なぜ、明治神宮が世界を救う日本の象徴なのか?
この記事を読んで、あなたが得られるかも知れない利益:日本ブームは確実に来ている。その理由は、世界が直面している3つの問題を解決する力が日本にあることを、人々が知っているからだ。それは意識のレベルではなくて、むしろ無意識のレベルという「ムー」的なことも指摘しておきたい(笑)
日本が世界に求められている理由
それは、先日、以下の記事でお話した世界の3つのDから始まるトレンドが理由です。
1. Deglobalization (ディグローバリゼーション 脱グローバル化)
2. Digitalization (デジタライゼーション デジタル化)
3. Decarbonization (ディカーボナイゼーション 脱炭素化)
先の記事で、この3Dは明らかに世界が志向している方向性でもあり、人類の課題といってもいい事象であるのですが、うまく行ってないことも事実である、と申し上げました。
結論をいいますと、世界の人々は意識的に、そして無意識的に、この解決を日本に求めているのです。
今、意識的と無意識的と申し上げました。
両方あるでしょう。
世界の人々が意識的に日本を求めていることも事実ですが、あえてこう申し上げたいのです。
「無意識のレベルで日本を求めている、つまり気づいてないけれども、日本的なものを魂のレベルで探している」ということです。
集合的無意識・・いや、今日は「ムー」的なお話はこのくらいにしておきましょう。
世界を救う日本の秘密その1 礼儀
先ほど、今の世界の目指すべきは3つのDと申し上げました。
日本人はそもそもこの3つのDを、違った視点で見ています。
まず、Deglobalization (ディグローバリゼーション 脱グローバル化)を考えてみましょう。
コロナと戦争で原材料、製品、エネルギーを外国に依存していた各国の協働関係を、世界が見直し始めた、これがディグローバリゼーションです。
日本はディグローバリゼーションに関しては、世界の先駆者です。
210年間も続いた「鎖国」です。
この閉鎖期間は必ずしもマイナスばかりではなく、独自の文化を育んだ孵卵器でもありました。
世界はディグローバリゼーションを、日本の鎖国になぞらえているのです。
しかしそうは言っても、いったん始まった相互依存は一朝一夕に変わるわけもありません。ビジネスの関係ができてしまっているからです。
日本的なディグローバリゼーションの方向とは、日本人の得意な
尊敬を元としたgive & takeです。
広い意味での「礼儀」です。
武道を見てご覧なさい。
合気道に象徴的に見られることですが、まず相手と対峙する時は、礼から始まります。
ビジネスも同じです。
ディグローバリゼーションの時代は、今までの関係を断ち切る判断も必要になってきます。
そんなときも、相手に対してのリスペクトは、関係を良好に保つ普遍的な知恵ではないでしょうか。
世界を救う日本の秘密その2 弱者にやさしい
二番目の課題、Digitalization (デジタライゼーション デジタル化)に関してですが、読者の皆様は「これは日本じゃ救えねえだろう。日本はデジタル化が遅れている唯一の先進国って、ノロはしらねえのか?」と一刀両断されますよね。
おっしゃるとおりです。
しかし、あえて申しますと、日本のデジタライゼーションに関する考えは、「何でもかんでもでデジタル化する必要はない」というものです。
もちろん日本の政府、産業界あげて「デジタル化」とは言ってますよ。
でも現実、おじいちゃん、おばあちゃんにスマホを使いこなせ、というのは無理な話です。
僕は僕で、デジタル化に一人で反抗し、昨年中国に行くのでやむなくガラケーから、乗り換えたばかりで、へそ曲がりもいるのが日本です。
そんな僕もスマホを使いこなさないとならないので、高齢者向けの(笑)スマホ教室に通ったのです。
でもそこで見たのは、若いインストラクターがいくら説明しても、うまく操作できない高齢者の方々でした。
これは仕方ない生理的現象なのです。
生まれつきデジタル機器に親しんでいる、デジタルネイティブ世代とは、違うのです。
アナログ機械に親しみすぎているシニア層は、デジタルができなくて当然なのです。
僕が何をいいたいかと言うと、日本は少数派をほっておかない文化がある、ということです。
弱者擁護というある種のやさしさがあるし、世間もお年寄りやハンディのある方に、配慮しない企業に厳しい態度をとります。
アメリカは国民皆保険ですらありません。
カネのないものは、最低限の医療すら受けられないのです。
アメリカをはじめとする西欧の先進国は、「テクノロジーについて行けないのは弱者、勝手に競争に負けろ」と言わんばかりのところが目に付きます。
世界はそんな日本に、デジタライゼーションの音頭をとって欲しいのではないでしょうか。
「そんなに効率ばっかり考えて、弱者を考えないのは本末転倒で、かえって人類の長期的な利益を損ねる」と、日本が世界に向けて言ってほしいのです。
世界を救う日本の秘密その3 自然との共存
Decarbonization (ディカーボナイゼーション 脱炭素化)に、世界が日本に期待することはあるのでしょうか。
地球温暖化は、資本主義社会の宿命と言うか、当然の帰結でしかないですよね。
だって欲望は際限がなく、それは経済活動の果てしない拡大を意味するからです。
エネルギーも際限なく消費され、インターネットの普及で必要以上に物資が動き、クルマが溢れますます排気ガスで地球は温まり、絶え間ない開発で森林がどんどんなくなっています。
地球温暖化の抑止力は、ガソリン車をやめて電気自動車にせよ、という物理的なことではなく、欲望を抑えるという自己抑制、そして自然との共存という精神ではないでしょうか。
前者は武道や茶道に、後者は神道そのものにあります。
訪日外国人が、一様に驚き、感嘆する光景があります。
それは明治神宮です。
東京のど真ん中に、手つかずの自然があること、それも人の手で手入れが行き届き、その自然がサステイナブルに管理されているその様に驚くのです。
まさにこれは神道の教えである、一木一草に命が魂があり、それを日本人は尊重していることのあらわれです。
そう申し上げると、現代の裏も表にも精通する読者のあなたは、「じゃあ、神宮の森をぶっ壊す都市開発とやらはどうなんだ!日本人こそ、自然の破壊者、資本主義の悪魔じゃないか!」と怒りますよね。
たしかに。
でも、世界の人は、日本人にそれでも期待してるのです。
特に西欧社会にはない、精神性に。
それを無意識のレベルでわかっているのです。
日本ブームは言い換えれば、世界の危機ということです。
野呂 一郎
清和大学教授