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工芸の光と影展-国立工芸館〈monologue74〉

おはようございます。のりしろ太郎です。
昨日の金沢は、朝から雨がふったり止んだりとぐずついた空模様。まぁこんな天気は、いかにも金沢らしいと言えば金沢らしい。近くで打ち合わせがあり、1時間だけ時間が作れたので、国立工芸館で開催中の展覧会「おとなとこどもの自由研究-工芸の光と影」展に行ってきました。
この展覧会は、光と影が工芸作品に与える影響を探るをテーマとして展示会です。作品を通じて、光と影のコントラストと調和を楽しむことができます。展示は、光と影が作り出す形や質感、金属やガラスの効果に焦点を当てています。芸術や工芸に関心のある大人はもちろん子どもも楽しめる内容となった展覧会です。

工芸館の正面に貼られた大きなポスター

おとなとこどもの自由研究 工芸の光と影展
2024年6月18日(火)- 8月18日(日)
国立工芸館(石川県金沢市出羽町3-2)


それでは、国立工芸館に入りましょう

国立工芸館は、19世紀末から現在までの日本と海外の工芸およびデザイン作品を収集し、特に戦後の作品に重点を置いています。コレクションは陶磁、ガラス、漆工など多岐にわたり、重要文化財や人間国宝の作品も含まれます。バーナード・リーチやクリストファー・ドレッサーの作品も収蔵しており、国内随一のコレクションを誇ります。
館内にエントランスに入るとまず目に飛び込んだ作品が金子潤の手掛けた大きな作品。ガラス越しに観ることができます。

金子潤《無題 13-09-04》2013年

工芸とであう
Welcome to the World of Crafts

受付を済まして、展示室へ向かう一つ手前の空間。ここで工芸とであいます。橋本真之の重層運動膜(内的な水辺)が展示されています。

橋本真之 重層運動膜(内的な水辺) 1982-83

展示室 Gallery 1
光と影で モノがたる

展示室1「光?影?」では、作品の表層や構造に浮かび上がる光と影の様子を観察します。角度が変わると見え方が変わることで作品の魅力が増し、新鮮でありながら懐かしい情景が呼び起こされます。これにより、見る人の経験や記憶と結びつき、豊かさが増す光と影の物語が楽しめます。

陶磁  小川雄平《陶製黒豹置物》1933年 
陶磁 三代德田八十吉《燿彩鉢 創生》1991年
田中信行 Inner Side-Outer Side 2011 2011
川崎毅 街 City 2011
四谷シモン 機械仕掛の少女 2 Mechanical Girl 2 2016
寺井直次  極光 Kyokko (polar light) 1956
スタニスラフ・リベンスキー ヤロスラヴァ・ブリフトヴァ 戴冠式 II Coronation II 1988
柳原睦夫 紺釉金銀彩花瓶 Vase, gold and silver designs on a dark blue ground 1971
新里明士 光器 Luminescent Vessel 2017

展示室 Gallery 2
光と影で カタチ つくる

展示室2「光と影でカタチつくる」では、色や質感、形に光と影が与える影響を探ります。微細な鎚跡に潜む影や、エッジに走る光が立体感を深める様子を観察できます。釉薬の層が光と影を包み込むような効果も楽しめます。作者が工夫した光と影の技法を見つけ出すことができます。

田嶋悦子 Cornucopia 08-Y2 2008
田嶋悦子 Cornucopia 08-Y2 2008
展示室 Gallery 2
展示室 Gallery 2
展示室 Gallery 2
展示室 Gallery 2
須藤玲子 折り紙プリーツ Origami Pleat 1997
ヤン・ゾルチャック 宇宙の信号 VII Signal Cosmique VII 1984

イサム・ノグチ AKARI

展示室と展示室をつなぐ間の空間「芽の部屋」には、イサム・ノグチのAKARIやアルヴァ・アアルトの椅子アルテック 65、剣持勇の丸椅子、熊井恭子のスクリンなどの展示がありました。

展示室3
メタル & ガラス

展示室3「メタル&ガラス」では、金属とガラスを通して光と影の多様な効果を探ります。光の吸収、透過、反射、散乱がそれぞれ影響を与え、作品の主題を際立たせます。特に重要文化財《十二の鷹》では、鋭い爪やふっくらとした羽毛に宿る陰影の美しさが際立ちます。

展示室 Gallery 3
橋本真之 運動膜・切片群 Evolving Membrane and Snippet Pieces 2004
鈴木長吉 十二の鷹 1893
藤田喬平 虹彩 Rainbow Colors 1964
越智健三 集 Gathering 1968
高橋禎彦 とろけること Melting 2011
ダンテ・マリオーニ ブルー・トリオ Blue Trio 1997
津田信夫 振威八荒 Hawk 1937
工業デザイン
クリストファー・ドレッサー《トースト・ラック》1881年 撮影:アローアートワークス
フランティシェック・ヴィッツナー Cut Bowl 1981
フランティシェック・ヴィッツナー Cut Bowl 1981

観覧を終えて
妄想コレクター-展示作品の購入

1時間という限られた時間ではありましたが、工芸をたっぷりと楽しむことができました。「工芸の光と影展」という光と影をテーマに構成されたキュレーション。軽いものや重いもの、物質感の異なりと、光と影が織りなすコントラスト。かなり駆け足の観覧となりましたが、工芸の奥深さと面白さを堪能させていただきました。
さて、私は美術館で観覧した際に行っていることがあります。それは展示作品の中から1点だけ妄想の世界で購入することです。実際に買うわけではないのですが、私の妄想の世界では、私が著名なアートコレクターという設定なのです。展覧会はただ鑑賞しているわけではなく、見定めしながら、何を買おうか考えて観ているのです。それだけに真剣に観覧しています。
今回妄想購入した作品は…(ドラムロールが流れます♪)…ジャーン!「フランティシェック・ヴィッツナー Cut Bowl 1981」に決定です。深い緑から薄くなる部分は鮮やかな緑に変わるグラデーションが美しい器です。妄想ながら良い作品購入をでき満足しております。もう1作品、津田信夫 振威八荒 Hawk 1937とも迷いましたが、悩んだ末「フランティシェック・ヴィッツナー Cut Bowl 1981」となりました。

橋本真之《果樹園―果実の中の木もれ陽、木もれ陽の中の果実》1978-88年
工芸館の裏庭に展示された橋本真之の作品が館内の窓から観ることができます。

国立工芸館 石川移転開館した2020年

工芸館が石川へ移転開館した2020年10月に美術手帖さんのお仕事で撮影させていただいたことがあります。今回はLUMIX S9+パンケーキレンズ26mmF8を用いた気の抜けた気軽なプライベート写真でしたが、仕事となるとまた気合や集中力が違います。よろしければこちらのサイトもご覧ください。

おわりに

金沢21世紀美術館から徒歩でもすぐに着く距離感ですので、国立工芸館はおすすめですよ。私の観覧した水曜の午後は、お客さんが数人と少々寂しくもありますが、観る方としては集中できて、それはそれでありがたい。展示はとても面白いので、もっと多くの方に足を運んでいただ蹴たら良いですね。「おとなとこどもの自由研究 工芸の光と影展」の会期は8月18日(日)まで。
それでは、皆さんもアートを楽しんで心の糧としましょう。それでは、今日も一日張り切っていきましょう。

m(*c*)m

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