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こちらの世界とあちらの世界/里菜生誕ライブ2023〜映画の主役はりな?!〜

今、自分の眼の前にあるものが現実だって、自信をもって言えますか?

たぶん、今日、僕はCROWN POPの里菜さんの生誕祭「里菜生誕ライブ2023〜映画の主役はりな?!〜」を見てきたんだけど、本当にあれがCROWN POPのライブだったのか、実際に自分はあの最高に幻想的な世界から帰ってこられているのか。まだちょっと確信が持てていません。

今日の生誕祭を前に、先日、里菜さんから予告動画が公開されていました。

映画のような物語風のライブになるという話は以前からありましたが、予告を見ると、それは「パラレルワールド」を描くもの。バンド活動をするりなさんが、何らかの世界へ迷い込む物語でしょうか。
ただでさえどんなライブになるかわくわくなのに、どきどきも加わって、この予告編を見て以来、いろいろな想像が膨らむようでした。

今日の会場、渋谷WWWの中へ入ると、客入れの音楽(って言うんですかね?入場中のBGM)にはCROWN POPの楽曲が流れています。ここにいる全員が大好きなクラポの曲が流れる中、皆が期待に胸を膨らませ、もう間もなく開演の19時。
そのとき、BGMがクラポではない曲に。自分はわからなかったのですが、他の方のツイートで確認するとSEKAI NO OWARIさんの「眠り姫」だったようで、少しのあいだ静かにこの曲が流れると、ステージの引幕が中央から左右に開いていきます。

開き始めてすぐに聞こえるお客さんのどよめき。自分は客席フロアの最も下手側に立っていたために、すぐにステージ上を見ることができなかったのですが、幕がすっかり開くとそのどよめきの正体がすぐに判明。
ステージの真ん中にドラムセットが鎮座しているのです!

そして、そのドラムセットに腰を掛けるのは我々がよく知る里菜さん……ではないかもしれない。もしかしたら予告編に出てきたりなさんでしょうか。
ほどなくステージ下手から、黒のロングジャケットを羽織った4人が登場。あいたんは小さなギター?ウクレレ?を、みぃあちゃんはトランペット(風のもの)を、いぶいぶはタンバリン、そしてさほるんはエレキギターを、それぞれ持っています。演奏されるのは

1.Change the world !

5人が立つステージ後方のスクリーンには、予告編で見た「CROWN NO OWARI」のロゴが(あったと思います、たぶん)。そうか、これはCROWN POPのライブではなく、CROWN NO OWARIのライブか……。

「チェンジ」の演奏が終わると次は「りなのソロ曲だよ」の声とともに4人はバックステージへ。ソロ曲か〜、わくわくと思うところ、りなちゃんの「私の夢は卓球選手、じゃなくて、タップダンサー、でもなくて、タワマンのオーナー、でもなくて、アイドルになること!」という語りに合わせ、後方スクリーンに青い蝶々🦋が舞い込みます。

夢を語っていたりなちゃんはその蝶々がつくりだす渦へ巻き込まれるように、ソロのダンスへ。ステージ上のりなのダンスはもちろん、白いスクリーンに映し出されるダンスのシルエットも美しく、また映像の演出とダンスがリンクしているようですごく美しい世界……。

が、明けると、ステージの上にはCROWN POPのメンバーが。そこに加わるCROWN NO OWARIのりな。そしていつもはいぶいぶが歌う「真っ白片思い」の冒頭を、そのりなが歌い出し、そこから「午後四時ごろの好きです」「alright!」と、クラポの人気曲が立て続けに。

2.真っ白片思い
3.午後四時ごろの好きです
4.alright!

最初こそ戸惑っていたように見えたりなも、すべての歌詞もフリも自然ですし、他のメンバーもりなの存在に戸惑う様子もありません。これはりなではなくて、里菜(りなてぃー)なのか? いや、でも、あの青い蝶々を見て、アイドルの世界にまぎれこんだのは、紛れもなくりな……。

そして、ここからはりなのソロパートが3曲。

5.prism
6.初恋サイダー(buono!)
7.LIFE

一曲、一曲に思いを乗せ、「初恋サイダー」ではピンクのペンライトを振りながら盛り上がり、「LIFE」では観客に向かって「次はペンライトを緑にしてください」の声。一面、緑に染まる渋谷WWW。

そして、3曲を歌い終えると目を覚ますりな。
世界はCROWN NO OWARIがいる元の世界へ。

8.泣き虫少年(buono!)

