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織姫の継承-祖母の機から紡ぐ一宮の未来

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#一宮

あらすじ

愛知県一宮市に住む佐藤真央は、幼い頃から祖母・つね子の影響で織物に深い愛着を持っていた。 つね子から織物の技術と精神を受け継いだ真央は、真清田神社に祀られる織物の神様・萬幡豊秋津師比売命にまつわる伝承も教わり、織物への思いを強くしていく。 大学卒業後、真央は一宮市役所の織物振興課に就職する。 そこで幼馴染の篠崎健太と再会し、二人で一宮の織物の未来を切り開く決意をする。 大型ショッピングモールの進出により衰退しつつある商店街や織物産業を再興させるため、二人は力を合わせて

第二章 織物の道へ③

伝統を守るプロジェクトの提案 織物教室に通って一年が経った頃、真央は伝統を守るプロジェクトを提案するようになっていた。  一宮の織物の価値を、もっと広く伝えていきたい。  そんな思いが、真央の中で日増しに強くなっていた。  教室の仲間を集めた真央は、熱心に語りかけた。  「一宮の織物の伝統を、みんなで守っていきませんか?」  「でも、具体的にはどうするつもり?」友人の一人が問いかける。  「まずは、一宮の織物の魅力を知ってもらうための、イベントを企画したいの」

第四章 御衣奉献大行列①

緊張の朝  七夕まつりの当日。  真央は祖母の形見の浴衣に身を包み、鏡の前に立っていた。  鮮やかな朱色の地に、金糸で織り出された鳳凰の舞。  その美しさに、真央は我知らず息を呑む。  「おばあちゃん…今日は絶対に成功させるからね」  真央は心の中で、亡き祖母に語りかけた。  御衣奉献大行列は、織姫の衣装を真清田神社に奉納する、七夕まつりの目玉行事なのだ。  その中で真央は、一宮の伝統工芸品を纏い、行列の先頭を歩くことになっている。  「佐藤さん、もうすぐ出