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クァシンとアイの冒険

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設定をフリー素材にしました。 キャラも世界観も自由に使ってください。 どんな形式でも大歓迎です。 小説でも詩でも音楽でも絵でも良いです。 #ワールドザワールド
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#冒険

23 蚊に刺されて

1  目を覚ますなり身体をギチギチと痛めつけ鉛のように重くする高熱の症状に、気を失うように眠ったり、また反転して起きたりと繰り返す白髪の少年は今再び瞼をもちあげ、曇った瞳で天井を眺めていた。その風景も周囲の人らの彼を慮る声も、病人には届いていない様子である。熱は抵抗を作る。ここでもまた高熱のクァシンと周囲の世界とで、音も光も意思も抵抗によってすんなり行き交うことはなかった。 「これは、ふくれ病って言ってね、このままじゃあクァシンちゃん、三日後に破裂しちゃうよ。それで中から大

12 花嫁の歌

 花ムコと花ヨメは笑顔でその様子を見守りました。二人の両親が互いに握手をたのです。  ようやく和解することができました。ようやく分かってもらえました。花ムコは花ヨメの両親に理解してもらえたし、花ヨメも花ムコの両親に理解してもらえたのです。  晴れて結ばれた二人。  花ムコ、花ヨメはアイとクァシンに感謝をしてもしきれません。 「君たちのおかげで僕らは結ばれることになったよ、本当にありがとう」 「わたしたち、あなたたち二人への感謝を絶対に忘れないわ」  手を繋いだ花ムコと花ヨ

2 箱男たち

ある日の夕方のことです。 シヨク=ガヨクが町を歩いていると、ぞろぞろとダンボールが寄せ集まってきました。 「な、なんだ。おまえら」 ダンボールの軍団は、なんの合図もなしに一斉にシヨク=ガヨクに襲い掛かったのです。 ~📦~📦~📦~ 【シヨク=ガヨクが襲われた。】 そんなニュースが飛び込んできました。 アイは木の枝の上でキスをするやら、体をこすりつけあっている雀の夫婦から、そのニュースを聞きました。もちろんアイは、聞くやいなや家を飛び出しました。 いくらいたずらもので、