受験勉強みたいな読書はやめてメッセージをつかもう!
「受験勉強」的読書の問題とは?
「本を読みたいです!」という人は多い。でも、そういう人を見てて思うのは、学生時代みたいに「頭からきちんと線を引いて読んでいく」というのが読書だと刷り込まれてるなということ。つまり、受験勉強のやり方の延長。
なので、最初から1ページずつ丁寧に読まなくてはという脅迫観念があるし、なんならば書かれてることを暗記していかなくてはと思ってしまう。
つまり、こんな感じ↓の読書になっている
https://resemom.jp/article/2016/01/07/28850.html
それもあってか、なにかを学びたいと思う人の多くは資格を目指す。資格の勉強のための「読書」はまさに受験勉強のそれと同じだから安心するのだと思う。教科書を買って、最初からきちんと読んで、線を引いて暗記していく。一通り終わったら試験で確認する。
私は資格自体は否定しないし、ある専門領域を体系的に短期間で身につけるには、資格の勉強は有効といえる。私もいくつか資格を持っているし。
本のメッセージを「つかまえる」
ただ、「本を読むこと」を、例えば仕事に役立てたいと考える時でも、まずもって大事なのは一冊の本のコアになっているメッセージをきちんと「つかまえる」ことだと思う。
本というのは、あるまとまった長さを伴った文章で、筆者が伝えたいことを、あの手この手でみんなに伝えるメディアのこと。だから(良い本であれば)そこには必ず明確なメッセージがある。それを、読みながら「さっと」つかまえること、がすごく重要。
だから、流し読みだったり、良さそうな部分をいきなり読み始めるのでも全然良い。ポイントはメッセージを読み取るスキル。
そもそものところ、社会人は日中働いているわけで、例えば250ページの本を線を引きながら丁寧に読む時間は残念ながらない。どうせすぐ忘れちゃうし。私も本は読み慣れているけれど、細部はほとんど覚えてない。すぐ忘れてしまう。
それよりも、本の内容を暗記しようとせずに、さーと流しながらでも読んで、そこからワンフレーズで大事なメッセージを「抜き取る」ことに集中する。これはすごく重要なスキルだと思う。
「概念のストック」をもっておく
とはいっても、そのスキルをどう身につけるのか?
これを言語化するのはなかなか難しいけれど、ひとつは、鍵となる「概念のストック」をたくさんもっておくこと。
例えば、Airbnbの起業ストーリーをまとめたこの本。起業にかける思いや、事業がすごい勢いで拡大していき、問題を抱えながらも世の中を変えていく様がカラフルに描かれていて、冒頭からぐいぐいと物語に引き込まれる。
で、私のこの本で印象に残ったメッセージを、ワンフレーズでまとめると「中流層に「場」を提供することの価値」。例えばこんな部分。
彼自信もエアビーアンドビー信仰に取りつかれていると認めている。この会社は中流層の原動力になれる。それに、エアビーアンドビー流のホームシェアが一般に広まった原因は、一連の社会経済的なトレンドが重なったからだ。それは、失われた社会の絆を強めてくれる。それは普通の人に経済的な力を与えてくれる。エアビーアンドビーは人々をひとつにする。「結局、エアビーアンドビーがこれほど成功しているのは、アルゴリズムに少々魔法の粉を振りかけたからじゃない。人と人とが触れ合って、人生を変える経験をさせてくれるプラットフォームを作ったからだ。
5章 アンチとの闘い Airbnb Story
中流層の崩壊、というのは現代のアメリカを語る上で欠かせないテーマ。トランプ現象の背景にはそれがあるし、米企業で経営を担う私としても、アメリカ社会が過度の「金融化」によって、投資家や経営者に富が集中し、中流以下の層にとって厳しい世の中になっていったメカニズムは「肌感覚」としてよく理解できる。
読書のポイントに戻ると、大事なのは「中流層」という言葉が持つ意味とその文脈を理解していること。それにより、本のメッセージをくっきりと掴むことができるし、記憶にも残りやすい。そして、この「中流層」という言葉を通じて、他の本や議論にも連想が連なっていく。
例えばそれは上に触れたように「トランプ現象」だし、スティグリッツの啓蒙書の「中間層の没落を食い止める処方箋を提供する」というワンフレーズと繋がってくる。そこから、アメリカの今の中間層の抱える苦闘と、そこから希望持って抜け出そうとする姿が浮かんでくる。
このように「中流層」という概念の持つ意味とその文脈を理解していると、本を読みながら「はっと」する部分があるし、そこでのメッセージをより広い文脈で捉えて、一連の「ストーリー」の中に位置づけることで記憶にも定着してくる。
ぜひ試してみてほしい。
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本文では「中流層」に触れましたが、私が最近意識しているキーワードである「フラットな組織」について書いてみます。「中流層」と同じように、さまざまな本を読みながらこのキーワードを軸にして考察を深めていくことを意識しています。
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