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★エッセイ集 視座

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エッセイを集めました。
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#吉田拓郎

エッセイ 私はどう生きるか。

 宮崎駿監督の『君たちはどう生きるか』がアカデミー賞を受賞したそうですね。私は見ていないし、内容も全然知らないんですが、吉野源三郎の『君たちはどう生きるか』に触発されたようなことを聞きました。以下の文章に出てくる『君たちはどう生きるか』は本の『君たちはどう生きるか』のことだと思ってください。  私が初めてこの本を手に取ったのは、中学の時でした。学校の推薦図書の一冊としてリストアップされていたからです。しかし、その小説っぽくないタイトルから私はなかなか読む気が起きませんでした。

エッセイ わが青春の深夜放送

「深夜放送」と聞いて若い人は何を想像するだろうか。「ラジオの深夜放送」と言ってもいい。「深夜にやっているラジオの放送」では正解とは言い難い。「深夜放送」とは我が青春時代に、主にミュージシャンがディスクジョッキーを務めていた若者向けの長時間のラジオ番組のことである。全盛期は1970~1980年代ではなかろうか。私は主に高校時代(1972~1974)にお世話になった。深夜放送が当時の若者に受けた理由を考えてみた。 ① 当時はテレビの深夜放送がなかった。12時ぐらいで放送は

エッセイ 自分自身を見つめて

 吉田拓郎のファンで『我が良き友よ』を紹介したりしましたが、彼は、ラジオなどを聞くと(中島みゆきもそうですが)すごく饒舌で、面白いんですね。だけど歌う歌は暗いものが多い。特に初期のものは『自殺の詩』とか『どうしてこんなに悲しいんだろう』とか『人間なんて』『たどりついたらいつも雨ふり』と、暗い歌が多いです。自分の悩みを正直にストレートに歌っている。それによって、彼自身もストレスの発散になっていただろうし、聴いている私も自分の代弁者のような気がして嬉しく思ったものです。しかし、私

エッセイ 古き良き、永遠の友よ

 私は吉田拓郎のファンです。拓郎の歌に『我が良き友よ』(1975年)という異色の歌があります。どこが異色かといえば、この歌は作詞も拓郎ですが、拓郎が自ら作詞した歌には抽象的な歌詞が多い中で、この歌は極めて具体的な歌詞です。大学の先輩の話をモチーフにしたらしいのですが、時代背景もかなり古いです。(1950年前後かと思う)なぜこんな歌を作ったのか、  私なりに考察してみたいと思います。  この歌の鍵になるのは3番。 「男らしさと人が言う お前の顔が目に浮かぶ 力づくだと言いながら

エッセイ 現実と創作とアレンジと

 以前自分が作った歌を、全然違うアレンジで歌うミュージシャンがいます。あるいは他のミュージシャンの歌を、アレンジを変えて歌う人がいます。アレンジだけでなく、当然、声や歌い方も違います。私はそういう曲を聞くのが好きです。オリジナルとはまた違った味が出てくるように思われますし、新しい解釈のようなものが感じられて面白いと思います。オリジナルから離れれば離れるほど面白いのではないでしょうか。ああ、そういう解釈もあったか、なるほど、と唸らせるようなものが出来てくるのは楽しいです。  そ