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初めてのポッドキャスト、試して気づいた「声」の醍醐味と9つのティップス

今週からポッドキャストを始めた。初めての収録・編集・配信を終えて気づいた、普段仕事で携わっている文字コンテンツでは味わえない、音声コンテンツづくりのおもしろさ、またこれからポッドキャストを始める初心者向けのティップスを備忘録も兼ねて紹介したい。

ポッドキャストで再認識した「文字」のコスパのよさ

今週開始したポッドキャストの名前は「グローバル・インサイト」。普段仕事をしている世界各国のライターさんと、その人が暮らす現地で起こっている、あるいは話題になっているカルチャー・ビジネス・ライフスタイル、またその背景にある人びとの新しい価値観を紹介していく。

初回は「自動運転時代のトロッコ問題」について、オランダ・アムステルダム在住の行武さんと収録した。クルマがこのまま進めば、Aさんを轢いてしまう。しかし、ハンドルを切ればBさんを轢いてしまう。そのとき、自分が運転するクルマにどう判断し、どう動いてもらいたいか、考えた。

初めてポッドキャストをやってみて、まず最初に気づいたのは、「文字」あるいは「記事」というコンテンツが、いかに「コスパ」が良いのか、ということだった。今回は約7分のエピソードを収録したのだが、その台本の長さはA4・1枚強。つまり、A4・1枚に書かれた文字を二人で自然に話そうとすると、7分もかかってしまう、ということだ。

そんな7分もの時間があれば、おそらく5000文字、A4にしてだいたい7枚から8枚分の文量の文字コンテンツを消費できると思う。しかし、逆にA4・7枚分の台本をポッドキャストで収録しようと思うと、単純計算で49分もかかることになる。どれだけ文字あるいは記事というフォーマットが、情報をインプットするのに効率的か、分かるだろう。

文字では実現できない、知覚価値とリスナーとの関係

しかし、やはりポッドキャスト、つまり声で構成されるコンテンツには、作り手にはもちろんのこと、聞き手にとっても、文字とはまったく異なる魅力があるんだろう、ということが少し実感できた。

ポッドキャストの最大の魅力は、話す人、つまりコンテンツの作り手の人柄や温度感が伝わり、リスナーに「顔が見える」と感じてもらえるのではないか、ということ。情報をインプットするための手段としては決してコスパはよくないかもしれないけれど、文字とは異なる知覚価値を提供し、コンテンツ消費者とより近しい関係を築けそうだ。

それに、情報をインプットするための手段としてコスパがよくない、ということは、逆に、情報をインプットする際にリスナーにかかる負荷が小さい、とも言えるかもしれない。文字コンテンツの場合、スマホを片手に画面に釘づけになったような姿勢で読むかもしれないが、ポッドキャストなら、イヤホンをして、ただ聞き流しておけばいい。

ポッドキャスト、音声コンテンツは、コンテンツ消費者を疲れさせたり、その人の日常を妨げたりすることなく、それでいて、文字コンテンツと補完関係になれるだけのポテンシャルを感じた。

すべてスマホで完結する、初心者に心づよい「Anchor」

今回「Anchor」というアプリを使ったのだが、実はポッドキャストの収録・編集・配信まですべてスマホで完結している。ポッドキャストのことをあまり知らなかったときは、なんとなく、マイクやパソコン、音声編集ソフトなど、それなりの設備が必要なんだろうと思っていたのだが、ほんとうにスマホ(とイヤホン)だけで終わってしまった。

このAnchorというアプリが優れもので、収録はもちろん、BGMや間奏、サウンドエフェクトなど、用意されたものの中から選べばよく、また、リスナーからメッセージを録音・送信してもらい、それをエピソードの中に入れ込むという、実際のラジオ番組のような構成にもできる。

さらに今回、行武さんとはお互いの自宅からリモートで収録を行った。インターネット回線の不具合の影響で、エピソードの冒頭、少し音声が途切れているところはあるものの、お互いの収録環境の違いをそこまで感じさせることなく、あたかも同じ空間にいるかのような雰囲気で収録できたと思う。

しかも、Anchorで収録したポッドキャストは、審査・承認を経て、SpotifyやApple Podcastでも配信可能で、どこにいる・どれくらいのリスナーに聞いてもらえたかという分析までしてくれる。その結果を踏まえて、配信日時を決めるのもいいだろう。これらのことが、すべて無料でできてしまう。

台本は必須。Googleドキュメントで効率的につくる方法

初めてポッドキャストを収録するとき、迷ったのが「台本は必要なのか?」ということ。

結論から言うと、台本は絶対にあったほうがいい(苦笑)。一度、同じテーマで台本をつくらずに試してみたとき、結局、このエピソードでなにを伝えたかったのかが曖昧なまま、15分以上、収録が続いてしまった。

オススメの台本作成の方法は、まず2人で30分時間を確保。前半15分を台本作成、後半15分を実際の収録にあてる。Google ドキュメントに、まずメインで話す人が簡単な骨子を書いておく。そこに聞き手となるサブ・パーソナリティが相槌や感想、次を促す質問を記入する。そうして台本をブラッシュアップし、A4・1枚程度におさめる。

