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「人生という旅を楽しもう」1分で、僕の譲れない想いを語ります。 (加えて、年間250回の前説する僕が考えるプレゼンのコツ)

※このnoteは7/29(月)に行われたイベント『1分で話せ!Talk Your Will』にプレゼンターとしてお話ししたスライドと全文を公開するものです。
後半では、このイベントに参加した動機や感想、それからこのプレゼンを作るにあたって考えていたことを書いています。

日置ノリオです。
僕最近、ある発見をしたんです。それについてまずお話ししようと思います。こちらをご覧ください。

旅行に○○、旅に△△。この空欄に二文字入れるとしたらなんでしょう?
…シンキングタイム1分!というわけにもいかないので…笑

はい。旅行に「行く」、旅に「出る」じゃないですか?
旅行には「行く」という以上「どこへ」という目的地があるのですが、旅は「出て」しまった時点で、"旅"として成立するんですね。
「人生は旅である」という言葉があります。「人生は旅行」って、あまり聞かないですよね。
つまり、この世に生まれ「出た」その時点で、僕らの"人生という旅"はすでに成立しているんです。
これからの時代、先行きはますます見えなくなっていく、こうなれば正解というゴールはもう無い、でも不安に思う必要はぜんぜんないと僕は思っていて。
なぜって僕らの人生が"旅"であるなら、辿り着くべき目的地なんて、はじめから存在しなくていいんですよ。

だから僕は今日これを伝えたい。今この瞬間、"人生という旅”を楽しもう。
僕たちは今この時も、人生という旅の途中にいるんです。ですからこのあとのプレゼンも、一緒に楽しみましょう!ありがとうございました。


この日は、僕にとって「再スタートの日」であり「デビュー戦」だった。

普段僕は、東京駅近くにある観光案内所、TRAVEL HUB MIXというところで働いている。

ここは「人生という旅の案内所」をコンセプトに、イベントなどを通じてヒト・モノ・コトを繋げる"関係”案内所だ。
2017年8月のオープン以来、僕は「支配人」という肩書でこの場所の運営に携わってきた。

詳しく知りたい方は、よければ別のnoteもご覧いただきたいのだが―着任からちょうど2年目という節目、僕はひとまずこの「支配人」というポジションを卒業することとなった。

僕はここでイベントをやるたびに、前説として5分くらいの会場紹介をしている。これまで少なく見積もっても、400回以上はやっていると思う。なので正直、人前で話すことに関しては慣れている方だ。

とはいえ、これまでやってきたのは主に自分のホームグラウンドで、ホームについてのお話をするだけ。これについてはもはや、目を瞑ってもできる自信がある。

しかし、「TRAVEL HUB MIXの支配人」という肩書に一区切りをつけることとなった今。
ホームではなくアウェーで。
場所のことではなく自分のことを。
会社員としてではなく僕個人の言葉で。
アウトプットに挑戦し、フィードバックを受けるという経験を、僕は欲していた。

そんな時に見つけた『1分で話せ!Talk Your Will』のプレゼンター募集。
どうせ倍率もすごいんだろうなーなんて軽い気持ちでエントリーしてみたが、審査通過の連絡を受け、これはもう運命だと思ったものだ。(と同時に、やっちまった、もう後戻り出来ないぞ……という冷や汗もかきつつ。)


実際に話し終えてみて、僕が思った以上の熱量でたくさんのリアクションを頂けたことに、恐れ多くも本当に嬉しく思っている。
「めちゃくちゃ面白かったです」「鳥肌が立ちました」「心に響きました!」「今日来て良かったと思いました」「おんなじこと考えてたので共感します!」
直接声をかけてくださったり、応援メッセージに書いて頂いた言葉の数々。ひとつひとつがどれも温かくて、思い出しては胸がじんわりとなる。

そんな中で、個人的に心に残った感想がいくつかある。

「つらいいとき、不安なときに思い出します」
「つらい毎日を送る人にきかせたいです」

僕という人間は基本的には、ノーテンキで鈍感なお気楽ポジティブ野郎だ(実際、根はそうでもないのだが)。お陰様で環境や人の縁に恵まれてきたし、多少の挫折は味わいながらも、これまで幸せに生きてこれた。感謝しかない。

