エッセイ ミステリーは文学にあらず
誤解をして欲しくないのだが、私はミステリー小説が大好きである。初めて読んだのは、シャーロック・ホームズで、小学校の時だった。中学では江戸川乱歩の怪人二十面相に夢中になり、大学の時は横溝正史を読み漁った。
しかし、あえて言う。ミステリー小説は文学にあらず、と。もっとも文学の定義にもよるのだが、私は文学とは、作者と作者以外のものとの戦いであると思う。葛藤と言ってもいいし、私個人的には、摩擦という言葉が好きなのだが、戦いの相手は、時代であったり、社会であったり、組織、家族であっ