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地ビールメーカーのマーケティング戦略はこれだ。

この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:昨日のビールの話で思い出した、地ビールのマーケティング・アイディア。マーケティングとは、人間の脳との戦いのこと。中小企業が弱いのは、人々の脳に記憶がないこと。地ビールマーケティングは、まず飲ませること。でもそれが大変。でも地ビールで町おこしもできる。

結局、小は大に勝てないのか

経営学の最大のテーマって、結局、いかに小が大に勝つか、ってことです。

つまり、中小企業がどうやって大企業に対抗すべきか、これが永遠のテーマです。

しかし、それは年々難しくなっているのは、規模の利益のパワーがすべてを飲み込む現実がどんどんリアルになっているからです。

特に今日このごろのようなインフレ局面では、価格がすべてを支配します。

価格競争力では、供給網を支配している大企業に勝てるわけもありません。

そして中小企業がその独自のテクノロジーやノウハウで成長してくると、すかさず大資本が、M&Aの餌食にしようとしてきます。

もっと身もふたもない話をすれば、すべての企業はアマゾン、アップル、グーグル、メタの下請けなのです

https://qr1.jp/lqRtyn

プラットフォームといわれるIT基幹巨人たちが、その突出したテクノロジーで、他の全企業を支配しているのです

我々中小企業は、せいぜい「独禁法違反だろ!」と政府に文句をいうぐらいしかありませんが、GAFAさんたちはカネの力で、腕利き弁護士をつけたり、外国の元有名政治家を顧問に雇ったりして、カネの力で防衛をはかっています。

地ビールの弱点は認知度

きのう、ロスリーダーとしてのビールの話をしました。

ちょっとその続きなんですが、例えば地ビールを作っているメーカーは、典型的な中小企業ですが、どうやってキリン、アサヒ、サッポロに勝てるでしょうか。

https://qr1.jp/FdC8Zp

もちろん、一定のファンがついてますよ。

その土地に行って偶然食事に地ビールが出て、美味しかったのでサブスクで買ってます、的な愛好者は多いでしょう。

しかし、それではダメですというか、もったいないですよ。

美味しいなら、もっとたくさんの人に飲ませないと。

でもね、ここに大企業の壁が立ちはだかるんです。

ぼくのマーケティングの愛読書、The 22 Immutable Laws of Marketing の40ページにこんな記述があるんです。

「一般に消費者は、その製品カテゴリーの中における、その製品の位置づけと一致する情報しか受け取らない。その他は無視する」

前掲書

具体的にどういうことかというと、消費者は各メーカーのビールの位置づけ序列をまず知っているということです。

ビールメーカーの序列で行けば、アサヒ、キリン、サッポロの順です。(昔はキリン、アサヒ、サッポロ)。ラガー(lager熱処理ビール)ではキリン、サッポロ、アサヒ。生ビールはアサヒ、キリン、サッポロ、黒ビールはサッポロ、アサヒ、キリン、ドライはアサヒがダントツ、といった具合です。(一部筆者の好みがガッツリはいる(笑)

だから、例えばサッポロがCMで「ウチのドライはアサヒよりウマい」なんて言ったら、消費者は信じてくれません。「スーパードライよりウマいわけないじゃん」という具合に。

しかし、地ビールはこの(情報)競争の土俵にすら乗ることができません。

なぜならば消費者が飲んだことがないし、そのメーカーも知らないからです。

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中小企業の悲しさで、ブランドにするための経済力(広告、宣伝費)がないのです。

でも、大企業のブランド力に勝つ方法があります。

それは、「うまいと言わせること」です。

消費者のマインドセット(認知、イメージ)の中には存在しなくても、つまり有名でなくても、飲んでうまいと言ってもらえれば勝ち、なのです。

地ビール戦略はこれだ

まずは飲ませること、です。

地元に来る観光客には、いくらでも飲ませる手立てはあるでしょう、なんたって地ビールなのですから。それを飲まずに帰れるか、となりますよね。

でも全国区にするには、を考えなくてはなりません。

それは「一回飲ませればいい」のです。

全国主要都市で、街角で試飲会をやりましょう!

でもダメか、アルコールだから、ミントを配るようなわけには行きませんよね。

じゃあ、ミニボトル(缶)を配り、「お家でキンキンにして飲んでください」とお声がけをしましょう。

告知として、期間限定のTVCMを打ちましょう。

3千万くらいの予算があれば、この夏、1ヶ月位どっかのチャンネルで、ビールのターゲット層がよく見る時間帯に、「先着1万名様、土日銀座のホコ天で無料配布やってます」と告知をかけましょう。

飲食は中小企業が、こだわりと熱意で大企業に勝てる、数少ない分野です。

名前やブランドがなくても、伝統がなくても、消費者との信頼がなくても、一度飲ませて、食わせて人々に「うまい」と言わせれば勝ちなのです。

個人のラーメン店ならば、上手ければ口コミで、SNSで広がり満員御礼になりますが、ビールのメーカーならば、大量生産が可能なのでどうしてもマス広告が必要です。

でも、一度だけでいいんです。

3000千万で、レギュラー愛飲者が千人増えたら、勝ちではないでしょうか。

町おこしとのタイアップも

今年はとりわけ暑い夏ですから、街頭キャンペーンで、キンキンに冷えたのを飲んでもらえれば最高ですよね。

ビールはとりわけ温度管理が重要だし、気温が高ければ旨さも倍増するので、そういった条件を満たして、かつ安全にアルコールを提供できる環境があれば理想的ですね。

あ、そうか、CMとか街頭キャンペーンとかよりも、ビアガーデンや居酒屋で「地ビール一杯無料キャンペーン」をやればいいか。

https://qr1.jp/l6zfaF

市町村の町おこしや、移住促進に使ってもいいですね。

例えばビールのクビに「A市に移住しませんか」の小さなリーフレットを巻いておくとか。

キャンペーン費用はA市持ちですから、メーカーは負担なくビールの宣伝が出来て、両方Win-Winですね。

酷暑にビールは最強の戦略商品になり得ます、ね。

野呂 一郎
清和大学教授





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