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エッセイ 経済学者は商人に学べ

 経済学の難しさは、研究対象である経済社会、経済行動が、日々変化していくところにある。医学の場合、研究対象となる人体は、長い目で見れば変化していくが、短期的には変化しない。変化するまでの間は、同一の内容と考えて研究ができる。この差は大きい。経済の予測が難しかったり、経済学がすぐに古くなってしまって世の中に対応していないのではないかという不信感が起こるのはそのためである。
 有限な経済資源の有効な分配を考えるというのが経済学の使命だと聞いたことがあるが、それをやった挙句の果てが、資源の予想以上に早い枯渇、地球の異常を招いたしまったとなれば、経済学は何の役にも立っていないどころか、有害であったといえるのではないか。
 今の経済学の致命的な欠点は各企業、各個人が、実際はすべて違った性格を持ち、違った考え方の下に、経済活動をしているのに、それを無視して、十把一絡げに、「企業」「生産者」「消費者」「労働者」としてしまっているところにある。人間はさほど単純ではない。すべての人間は違うんだという前提の下に動いているのが、「商人」である。経済学者はもっと商人から学ぶべきである。

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