だからこそ(こんなことを言うと不快に思われる方もいるだろうが)何かに深く絶望し、それでも立ち上がり何かを成し遂げたいと、伝えたい想いがあるという人への憧憬のようなものが、どこか僕の中に引け目としてある。

今回の『1分で話せ!Talk Your Will』のプレゼンターの中にも、そういう想いを語る方がいらっしゃった。それだけの重みがあったし、心に突き刺さった。

それと比べると、僕の「人生という旅を楽しもう」というメッセージは、やっぱりノーテンキで鈍感なお気楽ポジティブの域を出ないのかな、なんてことを思っていた。

ちょっとしたレトリックとテクニックで、楽しい気持ちになってもらうことはあれど、誰かを救い、人生を動かすというようなことが、果たしてできるのだろうか、と。

だから。

「つらいいとき、不安なときに思い出します」
「つらい毎日を送る人にきかせたいです」

こういった言葉は、僕に今までになかった感情を抱かせてくれた。自信や勇気なんていうとおこがましいが、「ああ、ここまで届くのかな。届けられるのかな」と思わせてくれた。

ノーテンキで鈍感でお気楽ポジティブ野郎な、こんな僕の言葉だけど。

届くだろうか。届かせたいと願うことは、許されるだろうか。
人生という旅に傷ついて、行き先を見失って、絶望してしまっているような人にも。

もし一人にでも届くなら、語ろう。
語らせてほしい。ノーテンキに鈍感に、お気楽ポジティブに。

「人生という旅を楽しもう。」

これが僕のこれまでの、そしてこれからの生き様だ。譲れない想いだ。



さて。ここから先は、このプレゼンを作るにあたっての裏側のお話、また僕がいつもプレゼンをするときに心掛けていることを書こうと思います。
ここまでも十分だらだらと書いてしまったので、興味のある方だけご覧ください。

まずはじめに、練習用にスマホのメモに書いたスクリプトをそのまま公開します。

突然ですが皆さん、「旅行」と「旅」の違いって、考えたことはありますか?
こちらご覧ください、旅行に○○。旅に○○。空欄に二文字入れるとしたら、なんでしょう?
(10秒)
それではシンキングタイム1分!…ってわけにもいかないので…はい。旅行に、行く。旅に、出る。じゃないですか?
(18秒)
つまり、旅行には「行く」という以上「どこへ」という目的地があるのですが、旅は「出て」しまった時点で、「旅」として成立するんですね。
(25秒)
「人生は旅である」という言葉があります。「人生は旅行」って、あまり聞かないですよね。
つまり、この世に生まれ「出た」その時点で、僕らの人生という「旅」はすでに成立しているんです。
(35秒)
これからの時代、先行きはますます見えなくなっていく、こうなれば正解というゴールはもうない、でも不安に思う必要はぜんぜん無い。
(40秒)なぜって僕らの人生が「旅」であるなら、辿り着くべき目的地なんて、はじめから存在しなくていいんですよ。
(48秒)
それならば。今日僕が皆さんにお伝えしたい想いはこれです。
「今この瞬間、人生という旅を楽しもう」。
(55秒)
僕らは今この瞬間も、長い旅の途中にいて、偶然にも同じ時を共有しているんです。ですから、このあとの時間も一緒に、楽しみましょう。
以上です。ありがとうございました!

まあ恥ずかしい話だけど、めちゃめちゃ練習しました。何度も時間を計って録音して、言いたいことを削りまくって、抑揚とかスピードとか声のトーンとかまで決めて、いったんはこの形に辿り着きました。

以下2点、僕がいつもプレゼンをするうえで大事にしていることに沿って、どんなことを考えていたかを書きます。

①「私のことだ」と思ってもらう

僕のこのプレゼンの目標は、聞いた人にとにかく共感をしてもらうことでした。「私の人生は旅なんだ」と納得してもらいたかったし、「今を楽しもう」と思ってもらいたかった。少なくともイベント中の"今"を楽しんで、笑顔になってもらえたらなと。

