嫉妬心をてなずける方法について
BRUTUSの村上春樹特集(上・下)を読みがいがありました。
この2冊を読んで改めて感じるのは、徹底して自分を貫いてきた彼の歩みが持っている凄みです。自分が書きたいものを全力で、そして継続的に書き続ける。世間の評価に関係なく、読みたいものを読み、翻訳し、聴きたい音楽を聴く。世間や他人の評価に左右されない、独立した個人としての強靭さは傑出しています。
そして、村上春樹がなぜあれほどの批判や揶揄を受けてきたかも理解できました。世間の価値観に流されない彼の姿勢や歩みが、評論家的な人のコンプレックスを刺激するんだなと。世評を作り上げ人を動かすことに価値を見出す評論家的な人からすると、村上春樹のぶれなさはアイデンティティを揺るがすのだと思います。
私もそうですが、人が誰かを批判したり揶揄する時は、その人が自分が本当は欲しいこと、やりたいことに愚直に取り組んでそれを実現しているからのことが多いです。そこで「羨ましい」と本音を吐くことはプライドが許さないから、代わりに批判や揶揄という形でそのコンプレックスを表現してしまう。
なので、誰かを批判や揶揄したいと感じた時、私はまずその理由を探るようにしています。そうするとやはり「羨ましいな、自分もやりたかった」という感情が心の中に潜んでいる時が多いです。それを認めてあげると批判心は薄れてくるし、自分も挑戦してみようかなと前向きになれたりします。
大切なのは、自分の中に巣食う嫉妬心を否定しないことだと思います。嫉妬という感情それ自体に良いも悪いもないし、湧き上がってくる感情を無理に否定しようとしてもうまくいかないので。
「私は嫉妬なんてしないです。自分が信じる道を愚直に突き進むだけです」と言えれば格好良いけど、村上春樹のような人は稀で、人はどうしたって他人のことが気になりますよね。「自分は嫉妬している」とまず認めてしまうこと。これができるようになってから、私は嫉妬心をうまく飼い馴らせるようになっていったと思います。
そして、私が意識しているのは「俯瞰的な視点」を持つことです。嫉妬しているなと感じた時、自分の右斜め上45度くらいのところに「もうひとりの自分」を起動させる。「あっまた嫉妬してるね。でもそのAさんって全然関係ない業界の人だし、その成功ってあなたのやってることに何の影響もないよね」みたいに、その「もうひとりの自分」は私の嫉妬心や状況を相対化してくれます。
嫉妬心はとても厄介な感情なので「もうひとりの自分」の助けを借りながら、それが心の中でモンスターのように肥大化する前に対処することを日々の生活で気をつけています。
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★ボーナストラック★
嫉妬まみれだった私の体験とそれに対処するために意識しているポイントを書いています。
私の20代は本当に嫉妬まみれでした…
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