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★エッセイ集 視座

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エッセイを集めました。
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2024年3月の記事一覧

エッセイ 『春よ、来い』はユーミンのいろは歌

 ユーミンの『春よ、来い』が好きです。そこで、私なりの解釈をしてみたいと思います。  この歌はNHKの連続テレビ小説『春よ、来い』の主題歌として作られたので、歌詞の内容もドラマに則した内容になっているらしいのですが、私はドラマを見ていないので、詳しいことはわかりません。作者の橋田壽賀子の自伝的内容のドラマということで、橋田壽賀子の、愛する男性との死別をモチーフにしているらしいということは、何となく知っているのですが、そのこととは、関係なく、私の好き勝手な解釈をしてみたいと思い

エッセイ 「子犬 あげます」

 私は大学を中退した後、父親の自営業を7年間も手伝っていた。主に工業用のゴム製品をつくる仕事である。それを母、祖母も含めた家族労働で営んでいた。仕事場はトタン張りの掘っ建て小屋である。  その間、一匹の犬を飼っていた。名を「メリー」といった。雑種のメスである。子犬の頃、捨てられて近所をうろついていたところを、近くの人が拾って、うちに持ってきたのであった。以前我が家で飼っていた犬に似ているから飼わないかというのである。前の犬が病気で死んで数年経っていた。私はその死がとても悲しく

エッセイ 私はどう生きるか。

 宮崎駿監督の『君たちはどう生きるか』がアカデミー賞を受賞したそうですね。私は見ていないし、内容も全然知らないんですが、吉野源三郎の『君たちはどう生きるか』に触発されたようなことを聞きました。以下の文章に出てくる『君たちはどう生きるか』は本の『君たちはどう生きるか』のことだと思ってください。  私が初めてこの本を手に取ったのは、中学の時でした。学校の推薦図書の一冊としてリストアップされていたからです。しかし、その小説っぽくないタイトルから私はなかなか読む気が起きませんでした。

エッセイ モチベーションは上がるものなのか、上げるものなのか?

 「モチベーションが上がらない」とか「○〇のせいでモチベーションが下がった」とかいう言葉を時々耳にする。それを聞くたびに私は違和感を覚える。私にとって、モチベーションは誰かに上げてもらったり、何かのせいで下がったりするものではなく、自分で上げるものだと考えるからだ。私の性格、好みが他人とは大きく違っていて、自分でモチベーションを上げるしか、他に方法がないからかもしれないが、私はずっとそう思ってきた。気分が落ち込んだ時や、やる気の出ない時、どうしたら自分をシャキッとさせられるか

エッセイ 内職の下請け

 内職というのは、会社の仕事の半端仕事を外注に出してやってもらうということである。社内で社員にやらせる時間的余裕がないとか、かえって高くつくという場合に使う。私が以前勤めていた印刷会社では、内職の仕事は結構多かった。印刷物を手で折ったり、封筒に封入封緘したり、ポケットファイルを両面テープで組み立てたり、こまごまとした仕事が多い。  それを去年の7月から、女房がやり出した。会社に頼まれたわけではない。こちらからお願いして出してもらうようにしたのである。はっきり言って、女房は暇を

エッセイ ロシアはヨーロッパか、アジアか?

 ロシアは難しい国だ。民主国家とは言い難い。と、いうのは欧米国家の言い分だ。日本もそれに倣っているのだろうが、それはあくまでもロシアが白人の国であり、ヨーロッパの一員だという前提に立っての話ではないか。ロシアをヨーロッパではなく、アジアに属する国だと考えれば話は変わってくるのでないかと思う。  ロシアも中国も似た国家の発展過程を辿っている。専制国家から、本格的な資本主義を経験せず、社会主義となった。従って民主主義の発達も未成熟である。北朝鮮も似たようなもので、あそこはいまだに

エッセイ 捨てられなかったエアコン

 今から30年近く前の3月。私は風邪をこじらせて会社を1週間も休むことになった。ひとり、ボロ借家のふとんの中で悪寒に襲われながら震えていた。結婚する前の話である。原因不明の病であった。悪寒というのが適当かどうかわからないが、体の芯で寒気を感じていたので、目いっぱいの厚着をして、ありったけのふとんを重ねて、さらにエアコンをガンガンかけても、背筋をゾクゾクっと寒気が走った。医者で注射を打ってもらっても、半日で薬の効き目が切れると、元に戻ってしまった。  なんとかしなくてはいけない