そのために、まずは「旅と旅行」の問いかけによって一度自分で考えてもらい、一方的に聞くだけでなくジブンゴトにしてもらうという段階を最初のツカミにしました。

そして途中の主語も「僕」ではなく「僕ら」と繰り返して、このお話の主体が自分だ、という感覚を持ってもらえるようにしています。

最後に「僕らは今この瞬間も旅の途中にいる」という臨場感、「このあとも一緒に楽しもう」ということで余韻を持たせています。
僕が話し終えたら終わりではなく、終わった後も「私の旅」は続いていると思ってもらえるように。

②丸暗記したことを話さない

これ「めちゃくちゃ練習した」というのと矛盾するようですが、僕はプレゼンをするとき「目の前にいる人に話しかける」ということを常に意識しています。

一言一句覚えたことを話そうとすると、「次なんだっけ!」と思った瞬間に、言葉が出てこなくなってしまうんです。「話したいことを話している」という心づもりでいれば、多少言葉が変わったとしても、頭が真っ白になる危険性は減らせると思っています。

最初に起こした実際の台詞と、練習のスクリプトが微妙に違うのはそのためです。
特に、最初のツカミの一文はがらっと変えています。

僕最近、ある発見をしたんです。それについてまずお話ししようと思います。

質問から入るというのはプレゼンの型として王道ですが、当日リスナーの皆さんの温度の高さを感じ、これだとちょっとセオリー過ぎる気がしました。最初の一言というのはとても大事で、その言葉に僕の気持ちが乗らない気がしてしまったんです。
「ここにいる皆さんにだけ、こっそりイイコトを教えたい」そんな感じで逆に熱を下げて静かに入り、「なになに?」と身を乗り出してもらいたかったのです。マイクを使わなかったのもそのため。

それではシンキングタイム1分!…ってわけにもいかないので…

このくだりも、実は一度断念しています。場を温めたかったのですが、練習すればするほど、ウケを取れるイメージが無くなってしまい……。ネタをやるお笑い芸人さんってスゴいと思います。
これは本当に直前まで、言うか言わないか決めないでいました。いざ話し始めて、皆さんのリアクションが良かったのでするっと出てきました。笑ってくださったことで、その後どれだけ救われたことか。

偉そうにアドリブ利かせたみたいに言っていますが、兎にも角にも基本のスクリプトを口と耳に染み込ませるのが大前提。開始10分前まで、スマホを睨んでブツブツ言っている僕を見かけた方もいるでしょう……笑

いかがだったでしょうか?

当日実際に聞いてくださった方しかピンとこないかもしれないですが、もしこんな僕の考えていることでもよければ、参考にして頂けたらありがたいです。

こんなことを考えながら、僕は今日も「人生とは旅である」と何処かで話しています。時にダダスベり、傷だらけになりながら。

また、こうしたプレゼンの極意や「伝える」ということにおける大切な考え方は、こちらの本にたくさん書いてあるので是非読んでみてください。


最後に感謝を述べたい方が二人。

このnoteで全文公開というやり方は、当日のプレゼンターで前回の東京大会の入賞者であるアヤパンさんをパクらせて頂きました。全25人のトリという大役を務め、鮮やかにお手本のようなプレゼンを披露されていた、そんな彼女の「譲れない想い」はこちらからご覧ください。

そして、今回の「デビュー戦」にあたって、わざわざオリジナルのTABIn'LIFE Tシャツまで作ってしまった僕。

このステキなロゴをデザインしてくれたのは、僕のもう一つの家であるゲストハウスLittle Japanで出会った大塚誠也くん。

僕がTABIn'LIFEという言葉に込めた想いを丁寧にくみ取ってくれ、イメージに合わせて作ってくれました。おかげで写真を撮ってくれた方も何人か。
多分これは、僕の新しいユニフォームになっていくと思います。

大学を卒業してすぐに新卒フリーランスとして数々のイベントを立て、「建物(ハード)のないソフトだけのゲストハウス」を運営している彼の活動はどれも面白いものばかりなので、是非フォローしてみてください。

3段構えにしたことによって、過去最長のnoteになってしまいました。
ここまでお付き合い下さり、ありがとうございました!

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