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「制約」があるからこそ創造的になれる!

2015年8月に長女が産まれてから、育児家事、そして仕事にと忙しく追われてきた4年半だったんですが、面白いのはこの4年半が自分の人生で最も「創造的」だったということです。

現職に2015年1月に転職してから、前職で学んだことをアウトプットしておきたいなと久々に再開したツイッターは、予想外に多くの人に届きフォロワーの方は2000人から3.2万人に増え、ブログを書き始めたらはじめて「バズ」を体験し、noteに移行してからも多くの人に読まれフォロワーの方は2.6万人になり、さらにツイッターなどを通じてスタートアップの方、金融プロフェッショナルの方、若いデザイナーやエンジニアの方、そして私のツイッターやnoteを読んでくれている方(ありがたいです!)など、社外のさまざまな人にランチでたくさんお会いできて、さらに編集者の方からお声がけ頂いてcakes連載をはじめたり、ネットでの活動をきっかけに自分のほんとうにやりたいと思う事業づくりを手がけ始めて、という具合です。

こうして振り返ってみても、育児と仕事で使える時間は限られていたはずなので、どうやってこなしてきたんだろうと不思議に思うところがあります。ただ、どうしても「制約」が多くなる状況で、自分が意識していた原則はあって、それがこの3つです。

1. いさぎよく諦める
2. 計画や効率化を考えない
3. 人に頼る

これらの原則を徹底していたからこそ、自分がやりたいと思うことに集中できたし、結果として新しい世界が広がり、創造的な活動もできたのかなと思います。

まずは「いさぎよく諦める」ことについて。育児をしていると、時間的、精神的に制約があるのは否めません。全てに等しく力は注げないんですよね。よって、自分の中の優先順位を明確にして、低いものはスパッと諦める必要があります。私は社内での出世を諦めました。

外資系企業は、仕事での役割が明確に定義されていますし、その役割で達成すべき成果も具体的に決められています。それもあって、出世するには上司や関係する組織に対する成果のアピールはどうしても必要になります。でも、こうしたアピールは結構手間がかかるんですよね。どうしても人の「印象」の絡むところなので、場の空気を読みながらうまくやる必要があります。

これを育児に追われながらやるのはなかなか厳しいです。なので、いろいろと葛藤はありましたが、いったん出世はスパッと諦めました。そのかわり、担当している事業の成長にはこだわって、管理担当として成長を牽引する質の高い経営の意思決定をリードすることには集中しました。

加えて、自由度の高い立場だったことを利用して、経営の現場で数多く「実験」して自分の経験値を高めることにもこだわりました。その結果として、新しい事業が大きく成長するフェーズで得難い経験を積めたと感じています。何かを諦めると大切なものに集中できるんですよね。

次に意識したのは「計画や効率化を考えない」こと。というのも、仕事で精緻に計画を作ったとしても、例えば娘が病気になったらすぐ予定通りにいかなくなります。実際に経験するとよく分かるのですが、これは大きなストレスなんですよね。そして、そのストレスを子供にぶつけたりしてしまってほとほと自分が嫌になりました。なので、ざっくりとした方針だけ決めておく形に途中から変えました。計画どおりにいかないことを前提にするわけです。

また、日々の仕事や家事の効率化もこだわるのはやめました。というのも、業務プロセスの変革などと同じで、作業の効率化には今やっていることの棚卸しや再設計といった労力がかかるんですよね。これは負荷が高い。そこで「こぼれたら諦めよう。すごく重要なものはどうせやるし」と考えるようにしました。

こうして計画や効率化をあまり重視しなくなると、仕事や育児の空いた時間やふと何かを思いついた時に、ツイートしたりnoteを書いたりするのが楽しみになっていき、結果的に多くの人とつながるきっかけになってくれました。なにかを生み出す上で「自由度」や「偶発性」ってやはり重要なんだなと思います。

最後に「人に頼る」です。育児生活はとにかく仕事する時間が限られます。朝は保育園の見送りがあるし、帰りも定時に帰ってお迎えや夜ご飯の支度をする必要がある。さらに子どもたちが病気になれば会社を休む必要があります。ということで、労働時間は絶対的に足りなくなります。

育児に慣れていない頃は、それでも自分でなんとかせねば、と子どもたちが寝静まった後に深夜まで仕事していたりしていました。しかし、これは長続きしません。寝不足と疲労で日中の集中力が落ちるので、結果的に生産性はさらに下がってしまいました。

ということで、思い切って仕事を人に任せることにしました。私の場合は、とても幸運なことに、優秀でやる気もある部下くんが入社してくれたので、そこからは彼に仕事を思い切って頼むように切り替えました。

一方で、単に仕事を丸投げしているだけでは当然うまくいきません。なので、コミュニケーションの時間はたっぷりとって、互いの考えていることや向かいたい方向のベクトルは合わせておくように心がけました。そして、感謝の気持ちをはっきりと伝えることも。

こうして思い切って「人に頼る」ことで、結果的に私のマネジメントとしての力も上がったように思います。未来に向けて大きな戦略や方向性を考えること、質の高い意思決定で事業を良い方向に導くこと、そして難しい課題が持ち上がったときは自分の責任できちんと前に出て解決をリードすること。こうした仕事こそマネジメントにとって重要だということを、「人に頼る」ことで身体で理解できるようになった感じです。


育児というのは、特に仕事の側面からは「制約」も多いのは事実です。ただ、私の経験をこうして振り返ると、その「制約」が結果的に自分を今まで見たことのない場所に連れ出してくれたわけで、大変だったけれど育児を頑張ってきてよかったなとあらためて思っています。

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