はじめ、台本は必要なのかと一度迷ったのは、台本を用意することで、会話がわざとらしいものになるんじゃないかと心配になったから。しかし、意外とそうはならない。台本を見ながら話しても、新しい考えが浮かんできたり、その人の口癖が出たり、あるいは相手の相槌によって自然な雰囲気を醸し出すことはできる。

初めての収録に向けて「9つのティップス」

ここからはポッドキャスト収録時のティップス。

1. 収録は一人より二人で
初心者の場合、できれば一人ではなく、二人で収録したほうがいい。試しに一人でもやってみたが、人それぞれ一定の口調というものがあり、エピソードにテンポや抑揚など変化が生まれづらい。それに聞き手がいれば、その人の相槌や質問が、エピソードのポイントや次の会話の展開を指し示し、リスナーを安心させる補助線として機能する。

2. 統一感のあるBGMをいくつか用意
二人で収録する場合、意外とBGMがなくても成立する。しかし、その場合、ノイズが気になったり、一瞬の沈黙が際立ったりしてしまう。BGMがあったほうが流し聞きができて、リスナーにとって負荷も少ないかもしれない。BGMは2つ3つ、統一感を意識しながらセレクトしておくといい。話題の硬軟、明暗に合わせて使い分けよう。

3. アイスブレイクはここでも大事
ポッドキャストでもアイスブレイクは効果的。今回は冒頭、僕から「こういうとき、行武さんならどうします?」と質問を投げかけたが、他にも、テーマに関するインパクトのある数字、最近あった個人的なエピソードを引き合いに出すといったことも考えられる。そうして小さな笑いが起きると、話す人にとってもリスナーにとっても雰囲気がほぐれる。

4. 少し早口でリスナーの集中力を持続
アイスブレイクが終わると、いよいよ本題に入ることになるが、実は少し早口で喋るくらいがいいかもしれない。ポッドキャストの場合、音声だけでリスナーを引き込む必要があり、そのためには少し早く喋ることで、リスナーは集中力を振り向けてくれる。そして、沈黙は禁物。思うように言葉が出てこず、2秒以上沈黙が生まれると読者を不安にさせてしまうだろう。

5. 相手の話をさえぎるくらいの勢い
リスナーの集中力を持続させるという意味では、いわゆる「ケツ噛み」、つまり、相手が話し終わる前に、相槌や質問をしたり、自分が話し始めたりするくらい勢いで、まったく問題ないと思う。リスナーに「この人、食い気味だな」と思われるのをおそれる必要はない。むしろ、会話のテンポと抑揚に変化を生み出してくれる、すばらしい工夫だ。

6. 単なる相槌にも技術やパターン
では、具体的にどんな相槌を打つのかというと、オススメはメインの人が具体的なことを話し、もう一人はそれを抽象化して、次の話に促すこと。もしくは、メインの人が話したことに対し、リスナーの視点で感想を言ったり、質問をしたりすると、リスナーにそのエピソードをより自分ゴト化して聞いてもらいやすい。

7. 一人が続けて喋りすぎない
しかし、気をつけなければいけないのは、片方の人が3文以上続けて話さないほうがいいということ。一人が続けて喋りすぎると、聞き手の相槌も変わり映えがしなくなってきてしまい、それはすなわち、リスナーに飽きを感じさせてしまうことになるからだ。文章は短く区切り、2文以内におさめよう。

8. 1分に1つ、リスナーに気づきを
そうしてやり取りをする中で、少なくとも1分に1つは、リスナーにとって気づきとなるようなポイントを盛り込みたい。台本をGoogle ドキュメントで共同執筆するときに、「ここが気づきポイントだな」と新しい視点やオチをある程度意識して、散りばめられるといいと思う。

9. 口癖を知り、ムダを省く
「ええ」とか「まあ」、僕なら「たしかに」だとか、自分の口癖を知り、収録の回を重ねるごとにムダを省いていく。そして、やはり「噛まない」ことは大切です(苦笑)。

音声コンテンツならではのティップスもたしかにいくつかある。そのことがポッドキャスト初心者を不安にさせることもあるかもしれない。しかし、その多くは普段、編集者として記事コンテンツと向き合っているときに考えていることとそう大きくは変わらない、とも感じた。

結局、いつだって大切なのは、なにを・どう伝えるかを考える力、それからリスナーにこのことを届けたいという思い、そして自信だ。

編集者/Livit代表 岡徳之
2009年慶應義塾大学経済学部を卒業後、PR会社に入社。2011年に独立し、ライターとしてのキャリアを歩み始める。その後、記事執筆の分野をビジネス、テクノロジー、マーケティングへと広げ、企業のオウンドメディア運営にも従事。2013年シンガポールに進出。事業拡大にともない、専属ライターの採用、海外在住ライターのネットワーキングを開始。2015年オランダに進出。現在はアムステルダムを拠点に活動。これまで「東洋経済オンライン」や「NewsPicks」など有力メディア約30媒体で連載を担当。共著に『ミレニアル・Z世代の「新」価値観』。


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アムステルダム、シンガポールを拠点にグローバル編集プロダクション「Livit」を運営。海外ビジネス、テクノロジー、働き方、ミレニアル/Z/α世代の新しい価値観を発信。オウンドメディア運営にも携わる。共著に『ミレニアル・Z世代の「新」価値観』。Twitter: @okatch
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