エッセイ 捨てられなかったエアコン
今から30年近く前の3月。私は風邪をこじらせて会社を1週間も休むことになった。ひとり、ボロ借家のふとんの中で悪寒に襲われながら震えていた。結婚する前の話である。原因不明の病であった。悪寒というのが適当かどうかわからないが、体の芯で寒気を感じていたので、目いっぱいの厚着をして、ありったけのふとんを重ねて、さらにエアコンをガンガンかけても、背筋をゾクゾクっと寒気が走った。医者で注射を打ってもらっても、半日で薬の効き目が切れると、元に戻ってしまった。
なんとかしなくてはいけない