ジャズを軽く聴き始めたい人への軽い名盤紹介⑰ Bill Evans『On Green Dolpin Street』(1977年)

こんにちは。
このシリーズ、もう17回まできました。

趣旨をおさらいしておくと、ジャズを聴き始めたいんだけど、何から聴いて良いかわからないという方のために、軽い気持ちで聴けるアルバムを紹介していこうというものです。
ですので、初心者向けのジャズ名盤はこれだ!みたいな押し付けがましい名盤紹介とは少し趣旨が異なります。
ちなみに私には音楽理論的な知識は皆無です。

さて、17回目の作品は
Bill Evans『On Green Dolpin Street』をあげてみました。

1. You and the Night and the Music
2. How Am I to Know?
3. Woody'n You - (take 1)
4. Woody'n You - (take 2)
5. My Heart Stood Still
6. On Green Dolphin Street
7. All of You - (take 1, stereo)

パーソネル

ビル・エバンス(ピアノ)
ポール・チェンバース(ベース)
フィリー・ジョー・ジョーンズ(ドラム)

このアルバムが録音されたのは1959年、発表が1977年ですから、いわゆる ’お蔵入り’ していたわけです。理由はいまだに謎のようです。

それでは、このアルバムを見ていきましょう。
まず、ジャケットが良いですね。朝靄の中なのでしょうか?
とても良い雰囲気を持ったデザインだと思います。
ここにいる二人の人物がいるのといないのとでは、また大きく違ってきますね。
ジャケットが良いアルバムに駄作なしと言われていますが、まさにその通りです。

曲を聴いていきましょう。
「You and the Night and the Music(邦題:あなたと夜と音楽と)」
これは邦題が直訳ですが、とても曲調に合った邦題だと思います。
ピアノが入ってくる瞬間は跳ねており、まさにこの曲の始まりはこれしかないなっていう気がします。
エバンスの他の作品で『Interplay』というのがあり、これにもこの曲は収められているんですが、全く違います。違うんですよね。この曲の始まり方は『On Green Dolpin Street』のこのバージョンでなければなりません。
演奏全体はロマンチックな雰囲気で、まさに夜の音楽だなという気がします。

前述『Interplay』も参考にあげておきますので、聴き比べてみてください。絶対にこれじゃないというのがわかると思います。

1 You And The Night And The Music
2 When You Wish Upon A Star
3 I'll Never Smile Again (Take 7)
4 I'll Never Smile Again (Take 6)
5 Interplay
6 You Go To My Head
7 Wrap Your Troubles In Dreams

パーソネル
Freddie Hubbard; (Tp)
Jim Hall; (G)
Percy Heath; (B)
Philly Joe Jones;(Ds)

ちなみにこのアルバムも超オススメです。

話が大幅に脱線してしまいましたが、2曲目行ってみましょうか。
How Am I to Know?
とってもモーダルな演奏で、曲の土台からピアノが浮いているような感じを受けますね。
ピアノソロの後、チェンバースの弓弾きのベースソロがありますが、私は弓弾きする意味が、そもそもわかりません。メロディーははっきりしないし、ただギーギーいってるだけのように聴こえます。が、チェンバースは弓弾き好きなんですよねー。

3曲目と4曲目、「Woody'n You」は、アグレッシブなエヴァンスが聴けます。

5曲目「My Heart Stood Still」は多分、後期エヴァンスのお気に入りの曲で、他のアルバムでも多く取り上げられています。
聴きどころは、終盤のドラムとのソロ交換ですね。

6曲目にやっと、表題曲の「On Green Dolphin Street」が出てきました。
この「ジャズを軽く聴き始めたい人への軽い名盤紹介」の 11 のウィントン・ケリーでも出てきましたが、この曲に関してはウィントンの勝ちです。
しかし、エヴァンスのバージョンも捨て難いです。ウィントンのようによく跳ねたり転がったりはしませんけど、ブロックコードを使った、なんだか少し堂々とした演奏のように聴こえます。ここら辺がエヴァンスの難しさでもあります。

ラストの「All of You」だけ、なぜかライブ版で、しかもステレオ収録されています。この曲もスタンダードナンバーで、多くのミュージシャンが演奏しています。

ということで締めに入らせていただきますが、エヴァンスはすぐに理解できるほど簡単なミュージシャンではありません。どうも世の中、エヴァンスは初心者向きみたいな風潮が感じられるんですが、一筋縄ではいかない天才の一人ですから、私もこれからもそのつもりで聴いていきたいと思います。


本日も最後まで読んでくださった方に感謝いたします。良いお年を。

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