エッセイ 俯瞰的視座
きょうは2月26日。やはり2・26事件のことを書かねばなるまい。事件そのものに詳しいわけでは全然ない。その歴史的な意味に重要性を感じているのだ。
組織の力とか、集団の力というものはあると思う。一人ではできないことが集団ならできる。集団として、個人の力を結集させて、一つの方向に向かっていけば、大きなことができるだろう。ただ、それは向かっていく方向が正しいければ、の話だ。結果的に良くない方向に向かってしまったのが2・26事件だと思う。問題は、「正しい方向」がどちらか、ということだ。当事者は自分たちが正しい方向に向かっていると思い込んでいるから、それが本当に正しいかどうかの判断がつかない。
そこで私が提唱したいのが、「俯瞰的視座」である。自分の居場所も含めて、世の中を俯瞰的に眺める視座を持てば、自分が今どこにいて、どちらに向かおうとしているのか、あるいは日本という国がどちらに向かおうとしているのかがわかる。2・26事件をおこした青年将校たちは、それでなくてもかなり右寄りだった当時の日本を、もっと右に持っていこうとしていた。そっちへ行くと社会主義になってしまうというところへ向かおうとしていたんだと思う。その結果、天皇の信頼する重臣を含め多くの人間を殺した。そして戦争へと向かっていくことになった。
集団の持つ力は大きい。武力を持った集団は恐ろしい。軍隊に限らず、集団を率いるリーダーたちには、是非「俯瞰的視座」を持ってもらいたいと願う。
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