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「企業変革の実務」を読む (2) 「マーケティング=広告・販促」という矮小化からいかに抜け出すか?

前回に引き続き「企業変革の実務」を読み進んでいきます。

まずは前回の内容を簡単にまとめてみます。

(前回のまとめ)
・不振起業は慢性的な不振に陥っており、「問題山積み」「複合汚染」「複雑骨折」の「三重苦」に悩まされている。

・問題解決に課題が大きく、課題を把握・構造化し、解決策を実行していく体制ができておらず、結果的に課題が放置されたままになる。

今回は1章の「3. 経営と現場の乖離」から読んでいきましょう。まずは要約します。

事業拡大に伴って組織も拡大し、経営と現場の距離が拡がり、両者間の「乖離」が進んでしまう。また部門間の「壁」も問題になっていく。

部門間の壁という「横軸」の課題については、複数機能を束ねた事業部制や、部門間の連携を促す会議や人材転換など一定の施策は取られる。

一方で、経営と現場の乖離という「縦軸」の課題はおざなりにされがち。特に不振企業は経営陣が現場に行っていないケースが多く、現場が抱える課題が正しく共有されなくなりがちである。

これも企業全体に限らず組織レベルでもよくあるケースです。特に「現場の話を聞きに行かない」という問題は深刻で、マネージャー階層であっても起こりがちです。

よくあるのは、部下からの「公式」の報告や会議のみに頼って組織運営を考えてしまうケース。ここで言う「公式」とは、例えば週報のようなレポートや報告書、もしくは週次の会議などです。こうしたところで発表される情報は、報告する側もどこかかしこまった形で情報を整理するため「鮮度」が悪く、現場の課題の「実情」を正確に表していない場合がとても多いです。

この点をよく理解していないマネージャーは、週報や会議などで得られる情報を集めるだけで良しとしてしまい、結果的に事業のダイナミクスを掴むことができず、有効な意思決定や方向付けができなくなります。この点は多くのマネージャーが陥りがちな罠なので、よく気をつける必要があります。

では、次に「4. マーケティング思想を撥ね除ける部門の壁」を読みましょう。まずは要約です。

事業のライフステージにおいて、特に「淘汰期」では個別の機能の強化では優位を築けず、各機能が連携した価値提供をする必要がある。しかし不振企業では「サイロ化」が進みがちで、こうした連携が困難になっている。

そこで重要となるのが「マーケティング」視点。ここでいうマーケティングの定義は「与え手である企業と、受け手である顧客との価値交換プロセスの最適化を図ることであり、その結果、顧客はニーズ充足を、企業は業績を手に入れる」

このように「価値交換プロセスの最適化」こそがマーケティングであり、各機能部門がその活動に関わるべきなのだが、実際には「マーケティング=広告・販促」という認識がいまだに残っており、その意味が矮小化されてしまっている。

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