幻想的で重層的に重なり合って、我々の眼の前で繰り広げられる世界は、果たしてそれが現実なのか、虚構なのか。ライブの盛り上がりとは別に、私たちを不思議な世界へと誘いつづけます。

「泣き虫少年」を歌い終えたところで、私服(風)姿のいぶいぶ、さほるん、あいたん、みぃあがポップコーンとジュースを手に持ち、赤青の立体メガネをかけてステージ上に。

どうやら4人は映画を見ている様子。いぶちゃんとさほるんが「パラレルワールドなんてあるのかな」「行ったらどうしよう」と話す脇で、おいしそうに楽しそうにポップコーンを頬張るあいたんとみぃあちゃん。
と思ったら、あとから「パラレルワールドに行ったらどうしよう」と話に参加して、「それさっき私たちが話したよね」といぶいぶに拗ねられるみぃあちゃん。すごくほのぼのとかわいいシーンですけど、ちょっと待って。

ここで映画を見ている4人は、りなが紛れ込んだ「CROWN NO OWARIとCROWN POPの物語」を外から見ているのであって、バンドの4人でもアイドルの4人でもない????

現実と虚構が重なり合う、その外側にさらにメタ現実が重層的に色合いを成すような構成。映画の中でこちらの世界とあちらの世界を行き来するだけではなく、さらにその外側へと広がる物語。

いったい、どこが現実で、どこがパラレルワールドで、私たちが見ているこれはいったい誰で、このステージは果たして現実なのか? ステージ上で歌い踊るCROWN POPはいったい誰で、りなは里菜なのか、りななのか???
物語はさらなる不思議な世界へ……。

9.かくれんぼ(AliA)
10.To Do

ここからさらにりなのソロで2曲。
凛々しく、力強く。特にソロの「To Do」はひたすらにかっこよく!
我々を雄々しく魅了したかと思ったところで、パラレルワールドへ赴いた不思議な出来事を振り返りながら、もう一度、あの世界に行きたいなとつぶやくと、飛来する青い影。

ふたたび、蝶々が生み出す時空の渦に巻き込まれるように、りなの美しいソロダンスが始まります。

ステージ上で踊るりなの影がスクリーンに投影され、リアルな体と影が美しい二重奏を織りなしているかと思いきや、途中から映像にもりなの影が。現実のダンスと対象を形づくるようなシンメトリーに動く映像の影と、リアルの影。リアルの影? リアルなのか、影なのか。肉体なのか、映像なのか。

青い蝶々に巻き込まれるりなは、再び不思議な世界を通り抜け、アイドルの世界へ。

11.stay gold(ももいろクローバーZ)
12.Real ☓ live

りなを加えたCROWN POPは、ビート感あふれるももクロの楽曲「stay gold」を披露。

Why did you cheat? さえ聞けなかった
笑顔の裏 影潜んでた
昨日の仲間が敵に変わる nowadays

ももいろクローバーZ「stay gold」

と、表と裏、企みの重層性を歌います。
まるでこの日我々が見ている、りなと里菜、CROWN NO OWARIとCROWN POPの重なり合いのように、何が本当で、何が虚構なのか(たしか詐欺師の騙し合いを描いたドラマの主題歌でしたね)。

そしてクラポの「Real ☓ live

Day by day あるがまま 想い重ねたから ここまで走り続けた
そうさ "限界"なんて妄想だ 見たことない明日へ
リアルを迎えに行くんだ さあTake my way

CROWN POP「Real ☓ live」

リアルをライブせよ

CROWN POP「Real ☓ live」

限界という妄想の先にあるリアルに向かう力強い楽曲。
思い込みの世界と夢につながるリアルの世界の多重性と、その打破を歌う姿もまた、今日のパラレルワールドの世界にふさわしい世界観です。

「Real ☓ live」を歌い終えると、5人並んでMCに。一人ずつ、いつものようなクラポのあいさつ。ここにいるのは、間違いなく、いつもの、我々がよく知るCROWN POP……なんでしょうか。

みあちゃんから「今日はみあの秘密を一つ明かしたいんだけど……」と話しがあり、7月23日に開催するCROWN POP主催ライブ「青夏」の告知。

そしていぶいぶからも秘密が披露され、7月19日に開催される自身の生誕祭。「三田美吹生誕ライブ2023 ~with all my gratitude…~」(2023.6.20修正済)の告知も。

そうか、告知もあるし、これはもういつものCROWN POPなんだな。なんだか不思議なライブを見たなあ……と思うと、りなてぃーから「わたしも秘密が……」と告白。

「わたし、パラレルワールドから来たんだよね」

え、ここにいるのはCROWN POPの里菜ではなく、CROWN NO OWARIのりな? やはりまだパラレルワールドは続いていたのか。
一気に観客である我々も巻き込んで、不思議な世界の空気が一気にライブハウス全体へと拡散します。

じゃあ、この5人はCROWN POPであって、CROWN POPではない???

