で謝罪などさせたら、築き始めたブランドは台なしです。

中嶋はプロレス界の権威の象徴である、「三冠王者」ですよ。

そのプロレスの象徴に、軽々しく「すみませんでした」などと頭を下げさせるバカいるかよ。

プロレスラーは、傍若無人でなんぼ、です。

我を張ってなんぼ、です。

せっかく三冠王者をとって、プロレス界の中心に踊りでたんだから、どんな理由があろうと堂々としているべきなのです。

これはもうブランド云々以前の問題です。

しかし、これは中嶋を責めるべきではありません。

なぜ、まわりは、これからカネを生むスターを守ろうとしないのか。

そもそも、なぜもっとずっと前から、中嶋勝彦のブランド戦略を展開しなかったのか。

蹴りを中嶋の最高のアイデンティティとして、それを磨き上げ光らせる方向で、「蹴撃の鬼」で売り出してこなかったのか。

プロレス界に足りないもの

「闘魂スタイル」も悪くはない。

関係者は、猪木サイドからクレームがあるならば、内々で処理して、中嶋を巻き込むべきではありませんでした。

中嶋の参謀についたとされる人物は、一体何をやってたんだ。

それにつけても、プロレス界のバラバラさ加減には腹が立ちますね。

団体を超えて、中嶋勝彦は業界の起爆剤足りうる逸材なのだから、足を引っ張ったりしないで、せっかくできつつあったブランドを壊すようなことをするなよ、といいたいですね。

今のプロレス界に足りないものは、連帯と団結です。

野呂 一郎
清和大学教授




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