メンバー全員、「またまた〜」「ふ〜ん」と意に介そうとしない様子を見せる中、必死に「青い蝶々を見たら違う世界に」とアピールするも、「はいはい」と促されながら、ステージでは記念撮影に。

「パラレルワールドから来たんだから、真ん中に入っていいよ」とりなてぃーをステージから客席に向かって記念撮影。

うん。この写真の真ん中に写るのは、クラポのりなてぃーなのか、CROWN NO OWARIのりななのか……。

そして「みんなを撮ったから、今度はみんなに撮ってもらおうと思います」とあいたん(だった?)が声をかけ、次の楽曲は撮影可に。

13.Cheerful Butterfly

そして、最後は「新バージョンで『夏キラリ☆』!!」
ということで

14.夏キラリ☆

2番以降がさほるん、あいたん、みぃあちゃん中心の歌唱に生まれ変わった夏キラ!
さわやかに、かわいらしく、可憐に、5人のCROWN POPが楽しく歌い上げると、今日の不思議なステージはフィナーレに。

アイドルの世界を満喫したりなが振り返ると、そこには青い蝶々の姿が。そしてメンバーに「あれ!」と指差し、全員が蝶々を目にしたところで……

物語はここでおしまい。
果たしてりなは元の世界に戻れたのか、逆にCROWN POPのメンバーはパラレルワールドへ迷い込んだのか。そもそも我々が見ていたのは、我々が知っているCROWN POPとりなてぃーなのか。今日のこのステージは現実なのか。あるいは夢なのか。

最後の最後まで私たちに不思議な感覚を残し、りなてぃーの生誕祭は幕を閉じました。
物語の余韻に包まれ、会場も明るくなり、アンコールはないかなという空気が客席を満たした頃、幕の隙間からひょこっとみぃあちゃんが顔を出します。

「みんなまだ物足りないよね?」

あいたんも続いて

「まだ、なにか足りないよね?」

との声。

そして幕が開くと、かわいらしいケーキを手に4人がそろい、観客もまじえてりなてぃーのお祝いに。
本当のサプライズだったようで、戸惑いながら、目に涙を浮かべるりなてぃー。観客全員とメンバーの合唱でハッピーバスデーを歌い、皆でお祝い。

りなてぃー23歳のお誕生日おめでとう

「今日は、みんなにおめでとうって言ってもらう機会をつくれないぐらい、自分の好きなことを詰め込んだライブにしてしまったなって思ってたんだけど……」と、目をうるませたままあいさつするりなてぃーは、さっきまで、あの素晴らしい世界を演じ、パフォーマンスしていたのとは一転、すごくピュアできれいで、そのままのりなてぃーという感じ。

今回、パラレルワールドの物語と聞いて、どんな世界を見せてくれるのか楽しみでしたが、こちらの小さな期待なんか軽々と越えて、すごく不思議で幻想的で、そしてあたたかな世界の重なり合いを見せてくれたりなてぃー。

答えなんかいらないし、(当たり前だけど)教訓なんかまったく必要なくて、そこにはただ不思議な余韻とあたたかな気持ちが残るような物語。
見ているうちに、一曲終わるたびに、どんどんどんどん、こちらが不思議な世界へと引き込まれるような楽しくて、盛り上がりながらも、もう一つ、別の世界を味わわせてくれたようなライブ。

ライブが終わって4時間以上が経ち、こうして感想を書いていても、まだ心の半分をパラレルワールドに置いてきたような不思議な気持ちです。

「里菜生誕ライブ2023〜映画の主役はりな?!〜」
りなてぃーしか描けない、りなてぃーだから描けるような、素敵な空間でした。ライブを見るという体験が楽しいだけでなくて、良質なエンターテイメントに触れたような充実感に満たされました。

りなさん
ほんとにありがとうございました。

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